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閑話 ~とある洞窟にて~
しおりを挟む時は少し遡り、ティアナがお城に向かっていた頃。
とある洞窟内にて、多数の吸血鬼が集まっていた。
年寄りの吸血鬼から子どもの吸血鬼までおり、まるで一つの集落のような顔触れ。
「俺達、いつまであんな吸血鬼の言うことを聞かなきゃいけないんだ……!」
「仕方ないだろう!? あの吸血鬼に吸血鬼にされて、勝手に主従の契約を結ばされちまったんだからよ!」
「でも、このままじゃ俺達、リオナを捕まえるために使われちまうんだぞ!?」
そう、何を隠そうこの吸血鬼達、リオナがいた〝北村〟の元村人である。
「どうせ命令されたら逆らえないんだから、どうしようもないだろ……」
元村人の言う通り、吸血鬼になり契約を交わした者が主からの命令を受けると、自分の意思に関わらずその命令を実行することになる。
故に、諦めの言葉が出てくるのも必然だ。
「けど、なんとかあいつを倒せれば、リオナに苦労をかけさせずに済むぞ」
「だが、どうやって倒すんだ? 勇者の末裔である俺達が束になっても勝てなかった相手だぞ?」
「簡単だ。王国最強の騎士〝戦女神〟に倒してもらうんだ」
「でも、どうやって……」
「あなたたち、おもしろい話をしてるわね」
『!?』
突如目の前に現れた幼女に、元村人達が驚く。
「私を倒そうだなんて、思い上がりも甚だしいわ。勇者の末裔だって言うあなたたちでさえ私に勝てなかったのだから、たかが騎士ごときに負けるわけないでしょ?」
自信満々の物言いに、元村人達は内心イラついている。
表情に出ている者もいる中、幼女は何食わぬ顔で言葉を続けた。
「そうだ、さっき、いいものを見つけたのよね。あなたたちに連れてきてもらおうかしら」
それを聞いた元村人達は、リオナのことかと警戒を強める。
「あなたたちの思ってる子じゃないわ。もちろん、その子も絶対に私のものにするけど、今は、一緒にいる子の方に興味があるの」
「リオナと、一緒に……?」
つまりそれは、リオナが見つかったということで、まずいことなのでは?
そう元村人の誰もが思った。
「そう。その子ね、吸血鬼なのに、人間と一緒にいるのよ」
『!?』
この吸血鬼の幼女に見つからないように祈っていたのに、吸血鬼と一緒にいると聞かされ、元村人達は騒然とする。
リオナと一緒にいる吸血鬼とは、いわずもがな、ティアナのことである。
「黙りなさい」
幼女の一言で、元村人達は一瞬で黙った。
「で、その吸血鬼の子なんだけど、ものすごく可愛いのよね。悔しいけど、私よりも……だから、その子とリオナをあなたたちに連れてきてほしいの」
「こ、断ったら?」
「その時は命令すればいいだけだもの。ご自由にどうぞ?」
それって選択肢が無いようなものじゃないか、と元村人の誰もが思った。
故に、元村人達は、断腸の思いでリオナとまだ見ぬ吸血鬼|(ティアナ)を連れてくることに決めたのだった。
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