もう一度、やり直せるなら

青サバ

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5章 目標に向かって

5-7 約束と決意

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 同じ日の夜、駿は果奈と電話をしていた。

「明日、果奈の県大会だったね。俺も部活をサボってでも見に行きたかったけど、大会を近くに控えてるから、流石に行けないな」
「もしも、部活サボって大会見に来たら、別れるよ」
「えー、そこまで言う?」
「その代わりじゃないけど、ちゃんと守ったら、駿の大会、応援しに行くから」
「ほんとに!?」

 来週、果奈を大会に誘おうと思っていたので、嬉しさのあまり、ガッツポーズをしてしまう。

「駿がちゃんと守ったらの話だからね。後、行けるとしたら、土曜日かな」
「分かった。果奈が来るなら、もっと練習頑張るよ」
「私関係なしに頑張りなさい」
「はい…」
「ちょっと早いけど、明日大会あるし、もう寝るね」
「分かった、大会頑張って。おやすみ」
「うん、おやすみ」

 果奈との電話が終わり、さっきの余韻に浸り始める。

(果奈が大会見に来てくれるのは嬉しい。果奈に活躍してるところを見せて、俺だって負けてないんだと、伝わるように、更に練習頑張らないと。
でも、本当は果奈の大会、見に行きたかったな~)

 その後、果奈の大会に行きたかったという思いをなんとか押し殺し、明日の部活の準備などを済ませて、1日を終えた。


 ——次の日、果奈は父親である陽介の車に揺られて、大会会場へと向かっていた。
 何気なく見ていた外の景色を見ていたが、天気は晴れている筈なのに、景色が淀んで見える。

 そんな事を思っていると、お父さんが話しかけてくる。

「ぼーっと外の景色見ているけど、何が不安な事でもあるのか?」
「ううん、何でもない。心配させてごめんね、お父さん」
「そんな事で謝らなくて良いよ。話変わるけど、2年生で、県大会個人戦まで行けたのは凄いと思うよ」
「行けたけど、県大会出場決定した次の試合で負けちゃったから、ギリ行けたって感じだけどね」
「それでも、行けた事には変わり無いんだから凄いよ。お父さんなんて高校の時、卓球部で最高でも地区大会3回戦出場までしか行けなかったからさ」

 お父さんが自虐混じりで、自分を勇気づけるように返してくる。
 
「だから、自信を持って悔いが無いように挑んでくるんだよ」
「うん、分かった。実は今回の大会、絶対に達成したい目標があるんだ」
「目標?」
「地方大会出場」
「地方大会ね…あそこは化け物の巣窟で、種目に特化した人ですら行けるか、行けないのかの土俵だからな~正直、今の果奈では厳しいと思う」

 お父さんも運動部で、上の大会に行く事の難しさを知っているからこそ、重苦しい口調で応えていた。

「でも、果奈がそこを目指したいって言うんだったら、果奈は全力でプレーするのは勿論、お父さん達も全力でサポートや応援しないとな」
「お父さん…私、頑張るよ」

 そう言った後、目を瞑り深呼吸をし、大会に向けての意識を更に高めたが、握った拳は僅かに震えていた。
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