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275話 腕輪の威力
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「師匠! 前方で戦闘! 盗賊が旅人の馬車を襲っています!」
「全員下車! すぐに救援するぞ! ころさないように手加減忘れないでね」
なんともあれな指示だが仕方ない、本気の武装で切りつけたら鍔迫り合いした人間も吹き飛ばしてしまう。武具も新天地仕様で見た目は平凡な装備にしている。
「スパークショット!」
「ぎゃぁ!」
「な、なんだてめぇら! くそ! 一緒にやっちまえ!」
テンプレートな発言をする盗賊団。しかし、戦闘と呼べるものにもなるはずがない。
まばたきをする間に全員気絶させられ縛り上げられる。
「けが人を救助するぞ!」
倒れている旅人たちも重症だが素早い治療でみるみる回復していく。
「た、助かった……」
馬車で抵抗していた剣士風の男は白狼隊の助力で危機が去ったとわかってヘナヘナと腰を落としてしまう。
「大丈夫ですか? 我々は白狼隊というパーティで聖堂巡りをこれからしていこうと思っているものです
。よろしかったらポーションいりますか?」
ユキムラがポーションを差し出すと青年は礼を言いながら受取り、一気に飲み干す。
「……うお! これはハイポーションか!?
こんな高級品、す、すみません、ぼ、僕の持ち合わせだとお支払が……」
「いえいえ、いいですよ。どうやら皆無事だったみたいだし。
間に合って良かったです。これもアルテス様のお導きです」
「本当になんと感謝すればいいか……って、全員無事!?
どう考えても致命傷だった人も……」
ちょうど全員が集められる。
「おっさん!! 無事だったのか!!」
「い、いや……俺も信じられねぇ……腸はらわたぶちまけてうずくまって死んだと思ったんだが……」
「わ、私も……腕を切り落とされていたんですが……」
「部位欠損の治療!?」
「何者なんだあんた達は!?」
魔道士風の女性があまりに高度な治療に逆に不信感を持ってしまったようだ。
仕方がない、部位欠損治療だと庶民ではとても手に入らない高級なポーションか、司祭級の治療師でないと使えない治癒魔法が必要だ。さらに普通なら聖堂などで魔道具の補助を受けて行う。
「ちょっとサイナさん助けてもらったのに失礼ですよ……」
「ああ、いいですよ。私たちが何物なのかはこれでわかってもらえるかと……」
ユキムラは腕にはめた腕輪を見せる。
「これは……」
「……!? まさか……女神の……腕輪……!?」
「ば、馬鹿な!!!」
馬車から降りてきた僧侶風の男性が驚きの声を上げる。
次に懐から女神の像を模ったタリスマンを腕輪にかざす。
タリスマンから優しい光が漏れ出し、腕輪の神聖文字が輝き出す。
優しげな歌声が漏れ出し、周囲を神聖な空気が覆い出す。
「ほ、本物だ……初めて見た……女神の腕輪だ……
真アルティクノに選ゲヌイノばれし聖騎士パラディン……」
その場にいた全員がユキムラの前に整列しまるで土下座のように頭を下げる。
「数々のご無礼どうかお許し下さい!!」
「伝説の聖騎士様に救って頂けるとは光栄の極み!
お姿を拝見させていただき、感慨の至でございます!!」
「あーーー、こうなっちゃうかー……ごめんなさい、頭を上げてください。
私はこれを持っていますが来訪者なんですよ、だからそんなにかしこまらないでください……」
「来訪者様であってもその腕輪をお持ちということは女神アルテス様の真の騎士であることは間違いありません!!」
よし、これは隠しておこう。ユキムラは決めた。
大事なときだけ使用させていただきます女神様。と心に誓うのであった。
「師匠、馬車も直しておきました。ただ、馬はすでに事切れていました……」
「仕方がないね……お墓作ってあげよう」
「ワン!!」
「え? タロ引ける……か、そしたらお願いできる?」
「わうん!」
任せてと言った感じで馬車の前に立つとささっと馬車を引く部分を改造して身体に取り付ける。
「あとはこいつらを運ぶ荷台も作らないとな……」
「ユキムラちゃーん作ってあるわよー」
ヴァリィがそこら辺の木で荷台も作ってくれていた。
車輪も木製だし、足回りもそのままなので乗り心地は最低だろう。ちょうどいい。
「ユキムラ様……はっ! そう言えば救っていただいたのに名も名乗らず大変失礼しました!
私が旅団をまとめております。こちらが俺の、あいえ私の手伝いをしてくれているベトス」
「先程は命を助けていただき、本当にありがとうございます」
「そして、護衛のサイナとコウ、後は客のナストさんとキアさんです」
「さ、先程は無礼を申しまして……何卒……何卒お許しを……」
「い、いや全然気になさらないでください。いや、ほんとに」
「ユキムラ様あんなすごいポーションまで頂いてしまって……ありがとうございます!」
「ユキムラ様、光栄です。生きて真の聖騎士様を見ることが叶うとは……」
それからもユキムラは必死に普通にするように頼み込んでほんの少しましになった。
「あと、私のこの腕輪の事は他言無用にお願いします。
普通に旅を楽しみたいので……」
ユキムラもある程度予想ができていたのに安易に見せたことを反省していた。
この腕輪はVOではケラリス神国のクエストをすべて終わらせて救国の戦士となった暁に手に入れるもので、これがあればケラリス神国では王を超える地位を約束される代物だ。
女神の代行者という立ち位置になる。その通りなんだが、こういう扱いは苦手だった。
スムーズに話が進むアイテムもらえないかなーと軽い気持ちで頼んだ自分を恨んだ。
もちろん聖騎士様がそうおっしゃるのなら、深遠なお考えが……と皆口外しない約束はしてくれる。
神の名に誓って必死に守ってくれるだろう。
僧侶であるナストさんの持つタリスマンは女神の腕輪からの加護をもらったので、この国ではとんでもない物になる。家宝にすると泣いて喜んでいた。
タロは軽々と馬車を引いて歩いてくれている。
全く揺れることもなくなった馬車に皆驚いていたが、取り敢えず進路をリッポンへと向ける。
小さな村だがウーノの街と聖都ケラリスを結ぶ街道沿いにあるために旅人向けの設備は充実している。
基本的にこの国にはそういった街道町がほとんどだ。
途中木の柵と侮って大暴れした盗賊たちが強固な檻の反撃で骨折したりしたが、大したことにもならずにリッポンの村へと日が暮れる前に到着する。
「全員下車! すぐに救援するぞ! ころさないように手加減忘れないでね」
なんともあれな指示だが仕方ない、本気の武装で切りつけたら鍔迫り合いした人間も吹き飛ばしてしまう。武具も新天地仕様で見た目は平凡な装備にしている。
「スパークショット!」
「ぎゃぁ!」
「な、なんだてめぇら! くそ! 一緒にやっちまえ!」
テンプレートな発言をする盗賊団。しかし、戦闘と呼べるものにもなるはずがない。
まばたきをする間に全員気絶させられ縛り上げられる。
「けが人を救助するぞ!」
倒れている旅人たちも重症だが素早い治療でみるみる回復していく。
「た、助かった……」
馬車で抵抗していた剣士風の男は白狼隊の助力で危機が去ったとわかってヘナヘナと腰を落としてしまう。
「大丈夫ですか? 我々は白狼隊というパーティで聖堂巡りをこれからしていこうと思っているものです
。よろしかったらポーションいりますか?」
ユキムラがポーションを差し出すと青年は礼を言いながら受取り、一気に飲み干す。
「……うお! これはハイポーションか!?
こんな高級品、す、すみません、ぼ、僕の持ち合わせだとお支払が……」
「いえいえ、いいですよ。どうやら皆無事だったみたいだし。
間に合って良かったです。これもアルテス様のお導きです」
「本当になんと感謝すればいいか……って、全員無事!?
どう考えても致命傷だった人も……」
ちょうど全員が集められる。
「おっさん!! 無事だったのか!!」
「い、いや……俺も信じられねぇ……腸はらわたぶちまけてうずくまって死んだと思ったんだが……」
「わ、私も……腕を切り落とされていたんですが……」
「部位欠損の治療!?」
「何者なんだあんた達は!?」
魔道士風の女性があまりに高度な治療に逆に不信感を持ってしまったようだ。
仕方がない、部位欠損治療だと庶民ではとても手に入らない高級なポーションか、司祭級の治療師でないと使えない治癒魔法が必要だ。さらに普通なら聖堂などで魔道具の補助を受けて行う。
「ちょっとサイナさん助けてもらったのに失礼ですよ……」
「ああ、いいですよ。私たちが何物なのかはこれでわかってもらえるかと……」
ユキムラは腕にはめた腕輪を見せる。
「これは……」
「……!? まさか……女神の……腕輪……!?」
「ば、馬鹿な!!!」
馬車から降りてきた僧侶風の男性が驚きの声を上げる。
次に懐から女神の像を模ったタリスマンを腕輪にかざす。
タリスマンから優しい光が漏れ出し、腕輪の神聖文字が輝き出す。
優しげな歌声が漏れ出し、周囲を神聖な空気が覆い出す。
「ほ、本物だ……初めて見た……女神の腕輪だ……
真アルティクノに選ゲヌイノばれし聖騎士パラディン……」
その場にいた全員がユキムラの前に整列しまるで土下座のように頭を下げる。
「数々のご無礼どうかお許し下さい!!」
「伝説の聖騎士様に救って頂けるとは光栄の極み!
お姿を拝見させていただき、感慨の至でございます!!」
「あーーー、こうなっちゃうかー……ごめんなさい、頭を上げてください。
私はこれを持っていますが来訪者なんですよ、だからそんなにかしこまらないでください……」
「来訪者様であってもその腕輪をお持ちということは女神アルテス様の真の騎士であることは間違いありません!!」
よし、これは隠しておこう。ユキムラは決めた。
大事なときだけ使用させていただきます女神様。と心に誓うのであった。
「師匠、馬車も直しておきました。ただ、馬はすでに事切れていました……」
「仕方がないね……お墓作ってあげよう」
「ワン!!」
「え? タロ引ける……か、そしたらお願いできる?」
「わうん!」
任せてと言った感じで馬車の前に立つとささっと馬車を引く部分を改造して身体に取り付ける。
「あとはこいつらを運ぶ荷台も作らないとな……」
「ユキムラちゃーん作ってあるわよー」
ヴァリィがそこら辺の木で荷台も作ってくれていた。
車輪も木製だし、足回りもそのままなので乗り心地は最低だろう。ちょうどいい。
「ユキムラ様……はっ! そう言えば救っていただいたのに名も名乗らず大変失礼しました!
私が旅団をまとめております。こちらが俺の、あいえ私の手伝いをしてくれているベトス」
「先程は命を助けていただき、本当にありがとうございます」
「そして、護衛のサイナとコウ、後は客のナストさんとキアさんです」
「さ、先程は無礼を申しまして……何卒……何卒お許しを……」
「い、いや全然気になさらないでください。いや、ほんとに」
「ユキムラ様あんなすごいポーションまで頂いてしまって……ありがとうございます!」
「ユキムラ様、光栄です。生きて真の聖騎士様を見ることが叶うとは……」
それからもユキムラは必死に普通にするように頼み込んでほんの少しましになった。
「あと、私のこの腕輪の事は他言無用にお願いします。
普通に旅を楽しみたいので……」
ユキムラもある程度予想ができていたのに安易に見せたことを反省していた。
この腕輪はVOではケラリス神国のクエストをすべて終わらせて救国の戦士となった暁に手に入れるもので、これがあればケラリス神国では王を超える地位を約束される代物だ。
女神の代行者という立ち位置になる。その通りなんだが、こういう扱いは苦手だった。
スムーズに話が進むアイテムもらえないかなーと軽い気持ちで頼んだ自分を恨んだ。
もちろん聖騎士様がそうおっしゃるのなら、深遠なお考えが……と皆口外しない約束はしてくれる。
神の名に誓って必死に守ってくれるだろう。
僧侶であるナストさんの持つタリスマンは女神の腕輪からの加護をもらったので、この国ではとんでもない物になる。家宝にすると泣いて喜んでいた。
タロは軽々と馬車を引いて歩いてくれている。
全く揺れることもなくなった馬車に皆驚いていたが、取り敢えず進路をリッポンへと向ける。
小さな村だがウーノの街と聖都ケラリスを結ぶ街道沿いにあるために旅人向けの設備は充実している。
基本的にこの国にはそういった街道町がほとんどだ。
途中木の柵と侮って大暴れした盗賊たちが強固な檻の反撃で骨折したりしたが、大したことにもならずにリッポンの村へと日が暮れる前に到着する。
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