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17.出しっぱなしのカップ
胸騒ぎ
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***
結葉が目覚めたとき、偉央はリビングに置手紙だけを残して仕事に戻っていた。
別にそんなに体調が悪いわけではなかったし、自分では寝込むほどではないと思っていたけれど、実際は寝巻きに着替えてベッドにもぐり込んだらあっという間に眠りに落ちてしまっていたみたいだ。
(……私、思ったより疲れてたのかな)
思えば、このところ偉央の横では緊張してよく眠れていなかったことを思い出す。
ノロノロと立ち上がってリビングに行くと、偉央が連れ帰ってきたハムスターと目が合った。
たまたまあちらも起き出してご飯を頬袋に詰め込んでいたらしい。
望んだ癒しとは違ったけれど、自分以外の小さな生き物が家の中にいるというのはやはりいいなと思ってしまった結葉だ。
「――仲良くしようね」
こちらをキョトンとした顔で見つめてくるつぶらな瞳に声を掛けてから、まだ名前が決まっていないことをふと思い出した。
偉央は何も言わなかったけれど、結葉が名付けてもいいのだろうか?
そんなことを思いながら室内を見回したら、食卓の上に折りたたまれた白い紙が置かれているのが目に付いた。
コピー用紙を四つ折りにしただけのそれには表に『結葉へ』と書かれていて、偉央から結葉に当てた手紙だというのが分かった。
広げてみると、見慣れた偉央の几帳面な筆跡で、
『結葉、目が覚めたかな?
ハムスターの名前は結葉が決めてくれたらいいからね。
ちなみに男の子だよ。
今日はなるべく早く帰るようにする。
夕飯は作らなくていい。
たまには一緒に何か食べに行こう。
外出に備えてしっかり身体を休めておいて。
――偉央』
としたためられていた。
文面からも、結葉が眠りにつく前に感じた優しい偉央の姿しか浮かんでこなくて。
結葉はギュッと胸を締め付けられる。
偉央のことをただただ恐れている自分が、とてもいけない気がして。
何とか気持ちを切り替えて、偉央さんと向き合いたい、と思った結葉だったけれど。
ふと宛名が書かれていた側とは逆側の一面を見て、何故か胸騒ぎを覚えてしまった。
『追伸
食卓の上のカップふたつ、洗っておいたからね』
内容としてはなんと言うことのない連絡事項だ。
だけど――。
いつも結葉がダウンしているときには、偉央は何も言わずに家事をこなしてくれるはずで……。
わざわざこんな風にやってくれたことを報告してくること自体ないことだったから物凄い違和感を感じてしまう。
「偉央、さん?」
そこに偉央がいないことは分かっているのに、結葉はそうつぶやかずにはいられなかった。
結葉が目覚めたとき、偉央はリビングに置手紙だけを残して仕事に戻っていた。
別にそんなに体調が悪いわけではなかったし、自分では寝込むほどではないと思っていたけれど、実際は寝巻きに着替えてベッドにもぐり込んだらあっという間に眠りに落ちてしまっていたみたいだ。
(……私、思ったより疲れてたのかな)
思えば、このところ偉央の横では緊張してよく眠れていなかったことを思い出す。
ノロノロと立ち上がってリビングに行くと、偉央が連れ帰ってきたハムスターと目が合った。
たまたまあちらも起き出してご飯を頬袋に詰め込んでいたらしい。
望んだ癒しとは違ったけれど、自分以外の小さな生き物が家の中にいるというのはやはりいいなと思ってしまった結葉だ。
「――仲良くしようね」
こちらをキョトンとした顔で見つめてくるつぶらな瞳に声を掛けてから、まだ名前が決まっていないことをふと思い出した。
偉央は何も言わなかったけれど、結葉が名付けてもいいのだろうか?
そんなことを思いながら室内を見回したら、食卓の上に折りたたまれた白い紙が置かれているのが目に付いた。
コピー用紙を四つ折りにしただけのそれには表に『結葉へ』と書かれていて、偉央から結葉に当てた手紙だというのが分かった。
広げてみると、見慣れた偉央の几帳面な筆跡で、
『結葉、目が覚めたかな?
ハムスターの名前は結葉が決めてくれたらいいからね。
ちなみに男の子だよ。
今日はなるべく早く帰るようにする。
夕飯は作らなくていい。
たまには一緒に何か食べに行こう。
外出に備えてしっかり身体を休めておいて。
――偉央』
としたためられていた。
文面からも、結葉が眠りにつく前に感じた優しい偉央の姿しか浮かんでこなくて。
結葉はギュッと胸を締め付けられる。
偉央のことをただただ恐れている自分が、とてもいけない気がして。
何とか気持ちを切り替えて、偉央さんと向き合いたい、と思った結葉だったけれど。
ふと宛名が書かれていた側とは逆側の一面を見て、何故か胸騒ぎを覚えてしまった。
『追伸
食卓の上のカップふたつ、洗っておいたからね』
内容としてはなんと言うことのない連絡事項だ。
だけど――。
いつも結葉がダウンしているときには、偉央は何も言わずに家事をこなしてくれるはずで……。
わざわざこんな風にやってくれたことを報告してくること自体ないことだったから物凄い違和感を感じてしまう。
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そこに偉央がいないことは分かっているのに、結葉はそうつぶやかずにはいられなかった。
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