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*ふたりの初めて

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 これでいいよね?って……俺に褒められるのを期待したように、恐る恐るこちらを見つめてくるの、たまらなくんだけど?


 俺はそんな音芽おとめにさらに追い討ちをかけてやる。

「その次、どうしたらいいか、言われなくても分かるよな?」

 わざと音芽を見下ろすように意地悪くそう告げて、彼女の腰から下にまとわりついたままのワンピースに視線を注ぐ。


 それを取ってしまったら……音芽がショーツ1枚だけになってしまうのを承知の上で、音芽を試すんだ。


 恥ずかしがり屋の音芽が、たとえ俺からの命令とはいえ、そこまで出来るかどうかはある種の賭けで。

 出来ないなら出来ないで問題ないと思いながらも、どうしたらいいか悩み戸惑う音芽が見たくて仕方がないとか。


 俺も大概ドSだよな。

 無意識、なんだろう。

 覆うもののなくなってしまった、少し小振りだけど形の良い愛らしい胸を隠して、泣きそうな目ですがるように俺を見上げてくんの。


 そんな顔されたら、俺がさらにお前のこと虐めたくなっちまうって……。何で分かんねぇのかな?



音芽おとめ、俺、胸隠していいって言ったっけ?」

 って言いたくなる程度には。



「ごめ、……なさい」

 途端しゅんとして小さな声でそう謝罪する従順すぎる音芽が愛しくて愛しくて!

 音芽はそんな自分の言動が信じられないし信じたくないんだろう。

 謝った自分を恥じるみたいに小さく縮こまって、それでも俺の言いつけは絶対みたいに恐る恐る胸から手を下ろすんだ。


 ピン、と固くしこっているのがわかる、愛らしい色付きの先端が、俺を誘っているようにしか、見えない。

 今すぐにでもそこへ口付けて音芽おとめあえがせたい……。
 なんて気持ちを懸命に抑える俺を見上げて、音芽が真っ赤になりながら、声を震わせて小さく言った。

「……あ、あのね、温和はるまさ。スカート……し、下は……恥ずかしくて、自分では……無理……。ど、どうしてもって言うなら、温和はるまさが……」

 それだけ言うのでも恥ずかしくてたまらないんだろう。

 音芽も色んな意味で一杯一杯なのだというのが分かって、俺は危うく理性を飛ばしそうになった。

 けど、まだだ。

 俺はそれを押し留めるように小さく息を詰めてから、音芽を目をすがめて静かに見下ろすんだ。

 そんな俺の視線を、潤んだ瞳で音芽が見つめ返してくるの、すげぇ
 もっといじめて泣かせたいって思っちまうほどに。

「――俺が、何?」

 音芽が何を言いたいのか分かっているくせに、その先を彼女の可愛い口からハッキリと言わせたくなった。
 俺が意地悪したくなるのは音芽がいじめられたそうにしてるからだ。

 な? そうだろ、音芽。

 頑張って言えよ。
 俺にどうして欲しいのか、ちゃんと。
 そうしたら俺、今度こそお前の望み、叶えてやるぜ?
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