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3章 それぞれの変化
3-8 報告
しおりを挟む家に帰り、駿はそのままベッドに腰を下ろした。
天井を見上げる。
ようやく、息が出来る。
スマホを手に取り、美生と直己に一言送る。
『ちゃんと話せた。大丈夫』
最初に返ってきたのは美生だった。
『良かった』
『果奈ちゃん、月曜から来れそう?』
今日の果奈の顔を思い出す。
涙の跡を残したまま笑った顔。
『来るよ。絶対』
数秒後、安堵した表情のスタンプ。
そのあと、少し間が空く。
『改めてありがとう。美生が背中押してくれなかったら、行けなかった』
『私は少し言っただけだよ。』
『1番は駿君の気持ちでしょ』
すぐに続く。
『多分、私が何も言わなくても、駿君は果奈ちゃんのところに行ってたと思う』
『なんで?』
『悩んでる顔、ずっとしてたから』
『それだけで分かるよ』
そう送られてきて、会話は終わった。
少しして、直己から通知が来る。
『良かったじゃん』
『ありがとう。直己の言葉もデカかった』
『俺なんもしてねーよ』
『それより電話できる?言葉で復縁を祝いたいし』
『復縁じゃねーけどな』
『細けぇこと言うな』
すぐに着信。
「駿、ほんと良かったな」
「ほんとに。ありがとな」
「だから俺は何も――いや、まあ少しはしたか」
照れた声。
「でもさ、正直俺が何も言わなくても、お前は行ってたと思うぞ」
「それ、美生も同じこと言ってた」
「島内さんな……」
一瞬、沈黙。
「なあ駿」
「ん?」
「俺、ちゃんと告白しようと思ってる」
声色が少しだけ変わる。
「いいじゃん」
「でもタイミングがな。考えれば考えるほど分かんなくなる」
「分かる。俺も死ぬほど悩んだ」
「やっぱ先輩は違うわ」
「やめろ」
笑い合う。
「夏休み入る前には決めたい」
「応援してる」
その時、電話の向こうで何か物音がした。
「悪い、そろそろ切るわ。じゃあな」
「ああ、またな」
通話が切れる。
静かな部屋。
今回、直己が力になってくれた。
次は、俺が直己の力になる番だ。
そう、心に決意した。
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