32 / 46
コミュ障吸血鬼、アンナの容赦のなさを知る
しおりを挟む「誤魔化されんぞ!」
いい感じの雰囲気をぶち壊すように片眼鏡をかけたおじさん(宰相)がそう言ってきた。
急に大きな声出すからビクッてなったじゃないか。
「所詮、吸血鬼は吸血鬼。今は害がないように見せておいて後々本性を現す算段なのだろうが、そうはいかん。陛下、やはり今のうちに殺しておくべきです。あの吸血鬼共を討伐するご許可を」
えっ……僕、殺される?
「……構いませんが、そうなると騎士団長を敵に回すことになりますよ?」
「そうですよ、宰相様。ティアナを傷付けようとするなら、たとえ世界中が敵でも斬って捨てます。邪神を倒した私に挑む覚悟があるのなら、どうぞかかってきてください?」
あれ? 隣にいたはずのアンナが、いつの間にか宰相のおじさんの前にいる……。
しかも、剣抜いて宰相のおじさんの首に当てちゃってる。
そんなことしたら、罪に問われるんじゃ……。
「わかりますよ。吸血鬼は血を吸って人間を僕にする危険な不死者ですから。でも、ティアナは違います。見てください、あの可愛さ! あれ以上はないと思えるほど完璧に整った顔、長くてサラサラな金色の髪、そして可憐さと華やかさと儚げさを併せ持った究極の美少女なんですよ! 本当に、人に害をなすような子に見えますか?」
訴えるべきことは別にある気がするんだけど……。
そう思わざるを得ないアンナの言葉を聞いた宰相のおじさんが、戸惑いながらも僕を見てきた。
その表情というか目付きがあまりにも鋭くて怖かったため、僕は自然と縮こまる。
体の震えが止まらない。
あの人とは絶対に仲良くなれない。
怖すぎる……!
あれは完全に獲物を狙う強者の目だ。
……たぶん。
「お姉様、大丈夫です。命にかえても、私がお姉様を守りますから」
体の震えに気付いたのか、僕の胸に顔を擦り付けていたルルがそう言ってきた。
その表情は自信に満ち溢れていて、確かに守ってくれるんだという確信は持てた。
でも、なぜか絶対的な安心感がない。
それはリオナがお世話係になったときにも感じていた。
リオナもルルも勇者の末裔だったり吸血鬼だったりして強いはずなんだけど……。
理由がわからない。
「ティアナを怖がらせましたね……? 今ここで死にますか?」
「ご、誤解だ! 元々目付きが悪いのは騎士団長殿もご存知だろう!? 怯えさせてしまったのは不可抗力と言うものだ!」
「怖がらせたこと自体が罪なんですよ。怯えた姿も儚くて超絶可愛いですが、ティアナの心に傷を付けたことは事実ですから」
そう言っているアンナの背中を見ていると、なんかこう、心の安寧が保たれる気がする……。
こうして視界に入っているだけでそう思えるんだから、安心感がリオナやルルよりも桁違いに高いのは確かだ。
言動は変態そのものだけど……。
やっぱり、一番最初に出会って真っ先に僕の面倒を見るって言ってくれたからかな?
「ティアナは人畜無害な超絶可愛い吸血鬼だと認めるのなら、あなたの首は体と離れ離れになることはありません」
「み、認める! だから剣を納めてくれ!」
宰相のおじさんがそう言うと、アンナは仕方なさそうに剣を鞘に納めた。
剣を納めたのを見て、宰相のおじさんが安堵したように胸を撫で下ろす。
……それにしても、アンナって僕のことになると容赦がないよね。
国のトップツーに剣を向けるなんて、後が怖いんだけど……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる