上 下
1 / 15

1

しおりを挟む
「こんにちは…!アラン様!!ジュリー・ローゼです!!覚えてくれましたか??」
にこりと微笑む彼女に俺は心の中で「またか…」と思った。
「覚えた」
俺がぶっきらぼうに言うと彼女の表情がぱぁっと明るくなる。
「嬉しいですわ!!!頑張った甲斐がありました…!」

「……はぁ…」
ため息が出るのも仕方ない。
俺はこの令嬢が苦手だ。
学年が上がりクラスメンバーの変更を言われた。
彼女は見た目によらず頭は良いらしく俺と同じクラスだ。
そこで俺は目をつけられた。
「か、かっこいい!!!」だなんだと1人盛り上がっていた。
俺自身容姿が他より優れているのは知っている。
だからこそ見た目で寄ってくる令嬢達が苦手だった。
「はじめまして…!私ジュリー・ローゼと申します!」
にこにこと話しかけてくる彼女に俺は真顔で言った。
「近づかないでくれ。」
香水が臭くて吐きそうだ。
と、それはさすがに言ったら失礼すぎるので心の中で抑える。
「どうしてです??」
「貴様が付けている香水が吐きそうなぐらい臭いからだ!」とは言わずじっと彼女の顔を見る。
「嫌いな顔をしているから」
あとから思うとただただ言い訳に使ったこれも本当に失礼すぎるがまだマシだと思ったのだ。
「そうですか…ならどんなお顔が好きなのですか???」
そう言われ俺は顎に手を添える。
「好きな顔……?」
そう言われると何も思い浮かばない。
それほど顔に需要性を求めたことがないからか…。
「ちなみに私の好きな顔はあなたです!」
「そうか」
あまり興味がない話題だな。
顔がどんなでもどうでもいい。
しおりを挟む

処理中です...