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コミュ障吸血鬼、言葉の刃で斬りつける
しおりを挟む部屋を出た僕は二人を探した。
耳を頼りに、声がする方へ向かう。
辿り着いたのは、リビングだった。
リビングのドアをそっと開け、中を覗くと、二人がいたのはよかったんだけど、思い切り二人と目が合った。
途端、僕は咄嗟にドアをパタリと閉めていた。
中から「えっ……?」という戸惑いの声が聞こえてきた。
自分でも戸惑った。
――あれ? 今、なんで閉めた?
と。
謝りに来たはずなのに……いや、今のは様子見と思って開けたのに、覗いた時には二人がこっち向いてたのがいけない。
今のは、僕は悪くない。
そう思ったところへ、ドアが開けられた。
ルルだった。
「お姉様、どうされたんですか?」
「うっ……あ、えっと……その……さっきは、ちょっと、言い過ぎたかな、って……思って……」
目を合わせられないため、目線を逸らして言う。
「お姉様が気にすることは何もないです。完全に私達が悪かったのですから」
「そうよ、ティアナ。謝るのは私達の方。よく考えたら、体力的に疲れなくても、精神的には疲れるんだものね。配慮が足らなかったわ」
あ、アンナが……あのアンナが、反省してる……!?
思わずアンナを凝視する。
「ね、ねぇ、ティアナ? なんでそんな意外そうな顔してるの? 私だって、反省くらいするわよ?」
「……だって、アンナは……ゴーイングマイウェイ、だから……」
サッと視線を逸らしながら言う。
「ごーいんぐまいうぇい?」
えっ、これは知らないの?
「……我が道を往く、っていう、異世界のことわざ……。――意味は……他人がどうあろうと、自分なりの生き方や、流儀を貫く……だったと、思う……」
うろ覚えだから自信ないけど、確かこんな意味だったはず。
「ティアナ」
「!?」
僕の両肩をガシッと掴んで真剣なトーンで話し掛けてきたから驚いた。
「私のこと、そんな風に思ってたの?」
「うん」
「えっ、即答!?」
だって、会ってから今までずっとそんな振る舞いしかしてないし。
極めつけは宰相のおじさんの首に剣を突きつけて脅したこと。
ゴーイングマイウェイじゃなきゃ、あんなことできるわけがない。
まぁ、アンナの場合、邪神を倒した英雄だからまかり通るっていうのもあるんだろうけど……。
「ティアナ! 私はそんな非道な人間じゃないわ! ちゃんと思いやりを持って接してるいい人よ!」
「それ、自分で言ったら意味ないやつだし、あなたが思いやりを持って接してるのはお姉様だけだし、上司に剣を突きつけておいて非道な人間じゃないなんて、よく言えるわね」
「うっ……!?」
「私が命乞いをしても謝っても、知らぬ存ぜぬで火をつけて燃やしたくせに、なにが〝非道な人間じゃない〟よ! 私以上に非道よ!」
「うぇ!? あ、それは、その……そうっ、ティアナのためだから仕方なく……ね?」
相槌を求められた。
「……僕、そんなこと、頼んでない……」
「ティアナぁ……」
裏切られたと言いたげに僕の名前を呼んでくる。
頼んでいないものは頼んでないのだから、そう言うしかない。
それが真実だから。
「……アンナって……ドMの変態に加えて、鬼畜外道、だったんだね……」
「私に対するティアナの評価がどんどん下がってる気がする……!」
「……安心して、その通り、だから……」
「ティアナぁ……」
なんでそんなこと言うのとばかりに名前を呼んでくる。
だって事実そうなんだからそう言っただけ。
後悔も反省もしてない。
燃やしたって結果だけでも、ちょっとやりすぎじゃないかと思ってたくらいなのに、ルルが話してくれた過程を聞いて、確信した。
アンナは鬼畜外道だと。
ルルが謝ったのに、それを無視して燃やしたなんて、鬼畜外道以外の何者でもない。
「……アンナのこと、見損なった……」
「えぇ!? そこまで!?」
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