【完結】【R15】優等生の秋連くんは幼なじみの忠成くんを落としたい

鷹槻れん

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『温度差』Another story √2

温度差はあるけれど2

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 俺が目覚めたことに気が付いた忠成ただなりが、椅子から立ち上がって俺の顔を覗き込んできた。

「……忠成。……お前、ここで何してるんだよ?」

 状況が状況だし、思わずそう言ってしまっても仕方ないだろう。

 つぶやいた声は風邪と、長いこと声を出していなかったのとでかなりかすれていたけれど、すぐ傍にいた忠成にはちゃんと聞き取れたらしい。

 目覚めて最初の問いかけが――しかも2週間ぶりに口を利いたというのに――幼なじみを責めるようなセリフというのもどうかと思ったけれど、俺にはそんな言葉しか出てこなかった。

 俺の声に驚いた顔をして、

「しんどそうだな……」

と漏らしたあと、

「お前が……3日も学校に来なかったからだよ」

 だから心配になって見舞いに来たのだと、忠成は言った。

「お前を怒らせた俺には……幼なじみを心配する資格さえないのか?」

 不安そうに俺を見つめる忠成に、俺は言葉に詰まる。

 ややして、俺は忠成から何となく視線をらすと「……そういう意味じゃねぇよ」と答えた。そうしてその後に、小さな声で「心配してくれて有難う。……あと、気ぃ揉ませて悪かった」

 そう、付け加えた。

 そこまで言ってから、俺は身体を起こしてベッドに座ると、忠成ただなりに目だけで椅子に座ることをうながす。

 正直顔を覗き込まれたまま話されるのは、忠成との距離が近過ぎて落ち着かなかったから。

 なのに――。

「お前、起き上がって平気なのか?」

 体位を変えた俺を見て、忠成が心配そうな顔をして額に手を伸ばしてくる。

「……いや、大丈夫だからお前も座れ」

 忠成の手を寸前で払うようにしてかわすと、俺はそう言って椅子を指差した。

(だからそういう態度が俺に勘違いさせるんだと、いい加減気付けよ)

 手を払われて、一瞬悲しそうな顔をした忠成だったが、俺の指示にしぶしぶ従って椅子に座ってくれた。それでも椅子ごと俺の方へにじり寄ってきて距離を詰める。

 その行動に、俺は思わず溜息が漏れた。

(マジで勘弁してくれ。俺は必死でお前から距離を取ろうとしているのに……何を考えてんだよ)

 俺は、俺の心をかき乱すことばかりする幼なじみを、心底恨みがましい気持ちで見つめた。

「お前さ、もう少し俺をフッたこと、自覚しろよ……」

 あんまり忠成がいつも通りの態度を取ろうとするから、俺は彼を睨むようにしてそれだけを何とかつぶやいた。

 その言葉に、忠成が気まずそうな顔をしてうつむく。

(おい、まさか言われて気が付いた系か?)

 忠成を無言で見つめながら、またしても密かな吐息が漏れる。
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