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1.甘くておいしい果実
異国の少女?
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「私はリリアンナ・オブ ・ウールウォード。エスパハレに住んでいるの。お父様やお母様からはリリーって呼ばれているわ。よろしくね、ランディリックさん」
愛らしくスカートの裾をつまんで一丁前に膝折礼をしてみせる少女に、ランディリックは「ランディで構いませんよ、リリアンナ嬢」と答えたのだが、どうやらリリアンナはそれが不満だったらしい。
「だったら私のこともリリーって呼んでくれなきゃフェアじゃないわ、ランディリック様」
先ほどは「さん」付けだったはずなのに、あえて「様」付けでランディリックを呼んだリリアンナが、小さな唇を突き出して拗ね顔をする。幼く見えても立派に淑女なのだと感じさせられるその仕草に、ランディリックは「これは失礼いたしました、リリー」と返しながら、口の端を緩めずにはいられなかった。
さて、今リリアンナが口にしたエスパハレは、イスグラン帝国の王都名だ。ランディリックは、実はそのことに少し驚いていた。
(イスグランの人間で、彼女の髪色は珍しい。血縁にマーロケリー国の者でもいるんだろうか)
てっきりその見た目から、リリアンナのことを異国の少女だろうと目星をつけていたランディリックにとって、彼女の答えは意外だった。
ランディリックが統括する予定の領地ニンルシーラと国境を隔てたすぐ先の隣国・マーロケリーには、彼女のような赤毛の人間が多い。
***
「ところでランディ。誰か頼れる人は? もしも一人旅なら……私、お父様とお母様に頼んで……」
少し物思いに耽り過ぎていたらしい。不意に降ってきた心配そうな声音に、ランディリックは意識を引き戻された。
「大丈夫だよ、リリー。今はちょっとはぐれてしまっているけれど、友人と乗船しているから」
「本当? 私をじっと見つめてきてたのって、一人にされるのが不安だったからじゃないの?」
どうやらランディリックがリリアンナの赤毛をぼんやり見詰めていたのが、寂しそうに彼女を引き留めたがっているように見えてしまったらしい。そんなリリアンナの優しさを無下にしたくなくて、ランディリックは柔らかく微笑んでみせた。
「不安がないと言えば嘘になるけど……連れとはじきに合流できるはずだ。彼は優秀だから……すぐに僕のことを見つけてくれると思うよ?」
友・ウィリアムは、ランディリックの幼なじみだ。いい意味でも悪い意味でも、ランディリックの行動パターンをよく理解している。
「なら安心ね? けどランディ。私、貴方のお連れさんがいらっしゃるまで、ここにいても構わないかしら?」
言うなり、リリアンナはランディリックの返事も聞かず、彼の横へちょこんと腰かけた。
そうして結局。ウィリアムが「やっと見つけた!」と駆け寄ってくるまで、ランディリックの傍にいてくれたのだ。
もっとも途中で眠ってしまって、ウィリアムに頼んで両親の元へ送り届けてもらわねばならなかったのだけれど――。
愛らしくスカートの裾をつまんで一丁前に膝折礼をしてみせる少女に、ランディリックは「ランディで構いませんよ、リリアンナ嬢」と答えたのだが、どうやらリリアンナはそれが不満だったらしい。
「だったら私のこともリリーって呼んでくれなきゃフェアじゃないわ、ランディリック様」
先ほどは「さん」付けだったはずなのに、あえて「様」付けでランディリックを呼んだリリアンナが、小さな唇を突き出して拗ね顔をする。幼く見えても立派に淑女なのだと感じさせられるその仕草に、ランディリックは「これは失礼いたしました、リリー」と返しながら、口の端を緩めずにはいられなかった。
さて、今リリアンナが口にしたエスパハレは、イスグラン帝国の王都名だ。ランディリックは、実はそのことに少し驚いていた。
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「ところでランディ。誰か頼れる人は? もしも一人旅なら……私、お父様とお母様に頼んで……」
少し物思いに耽り過ぎていたらしい。不意に降ってきた心配そうな声音に、ランディリックは意識を引き戻された。
「大丈夫だよ、リリー。今はちょっとはぐれてしまっているけれど、友人と乗船しているから」
「本当? 私をじっと見つめてきてたのって、一人にされるのが不安だったからじゃないの?」
どうやらランディリックがリリアンナの赤毛をぼんやり見詰めていたのが、寂しそうに彼女を引き留めたがっているように見えてしまったらしい。そんなリリアンナの優しさを無下にしたくなくて、ランディリックは柔らかく微笑んでみせた。
「不安がないと言えば嘘になるけど……連れとはじきに合流できるはずだ。彼は優秀だから……すぐに僕のことを見つけてくれると思うよ?」
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「なら安心ね? けどランディ。私、貴方のお連れさんがいらっしゃるまで、ここにいても構わないかしら?」
言うなり、リリアンナはランディリックの返事も聞かず、彼の横へちょこんと腰かけた。
そうして結局。ウィリアムが「やっと見つけた!」と駆け寄ってくるまで、ランディリックの傍にいてくれたのだ。
もっとも途中で眠ってしまって、ウィリアムに頼んで両親の元へ送り届けてもらわねばならなかったのだけれど――。
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