老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

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322話 リスタート

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 ユキムラ達が消えたケラリス神国の世界。

 女神と神による共同作業で本来の世界の姿に組み込まれていく。

 ユキムラ達が各国を訪れたことによる影響を統合して、無理のないように一つの大きな世界に戻していく。

 ユキムラが復活させた神々は、自身の持つ能力をフル稼働させてその作業を行った。



「やばい……妖精が見える……」



「仮眠してきなよ、そっちのこっちで受け持っとくから……」



「悪い……30分で戻る……」



「オトハー、キサラー、テンゲン上がったよー! チェックよろしく!」



「オトハ、俺に回して、こっちで処理する。

 そのかわりケラリスが想像より大きくなってるから、なんとかして、ホントに、マジでお願いします」



「はいはい、って……まじかぁ……こーれーはーしーんーどーいー……

 ミヤコ、トトリ、シラセ3人でアイツのモニタリング継続して引き継いで、こっちがヤバイっす」



「苦労しておるのーオトハ、それはたぶん古臭い技術だが、こうやってな、こうすると……」



「ローム様すごい! その案いただきますねー。アルテスー、ドーナッツおかわりー!」



「はーい!」





 神たちも、頑張っていた。



-----------------------------------





 のどかな森の一画、少し開けた広場になっている草原。

 木々の間を風が通り、草木を揺らす。

 小鳥のさえずりや虫の声ぐらいしか聞こえない静かな空間だ。

 その静寂を破る激しい雷鳴が何もない中空から発せられる。

 雷は塊となり空間に穴が開けられていく。



「えっ、ちょっと高い!」



 その穴からはぞろぞろと人影と一匹の獣が落ちてくる。

 結構な高さがあったはずだが、草原に音もなく着地する。



「あー、びっくりした」



 黒髪に色気のあるタレ目、ため息が出るほどの美青年。



「なんであんなところに出たんでしょうね師匠?」



 少し幼さも残る童顔だが、将来が楽しみな青年。



「地面の中よりは良かったですけどね」



 可愛いというよりは綺麗と言う言葉が似合う女性。



「なんか、のどかなところに出たわねぇ……」



 天に与えられしはちきれんばかりの恵体でなぜかオネェ言葉の大男。

 

「わんわん!」



 神々しささえも感じさせる、白銀の輝きの被毛の聖獣、見た目は犬。



 5人が再びプラネテル王国の地を踏んだ。



「ああ、たぶんここは……やっぱりそうだ。俺が一番最初に降りたとこだね。

 大丈夫、街はちゃんとあっちにあるね」



 ユキムラが広場からつながる獣道を指差す。



「ああ、懐かしいですねー。最初に師匠と出会ったところですね!」



「なんか、レンもソーカも若返ったね……よく見ると……」



「え、あーーーーーー!! ち、小さくなってる……ユキムラさーん……」



「い、いやぁ……ノーコメントでいいかなソーカ……」



「ああ、僕の背も……ま、また伸びますよ。ソーカねーちゃんもこれから成長するだろうから気にしないで平気でしょ」



「絶対?」



「ソーカちゃん、レンちゃんに聞きにくいこと言わせないの、ユキムラちゃんに一杯愛してもらいなさいな」



「ゔぁ、ヴァリィ……」



 ユキムラは周囲の状況を調べるために調査用ドローンを飛ばす。

 全員久しぶりのホバーボードで懐かしのサナダ街へと進んでいく。



「城壁の絵画はあるんだねー、今、いつなんだろ……」



「商会に行ったら情報収集していきましょう!」



「久しぶりね……我が家に帰ってきたって気分になるわねぇ~」



「お母さん元気かな……」



「レンも両親に会うの久しぶりだな!」



「なんか、身体は昔に戻っても色々と記憶がごちゃごちゃして不安ですよ……」



「正門が見えてきたわー」



「おーい! ただいまー!」



「おお! ユキムラ様達! お待ちしておりました、客人がお見えになっておられて探していたのですよ! 館の方へ案内しておりますのでどうかお戻りください!」



 衛兵に礼を言って館へと向かう。

 街では住人たちが楽しそうに労働に勤しんでいる。

 こういった光景は以前のままだ。

 皆が喜んで『働いて』いる。



 怖い怖い。



「ユキムラ様おかえりなさいませ。

 お客人を応接間にお呼びします。

 どうぞそちらでお待ち下さい」



 執事長も嬉しそうに館の主を出迎えてくれる。

 ここまでで時間の旅の影響はレンとソーカの肉体変化以外は感じていない。

 しかし、応接間を開くととんでもない変化とご対面だ。



「こんにちはユキムラさん。私がわかるかな?」



「え!? あ、アルテ「アルテリーナと申します。これからよろしくお願いしますね」



 応接間で待っていたのは、目もくらむほどの美女、女神アルテスことアルテリーナという女性だった。



「えーーーっと、すみませんちょっと内密の話があるので私達だけにしてもらえますか?」



「かしこまりました。アルテリーナ様、ユキムラ様、何か御用があればお呼びください」



 執事長が退室していく。



「えっと、流石に説明をお願いしますアルテス様」



「そうね、ただ、まずは長い長い旅。お疲れ様。おかげで我々の仲間は全て揃いました。

 本当に感謝します。

 で、この世界に戻ってきたわけなんですけど、ぶっちゃければ、テスト稼働一回もしてないようなギリギリのラインなの。

 そこで、私は最もこの世界に変移を起こすあなた達の側でリアルタイムにデータを収集し、エラーが起きないように調整する役目をすることになったの」



「なんという人手不足……」



「ほんと、あんなデスマーチ久しぶりよ……今頃オトハはカロリーの海でリフレッシュしてるわ」



「オトハ様……」



「話を戻すと、今はこの姿でいますが、基本的にはあなた達のネックレスの中にお邪魔してます。

 残念ながら戦闘とかそこら辺にはノータッチ。

 ホントに見ていて、必要な指示を出す感じです。

 ちゃーんとプライバシーには考慮して、あなた達の行動は見てませんから。

 世界の動向に目をやるので精一杯なので……」



「? それならなんでわざわざそのお姿で?」



「オホホホ……、ちょっとデスマーチしんどかったから、数日この街でのんびりさせてもらったのよー。

 素晴らしいわねこの街は!

 全部終わったらみんなと一緒に遊びに来よっと。

 そんなわけで、私は街を出たらあなた達にくっついていくのでよろしくね」



 ユキムラ達に拒否権はない。

 それから統合された世界で使用できる転移アイテムなども全てネックレスに統合されているなど、幾つかの変更点の説明を受けて、アルテスは帰っていった。



 こうして、新世界におけるユキムラ達の旅が始まる。



 魔王との戦いまであと1年。
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