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第3話 呼び出し

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「センパーイ!」と、廊下の奥から走ってくる涼風さん。


 最近毎日こんな風に絡まれている。


 それは以前俺が芹沢さんにしていたように、毎日付きまとう。
めちゃ可愛いし、明るいし...けど、これはなかなかしんどいな。


「...おはよう、涼風さん」


「はい!おはようございます!あの、どうですか?付き合ってくれますか?」


「いや...うん。付き合うのはちょっと...」


「へへへ!そうですよね!知ってます!」


 やめてくれと言いたいけど、人にしておいてやめてというのは都合がいいよなと思って、なんとか頑張って耐え続ける。


 すると、そんな様子を見たクラスメイトに話しかける。


「なんで付き合わないんだよー。あんなに可愛いのに!」


「...いや、好きじゃないし...そんな気持ちで付き合うのはダメだろ」


「そうかー?好きになるために付き合っていうのもありでしょー!」


「...」


「なんだよー?まだ芹沢さんを諦めてないのかー?」


「それはない。ちゃんと諦めたから。けど、すぐに気持ちが切り替えられるほど、浅い好きじゃなかったし」


「ふーん?なんでもいいけど。いつか愛想尽かされるぞー」


 それは確かにその通りだ。
自分をこんなに好きになってくれる人なんて、きっとこの後の人生にはない。
それも超絶美少女が...だ。


 もう少しだけこっちから寄り添うのもありかもしれないと思った。


 ◇◆◇


「センパーイ!!」と、いつものように教室にいると彼女が入ってくる。


「おはよう、涼風さん」


「はい!おはようございます!今日もかっこいいですね!」


「...うん。涼風さんもかわいいね」


「...!?!?!?//」と、顔を真っ赤にして顔を隠す涼風さん。


 最初の印象からはかけ離れてそんな反応する彼女が可愛くて仕方なかった。


「あ、あ、あの!好きです!付き合ってくださーい!」と、言い捨ててそのまま教室を出て行った。


「...可愛いな」と、思わずそんな言葉を出してしまう。


 すると、「おーい。佐々木ー。芹沢さんが呼んでるぞー」と言われて思わず体が固まる。


「...え?」


 そのまま教室を出て廊下に顔を覗かせると、「あの...どうも」と言う。


「...どうしたの?」と、散々付き纏って呼び出していたくせに、呼び出されたら微妙な反応すると言う最低なことをしてしまう。


「...あっえっと...最近...何してるのかなーって...」と、もじもじしながらそんなことを聞いてくる。


「...特に何も...」


「何もってことはないでしょ...?ほら、聞いたよ?涼風さんと仲良くしてるって...」


「仲良く...かな?まぁ、話すようにはなったけど」


「...そう。そっか。うん。じゃあまたね」と、可愛く手を振っていなくなる。


「...何しにきたんだろ?」と、口に出してしまうのだった。
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