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コミュ障吸血鬼、傷口を抉って塩を塗る
しおりを挟む僕がお願いしたこと、それは……
「どうですか、お姉様。私の膝枕」
そう、膝枕。
男なら一度はしてもらいたいことベストスリーに必ず入ると思われる膝枕。
今は女の子だけど、だからこそ遠慮なく頼める。
それに、ルルの膝枕は中々気持ちがいい。
「……んっ……うん、気持ちいい、よ……」
ルルに頭を撫でられたために変な声が漏れた。
「じゃあ、これからも、いっぱいしましょうよ。ね? いいでしょう?」
膝枕、思った以上に気持ちいいし、それもいいかもしれない。
「……うん、いいよ……」
――バァァァァンッ!!!
「良くなァァァァい!!!」
『!?』
部屋のドアがものすごい勢いで開け放たれ、叫びながらアンナが入ってきた。
「私だってまだシたことないのに、なんでその子とはする……えっ、あれ? 膝枕?」
勝手に盛り上がって勝手に鎮火するアンナを唖然と見詰める。
「……なんだと、思ったの……?」
「えっ、いや、なにも勘違いなんかしてないわよ? 膝枕をさせるなら私にしてって意味で良くないって言ったの。決してイヤらしいことを頼んでるのかと思って良くないって言ったわけじゃないわよ?」
それはもう勘違いしたって言ってるようなもんじゃ……。
いや、なにも言うまい。
「そ、それ、もう勘違いしましたって言ってるようなものじゃない……!」
ボソッと笑うのを堪えながらそう言うルル。
声が震えている。
というか、僕が言わないようにしたのに言っちゃったよ……。
アンナに聞こえないと思われたその言葉は、残念ながら聞こえていたようで……
「黙れ、燃やすわよ?」
「ぴぇっ!?」
再びルルのトラウマを抉ってきた。
……どうやら、反省してないみたいだ。
なら。
「……アンナ……」
「な、なに?」
「……もう一週間、伸ばそうか……?」
僕がそう言うと、
「す……すみませんでしたぁ! それだけは、それだけは勘弁してください、ティアナ様!」
アンナがすかさず土下座した。
「……アンナが、今したのは、そういうことだよ……」
「うっ……ティアナの仰る通りです……」
「……わかったなら、これからは、やめてね……?」
「わかった。約束する」
ふぅ、これでルルがトラウマを抉られることはもうないだろう。
ところが、
「もう一週間伸ばす? なにをです、お姉様?」
今度はルルがアンナのトラウマ(?)を抉ってきた。
でも、まぁ、一回くらいやり返させてあげてもいいよね。
その方がアンナもより理解してくれるだろうし。
「……罰……。お風呂一緒に入らない期間……」
「お風呂でなにかあったんですか?」
「……これ以上、成長しない、のに……これから大きくなる、って、言った……」
「あぁ……。それは、私が言われても怒りますね、確実に。というか、持たざる者すべてが、言われたら怒ります。特に、持つ者から言われればなおさらです」
可哀想なお姉様、と言いながら、ルルが慰めるように僕の頭を撫でてくる。
「あ、あの時は、ティアナとお風呂に入れて舞い上がってて……!」
「それでも、お姉様が傷ついたことに変わりはないんでしょう?」
「うぐっ……」
「ところで、もう一週間ということは、元は一週間だったということですよね?」
「ギクッ!?」
「お姉様、この人はなにをやらかしたんですか?」
アンナの反応を見たルルが嬉々として聞いてきた。
うーん、どうしよう?
これ以上はやめた方がいいかな……?
あ、でも、ルルの方がトラウマとしては大きいわけだし、2回も抉られたんだし、アンナだから、いいよね。
うん、教えよう。
そう決めた僕は、なぜ二週間になったのかをルルに教えた。
「うわぁ、そんな決め方で服を10着お姉様に渡すなんて……」
「だ、だって、どれもティアナに似合いそうだったから、取り敢えず10着渡そうと思って……」
「なら良し!」
『えっ?』
ルルの思わぬ反応に、僕とアンナから呆けた声が出た。
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