コミュ障なTS美少女吸血鬼とコミュ力高めで女の子好きな女騎士

ユウギリ

文字の大きさ
9 / 46

コミュ障吸血鬼、憤慨する

しおりを挟む

 リビングに残された僕とリオナ。
 え、なにこれ、すごく気まずい……。
 さっきはアンナがいたからよかったけど、二人っきりになるとなにを話せばいいのかわからない。
 頭が真っ白な僕は、顔を俯かせ、それでも〝なにか話さなきゃ〟と頭を回転させる。
 まぁ、それでなにか話せるなら今まで苦労しなかったし、コミュ障にもなってないわけで――なにも話すことが見つからないのは当然のことだ。
 それでも――


 ――なにか、なにか話さないと……。


 そう思った僕は思考をフル回転させる。
 それでもなにも思い浮かばず、気が落ちてさらに顔が俯く。
 アンナのバカ……なんで僕とリオナを二人っきりにしたんだ……。
 コミュ障な僕を、他人と、それも襲い掛かってきた人と二人っきりにするなんて……罰を重くしてやろうか。
 怒りが煮えたぎっていると、不意に肩になにか鋭いものが触れた。

「……!?」

 驚いた僕は、反射的にソファーの側面に跳んだ。
 恐る恐る覗くと、手を伸ばしたリオナが、ばつが悪そうな顔をして立っていた。
 な、なんだ、ただ単に触れようとしただけか。
 てっきり、刃物でも突き付けられたのかと思って、全力で逃げちゃった。
 僕、反射神経だけはいいんだよね。
 定規を落として掴むやつ、〝0〟と〝定規の端〟の間の〝隙間〟を、親指と人差し指で挟んで止めれたし。
 まぁ、自分で落として自分でキャッチしたから、キャッチできて当然かもだけど……。
 それでも、今の動きを見れば反射神経がいいのは一目瞭然だと思う。
 そんなことより、反射的にとはいえ全力で逃げちゃったんだから、リオナに謝らなきゃ。
 こういう場合、顔を見ず勢いで言った方が緊張せずに言えるので、僕はソファーの側面で顔を隠しつつ謝った。

「……ご、ごめんなさい……!」
「いや、こっちこそ、驚かせてしまったようですまない……。許してくれ」

 優しい声で謝るリオナ。
 でも、それに対して返す言葉が出てこなくて、僕は黙り込む。
 リオナも、それ以降なにも言ってこなくなり、再び場に沈黙が流れる。
 き、気まずい……。
 早く戻ってきてよ……アンナ。
 その直後、いきなりアンナの叫び声が聞こえてきた。

『決まらない!!!』

 遠くからなのにハッキリと決まらないって聞き取れた。
 よほどの大声で叫んだようだ。
 と思ったけど、リオナには聞こえていないようで、ソファーの側面から見たリオナは、全く反応を示していなかった。

「い、いま、アンナの声、した……よね?」
「えっ?」

 僕が話し掛けたことに驚くリオナ。
 それでも、僕の問いに答えてくれた。

「あ、いや、オレには聞こえなかったぞ?」

 えっ、聞こえたの僕だけ?
 そういえば、遠くのはずなのにクリアに聞き取れた。
 ということは……僕、前世のときより格段に耳がよくなってる……?
 そう思って耳を澄ますと、今度はアンナの歌声が聞こえてきた。

『ど~れ~に~し~よ~う~か~な、い~だ~い~な~る~そ~う~ぞ~う~し~ん~さ~ま~の~み~こ~こ~ろ~の~ま~ま~に……!』

 えっ、それってたぶん、僕の前世で言うところの「どれにしようかな、天の神様の言う通り」だよね?
 というか、アンナはなにを選んでるんだろうか。
 ……まさか、僕に用意する服を選ぶのに使ったわけじゃないよね?
 もしそうなら罰を重くするけど。
 そう思ったところへ、リオナが口を開いた。

「吸血鬼の種族は、特別耳がいいらしい。コウモリが出している超音波すら聞き取ることができると、村の書物で読んだことがある。あの変態の声が聞こえたのは、そのせいだと思う」

 なるほど。
 というか、リオナ、アンナのこと変態認定してるんだ……。
 同意見だけど。
 再び耳を澄ませると……

『ど~れ~に~し~よ~う~か~な、い~だ~い~な~る~そ~う~ぞ~う~し~ん~さ~ま~の~み~こ~こ~ろ~の~ま~ま~に……!』

 さっきと同じ歌を唄ってるけど、アンナ、もしかしなくてもそれ、僕に用意する服を選んでるよね?
 あと8回繰り返すつもりだよね?
 さすがに、そんな選び方された服を着るつもりはないよ?
 そっか、アンナにとって僕って、そんなに価値はなかったのか……。
 そう思うと、はらわたが煮えくり返るような気分になった。


 ――よし、決めた!


 一緒にお風呂に入れなくなる期間を、一週間から二週間に引き延ばそう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...