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1(梨咲)
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目が覚めた時、何故か私は硬い床の上だった。
体を起こそうと手をついたその大理石のように見える白い床には、淡く光る何かの紋様。ファンタジー系の映画か漫画で見た気がする魔法陣のようなものは、ゆっくりとその明度を落とし消えていく。
どうやらまだ夢を見ているようだ。
そう考えた私の耳に、歓声のようなざわめきが入ってきた。
自分の周りに人がいることなど考えてもいなかった私は驚いて顔を上げる。数メートル離れた場所から数人の人集りが私を見ていた。
私は自分の住むアパートの一室で眠りについたはず。やはり、夢か。夢でなければ、誘拐でもされたくらいしか思いつかないけど、誘拐される理由など心当たりがあるはずもなく。
集まっている人たちは、あまり見たことのない服装で、コスプレか映画の撮影中かと思える扮装だ。貴族っぽいヒラヒラした服とか、長老っぽいずるずるしたローブとか。
昨日帰宅途中に電車の中で読んだネット小説の影響かな。
そんなことを考えながら、体を完全に起こして座り込んだ私は、自分の服装を見て「夢なのにいつもの着古したパジャマなのか」と自分の夢にガッカリした。もう少し可愛いのなかった?
自分に落胆している間に、人集りの中から数人が近づいてきた。
先頭のいかにも貴族っぽいヒラヒラキラキラした男性が私の数歩前で止まった。
うわ。めっちゃイケメン。
私より少し若いくらいのその男性は、アイドルかと思うような美青年だった。金髪、碧眼、白を基調とした丈の長い上着に施された金糸銀糸の刺繍。膝丈の白いブーツ。いや、アイドルというより、王子様か。
ちょっと私の好みのタイプではないな、とか夢に文句をつけてもしょうがない。イケメンには違いないので、せっかくなので堪能しておこう、と麗しい顔を見ていたら、急にその顔が曇る。
「これが聖女?」
ん?
私の眉間にも同じようにシワが寄ってしまう。今、私のこと、これ、って言った? それも何だか、ガッカリした感じで?
いや、待って。違う。それも気になるけど、今、せいじょ、とか言ってなかった?
「はい、この方が我々が異世界より召喚いたしました、我が国を救ってくださる聖女様にございます」
いつのまにかイケメンの隣にいた長老、いや王子様の横に長老はおかしい気がするけど、長老っぽいお爺さんが、恭しく答える。
彼の文脈から、「せいじょ」は「聖女」なのだろうと推察する。
なるほど。
この夢は、あれか。やっぱりネット小説の影響だわ。確か、異世界に召喚された女子高生が聖女の力で無双するやつ。
私はもう社会人で女子高生って年齢でもなく、側から見たらツッコミが入るところだろうけど、まあ、これは私の夢だし。大目に見てもらおう。
「聖女様、どうか貴女のお力をお貸しください」
長老がそう言うと、他の人たちも私を期待の眼差しで見つめてくる。
異世界からわざわざ召喚された私には、きっと何某かの凄い力があるに違いない。
なんとなく残念そうな風に見える王子はさておき、「世界でも何でもサクッと救っちゃおう!」と心の中の握りこぶしに力を込めたのだった。
体を起こそうと手をついたその大理石のように見える白い床には、淡く光る何かの紋様。ファンタジー系の映画か漫画で見た気がする魔法陣のようなものは、ゆっくりとその明度を落とし消えていく。
どうやらまだ夢を見ているようだ。
そう考えた私の耳に、歓声のようなざわめきが入ってきた。
自分の周りに人がいることなど考えてもいなかった私は驚いて顔を上げる。数メートル離れた場所から数人の人集りが私を見ていた。
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自分に落胆している間に、人集りの中から数人が近づいてきた。
先頭のいかにも貴族っぽいヒラヒラキラキラした男性が私の数歩前で止まった。
うわ。めっちゃイケメン。
私より少し若いくらいのその男性は、アイドルかと思うような美青年だった。金髪、碧眼、白を基調とした丈の長い上着に施された金糸銀糸の刺繍。膝丈の白いブーツ。いや、アイドルというより、王子様か。
ちょっと私の好みのタイプではないな、とか夢に文句をつけてもしょうがない。イケメンには違いないので、せっかくなので堪能しておこう、と麗しい顔を見ていたら、急にその顔が曇る。
「これが聖女?」
ん?
私の眉間にも同じようにシワが寄ってしまう。今、私のこと、これ、って言った? それも何だか、ガッカリした感じで?
いや、待って。違う。それも気になるけど、今、せいじょ、とか言ってなかった?
「はい、この方が我々が異世界より召喚いたしました、我が国を救ってくださる聖女様にございます」
いつのまにかイケメンの隣にいた長老、いや王子様の横に長老はおかしい気がするけど、長老っぽいお爺さんが、恭しく答える。
彼の文脈から、「せいじょ」は「聖女」なのだろうと推察する。
なるほど。
この夢は、あれか。やっぱりネット小説の影響だわ。確か、異世界に召喚された女子高生が聖女の力で無双するやつ。
私はもう社会人で女子高生って年齢でもなく、側から見たらツッコミが入るところだろうけど、まあ、これは私の夢だし。大目に見てもらおう。
「聖女様、どうか貴女のお力をお貸しください」
長老がそう言うと、他の人たちも私を期待の眼差しで見つめてくる。
異世界からわざわざ召喚された私には、きっと何某かの凄い力があるに違いない。
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