67 / 94
第18章 圭一の部屋4
(67)
しおりを挟む
ジェルを伸ばした手で、前と後ろを同時にいじられる。以前と同じように、旭は目を閉じてそこの快感に集中しようとした。
圭一の指がそこを穿ってくる。旭は意識して呼吸を繰り返しながら、全身の力を抜いた。以前よりも辛くない気がする。圭一が慎重に慎重を重ねているのが分かる。
「痛くない?」
「全然」
まだまだだ。圭一のはもっと太かった。根気強く時間をかけてほぐしてくれる圭一に身を任せ、旭はあの時の感覚を思い出そうとした。でも、あの一瞬の衝撃は記憶に残っていても、実際にどれくらいの大きさだったかを把握している自信はなかった。
出たり入ったりしている圭一の指が少しずつ開かれて、徐々に圧が増す。旭は再び、まだ大丈夫、と心の中で唱えた。ふと柏崎のことを思い出した。きっと二人も同じ経験を重ねている。だから大丈夫なはずだ。他の誰かにできるのなら、旭にもできる。
「……平気?」
「うん」
いつからか、入り口よりも内側の感覚に自然と意識が向き始めていた。何度も内壁をこすられるうちに、鈍い感覚の中に何かが生じてくる。未知の感覚。これは何だろう。もしかして、もう少ししたら気持ち良くなるのかもしれない。ああ、柏崎くんに聞いておけばよかった。もちろん素の状態でそんな話できる訳ないけど。でも聞いておけばよかった。柏崎くんがどっちなのか知らないけど。そんなこと聞ける訳ないけど、でも聞いておけばよかった――
「気持ちいい?」
「え……」
薄目を開けて圭一の方を見ると、少し血の上ったような顔色で、首を伸ばしてこちらを覗き込んでいる。旭は少しぼんやりとした頭でその顔を見返した後、正直に「……分かんない」と言った。
「何回かやったら……気持ち良くなるのかも……」
気付かないうちに呼吸が速くなっている。目を閉じていたから、気持ち良さそうに見えたのかな。いや、もしかしたらこれが気持ちいいって感覚なのかな。
再び目を閉じて、旭は溜め息をつくように声を漏らした。
「もう……」
気持ちいいかどうか分からない。圭一だったら、もういい。全て任せてもいい。
「……お前の判断で、入れて」
そう言ってからも、圭一は念入りにそこを慣らしていた。何度も出入りする圭一の指を圭一のものだと想像してみる。出て、入る。圭一の欲望。旭へと向けられる圭一の渇求。
「――旭」
ふっと指の感触が消えて、旭は目を開けた。足元で何かのパッケージを破る音がして、しばしの後に、力の抜けたままの旭の両足が抱え上げられる。
「入れるから」
「ん……」
「――ちゃんと言えよ」
太腿が腹に付くくらい深く体を折り曲げられる。そして旭のそこに指とは違うものが押し付けられた。少しずつ力をかけられ、めり込んでくる。充分に指で拡げられたはずのそこが更に押し拡げられ、皮膚が限界まで張りつめる。
「――ぅ」
顎を上げて細かく息を吐く。眉を寄せ、閉じた瞼を更に強く閉じる。
「旭」
「……もっと」
目を開けずにそう言う。
視界が失われた状態では下半身に神経が集中する。圭一のものが少しずつ入ってくるのが分かる。熱い。体の中に熱が入り込む。腹の中を占領される。喘ぐように短い呼吸を繰り返す。
「旭、痛い?」
圭一も少し息が上がっている。旭は首を振った。
「大丈夫だから、そのまま」
圭一が少し進めるとぐっと奥まで圧迫され、思わずひゅっと息を呑む。
「ごめん、痛かったか?」
「大丈夫」
少し落ち着いてから、旭は薄目を開けて圭一を見上げた。
圭一の指がそこを穿ってくる。旭は意識して呼吸を繰り返しながら、全身の力を抜いた。以前よりも辛くない気がする。圭一が慎重に慎重を重ねているのが分かる。
「痛くない?」
「全然」
まだまだだ。圭一のはもっと太かった。根気強く時間をかけてほぐしてくれる圭一に身を任せ、旭はあの時の感覚を思い出そうとした。でも、あの一瞬の衝撃は記憶に残っていても、実際にどれくらいの大きさだったかを把握している自信はなかった。
出たり入ったりしている圭一の指が少しずつ開かれて、徐々に圧が増す。旭は再び、まだ大丈夫、と心の中で唱えた。ふと柏崎のことを思い出した。きっと二人も同じ経験を重ねている。だから大丈夫なはずだ。他の誰かにできるのなら、旭にもできる。
「……平気?」
「うん」
いつからか、入り口よりも内側の感覚に自然と意識が向き始めていた。何度も内壁をこすられるうちに、鈍い感覚の中に何かが生じてくる。未知の感覚。これは何だろう。もしかして、もう少ししたら気持ち良くなるのかもしれない。ああ、柏崎くんに聞いておけばよかった。もちろん素の状態でそんな話できる訳ないけど。でも聞いておけばよかった。柏崎くんがどっちなのか知らないけど。そんなこと聞ける訳ないけど、でも聞いておけばよかった――
「気持ちいい?」
「え……」
薄目を開けて圭一の方を見ると、少し血の上ったような顔色で、首を伸ばしてこちらを覗き込んでいる。旭は少しぼんやりとした頭でその顔を見返した後、正直に「……分かんない」と言った。
「何回かやったら……気持ち良くなるのかも……」
気付かないうちに呼吸が速くなっている。目を閉じていたから、気持ち良さそうに見えたのかな。いや、もしかしたらこれが気持ちいいって感覚なのかな。
再び目を閉じて、旭は溜め息をつくように声を漏らした。
「もう……」
気持ちいいかどうか分からない。圭一だったら、もういい。全て任せてもいい。
「……お前の判断で、入れて」
そう言ってからも、圭一は念入りにそこを慣らしていた。何度も出入りする圭一の指を圭一のものだと想像してみる。出て、入る。圭一の欲望。旭へと向けられる圭一の渇求。
「――旭」
ふっと指の感触が消えて、旭は目を開けた。足元で何かのパッケージを破る音がして、しばしの後に、力の抜けたままの旭の両足が抱え上げられる。
「入れるから」
「ん……」
「――ちゃんと言えよ」
太腿が腹に付くくらい深く体を折り曲げられる。そして旭のそこに指とは違うものが押し付けられた。少しずつ力をかけられ、めり込んでくる。充分に指で拡げられたはずのそこが更に押し拡げられ、皮膚が限界まで張りつめる。
「――ぅ」
顎を上げて細かく息を吐く。眉を寄せ、閉じた瞼を更に強く閉じる。
「旭」
「……もっと」
目を開けずにそう言う。
視界が失われた状態では下半身に神経が集中する。圭一のものが少しずつ入ってくるのが分かる。熱い。体の中に熱が入り込む。腹の中を占領される。喘ぐように短い呼吸を繰り返す。
「旭、痛い?」
圭一も少し息が上がっている。旭は首を振った。
「大丈夫だから、そのまま」
圭一が少し進めるとぐっと奥まで圧迫され、思わずひゅっと息を呑む。
「ごめん、痛かったか?」
「大丈夫」
少し落ち着いてから、旭は薄目を開けて圭一を見上げた。
0
あなたにおすすめの小説
ふつつかものですが鬼上司に溺愛されてます
松本尚生
BL
「お早うございます!」
「何だ、その斬新な髪型は!」
翔太の席の向こうから鋭い声が飛んできた。係長の西川行人だ。
慌てん坊でうっかりミスの多い「俺」は、今日も時間ギリギリに職場に滑り込むと、寝グセが跳ねているのを鬼上司に厳しく叱責されてーー。新人営業をビシビシしごき倒す係長は、ひと足先に事務所を出ると、俺の部屋で飯を作って俺の帰りを待っている。鬼上司に甘々に溺愛される日々。「俺」は幸せになれるのか!?
俺―翔太と、鬼上司―ユキさんと、彼らを取り巻くクセの強い面々。斜陽企業の生き残りを賭けて駆け回る、「俺」たちの働きぶりにも注目してください。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる