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「やあ、メアリ嬢」
「アルバート様、こんにちは!」
目の前で何度も繰り返される光景に、私は内心で大きな溜息をつく。
いい加減に終わらせてくれないだろうか。
体裁を取り繕うためだとしても、もうそろそろ決断してもいいんじゃないかしら、アルバート様。
妹のメアリと私の婚約者であるアルバート様が会話を楽しんでいる隣で、私は空気になるような気持ちで冷めたお茶を飲む。
私とのお茶会を理由に我が家に訪問するアルバート様は、そこにたまたまやってきた妹と一緒にお茶をするのが最近の常だ。
二人を庭の景色の一部のように眺める。
ちょうど私と6歳差のメアリは、平凡な見た目の姉には似ず、淡い金髪明るい碧眼の美少女だ。ふわふわとした波打つ髪や甘い声は、さながら砂糖菓子を思わせる。その愛らしい瞳にストレートな恋情を込めて見つめられて、心が動かない男性はそうはいないんじゃないだろうか。
アルバート様も例に漏れず。
今となっては、彼と私の会話は、妹が来るまでの僅かな時間に近況を尋ね合う程度。
たまに、二人の会話の合間に、申し訳程度に話を振ってくることがあるくらいだ。
父同士が学友であるという縁だけで私と婚約したパルメア侯爵の嫡男アルバート様も、とても見目麗しい方だ。
精悍な顔立ちに優しい微笑み、鍛えられたバランスのよい体躯。清流のような銀色の髪は後ろで簡単に束ねているだけで華やかだ。
爵位も高く、社交界で人気の方が、これといった取り柄もない私と婚約することになるなんて、私自身も社交界でも俄には信じられなかった。
アルバート様とメアリの二人が仲睦まじく並ぶ姿は、絵画にでもなりそうな美しさで、そこに割って入れる程、私の心は強くなかった。
そもそも私がアルバート様の隣に立つだけでも無謀なことなのだと、今では客観的に思えさえする。
妹は来年の今頃には社交界へデビューする。そうすれば多くの求婚があることは容易に想像できる。まあ、アルバート様なら焦る必要はないのかも知れないけれど。
それでも、と決して私とは視線を合わせない彼に念を送る。
早く私との婚約を解消して、メアリと婚約してください、と。
「アルバート様、こんにちは!」
目の前で何度も繰り返される光景に、私は内心で大きな溜息をつく。
いい加減に終わらせてくれないだろうか。
体裁を取り繕うためだとしても、もうそろそろ決断してもいいんじゃないかしら、アルバート様。
妹のメアリと私の婚約者であるアルバート様が会話を楽しんでいる隣で、私は空気になるような気持ちで冷めたお茶を飲む。
私とのお茶会を理由に我が家に訪問するアルバート様は、そこにたまたまやってきた妹と一緒にお茶をするのが最近の常だ。
二人を庭の景色の一部のように眺める。
ちょうど私と6歳差のメアリは、平凡な見た目の姉には似ず、淡い金髪明るい碧眼の美少女だ。ふわふわとした波打つ髪や甘い声は、さながら砂糖菓子を思わせる。その愛らしい瞳にストレートな恋情を込めて見つめられて、心が動かない男性はそうはいないんじゃないだろうか。
アルバート様も例に漏れず。
今となっては、彼と私の会話は、妹が来るまでの僅かな時間に近況を尋ね合う程度。
たまに、二人の会話の合間に、申し訳程度に話を振ってくることがあるくらいだ。
父同士が学友であるという縁だけで私と婚約したパルメア侯爵の嫡男アルバート様も、とても見目麗しい方だ。
精悍な顔立ちに優しい微笑み、鍛えられたバランスのよい体躯。清流のような銀色の髪は後ろで簡単に束ねているだけで華やかだ。
爵位も高く、社交界で人気の方が、これといった取り柄もない私と婚約することになるなんて、私自身も社交界でも俄には信じられなかった。
アルバート様とメアリの二人が仲睦まじく並ぶ姿は、絵画にでもなりそうな美しさで、そこに割って入れる程、私の心は強くなかった。
そもそも私がアルバート様の隣に立つだけでも無謀なことなのだと、今では客観的に思えさえする。
妹は来年の今頃には社交界へデビューする。そうすれば多くの求婚があることは容易に想像できる。まあ、アルバート様なら焦る必要はないのかも知れないけれど。
それでも、と決して私とは視線を合わせない彼に念を送る。
早く私との婚約を解消して、メアリと婚約してください、と。
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