【完結】【R18】キス先① あなたに、キスのその先を。

鷹槻れん

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連絡先と連絡手段

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 その日の夕方、私は仕事から帰宅するなり即行でお風呂へ入った。

 いつもならテレビを見たり読書をしたりして少しくつろいでから入浴するのを、今日だけはお母様に「仕事で汗をかいてしまったので」と嘘をついて先にお湯を頂く算段をした。

(……お母様、嘘をついてしまってごめんなさい)

 心の中で謝りながら、それでもさすがに本当のことは絶対に言えない、とも思って。

 脱衣所で服を脱ぎながら、ふと会議室でのことを思い出した私は、恥ずかしさに動きを止める。

 あの後、修太郎しゅうたろうさんに許して頂いてショーツは身につけることが出来たものの……クロッチのところが冷たく濡れていて、トイレで拭ってもやはり心地悪くて。
 結局、生理でもないのに生理用品のお世話になってしまった。

 それがなんだかとても恥ずかしくてたまらなくて……。

 修太郎さんに思いっきりうらぶしを言いたかったけれど、いざ修太郎さんのお顔を見ると恥ずかしいのとドキドキするのとの相乗効果で、何ひとつ言いたいことが言えずに一日を終えてしまった。

(すっごくすっごく悔しいのですっ)

 家でナプキンを捨てて、察しのよい母に変に勘ぐられるのは嫌だったので、帰る間際まぎわに市役所のお手洗いで処理して帰った。

 そういうことをする自分が何だか不良娘みたいに思えてしんどくて、都市計画課の皆さんへの挨拶もそこそこに、私は帰途についた。
 修太郎さんには恥ずかしさから皆さんにしたのよりももっと素っ気ない挨拶だけでお別れしてしまった。

 そんな私に、修太郎さんが何か言いたそうなお顔をしていらしたのには気づいていたけれど、どう接したらいいのか分からなかった私は、気付かないふりをして足早に庁舎を後にした。

 服を全て脱ぎ終わって、最後にショーツをおろすと、クロッチ部分が何となくゴワゴワとした手触りで、それが下着が濡れていた証拠みたいに思えて、恥ずかしくてたまらなくなる。
 お風呂に持ち込んで下着をもみ洗いすると、ぬるりとした感触がして、そのことに驚いて思わず動きが止まる。

(私、修太郎さんの前で何てはしたなく乱れてしまったのでしょうっ)


 止まったままの手に気がついて、恥ずかしさも一緒にこそぎ落とすみたいにショーツをもみ洗いしながら、今まで自分がいかに子供っぽい毎日を送ってきたのかを思い知らされたような気持ちになった。

 今日私が体験したことは、もしかしたら同年代の女性ならばすでに経験していても不思議ではない事なのかもしれない。

 でも、私には刺激が強すぎて。

 結婚するまでは、夫になる方にみさお立てをするものだと、幼いころから言われてきたのに、こんなことになってしまうなんて……。私は両親も裏切ったことになるのでしょうか。

(私、健二けんじさんとはやっぱり結婚できないのですっ)

 修太郎さんに心奪われた時にもそう思ったけれど、心の片隅にまだほんの少し残っていた躊躇ためらいのようなもの。それが、今日のことですっかり消除しょうじょされてしまった。
 
 結婚前なのに、異性に恥ずかしいところを見られてしまった私は、もはや修太郎さんと共に歩む以外の道は残されていないとすら思ってしまって。

 我ながら、その思い込みの激しさに溜め息がもれる。

(でも……ややっぱり私、一緒にいるのは修太郎さん以外には考えられないのですっ)

 だとしたら――。

 先の歓迎会の日にタクシーの中で修太郎さんに念押しされたことをちゃんと果たさなければ、修太郎さんの横に並ぶ資格すらないと思った。
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