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プロへの第一歩

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マンションに帰ると、順番に風呂に入っていた。
なにかと大事にされてる麗奈は、最初に入らせてもらっていた。
着替えると、洗濯物をかごに入れていた。
ある程度の生活用品は揃っていたので、不自由はなかった。
生活は快適だった、冷暖房完備のマンションで部屋も十分広かった。
洗濯機は、朝回すことになった。
麗奈は、部屋で再び練習をしていた。 
基礎から、色々な奏法などもしていた。
もう、6年以上コピーなどしているのでこの頃は聞けば大体は弾けていた。
それも、吾郎が教えてくれたのと絶対音感があるからだった。

葉月は早めに就寝していた。 
疲れたのであろう、麗奈も0時に寝ていた。
早朝、5時に目を覚ますと着替えてマンションから1人出ていった。
黙々とランニングをしていた。 
この頃は、走るのが得意なあすかよりも早かった。
短距離では敵わないだろうが、1時間走るのではかなりみんなと差がついていた。
吾郎に言われてから、風呂場での手首の運動も欠かさなかった。
6時過ぎに帰ってきて、着替えを持ってシャワーを浴びた。
みんなを起こすと、朝食に誘ったがみんな眠いのでいいと言った。
麗奈だけ、ファミレスまでギターを持って行きモーニングセットの和食を頼んで食べていた。
そのままスタジオに入ると、鍵を閉めて練習を個室で始めていた。
吾郎が来るまでは、自主練だった。
1人で、練習に没頭していた。
吾郎や、優・香織・次男・正生・博和がやってきたが、気が付かなかった。
個室を開けられてやっと気が付き、休憩室に呼ばれた。

「麗奈。他の4人はどうしたんだ? 逃げたのか?」

「いいえ、6時過ぎに朝食に誘ったんですけど。もう少し寝ると言ったので1人でファミレスで食べてから、ここに来ました。」

「なんで、叩き起こさないんだよ。全部、お前が悪いんじゃないか。今から、起こしてこい。」

麗奈は、走ってマンションまで向かっていた。
まだ寝てる4人を起こして、事情を説明して5人でスタジオに向かっていた。

「おい、お前ら遊びに来てるのかよ。それならとっとと帰れよ。昨日言ったよな。明日から平常のレッスンだって。時間も守れないのか?麗奈、お前が1番悪いんだからな。連帯責任だからな。今日はこのまま昼飯抜きで、やってもらうからな。これから、9時間ビッチリとな。今度あったら、夕飯も抜かすからな。麗奈、お前何時に起きたんだよ。」

「いつもどおりです。5時前に起きました。」

「せめて、6時半には起きろよな。朝食済ませて、ここまで来てだったら。片付けもあるからギリギリだろうがよ。時間配分を考えろよな。」

ボイトレは、優が会社経営に回るので別の講師が来ていた。
葉山凛という、優の1個後輩であった。
凛のボイトレは。午前と午後に2回行われた。 
優からCDは貰って聞いているので、音声とか音域声量も把握していた。

「麗奈さんだっけ? 貴女なら、もっと綺麗な声がでるわよ。これからはその練習ね。発声とかの基礎は、ある程度できてますからね。」

優の時とは違う、レッスンが続けられていた。
後は、吾郎のレッスンだった。
基礎からの反復練習が、されていた。
今でも、なんどもダメ出しをされていた。
明日からはレコーディングだった。  
また、地獄だと思った麗奈だった。
午後になると、マネージャーが紹介された女性の水野洋子だった。
水野と5人は挨拶をして、昨日の話しの通り一応1人5000円で2万5千円を渡した。
自分達が買えない時、これで買ってくださいと頼んだ。
休憩が終わると、麗奈はボイトレとギターのレッスンを行っていた。

麗奈は財布にお金が無いので、6時の終了と共にコンビニに走っていた。
1万下ろすと、少し安心していた。 
香織も今日は1日いたので、夕飯はまたファミレスだった。
5人はお腹を空かせて店内にはいると、注文をしていた。
4人はステーキで、麗奈はハンバーグでみんなに笑われていた。
貯金など、それほどないと思っていたからだった。
食べ終わり少し休憩すると、5人は店を後にしていた。
先に風呂に入ってていいと言い、麗奈は公園に行き7時から8時までランニングをして帰宅していた。
4人は風呂に入り終わって、のんびりとリビングで寛いでいた。

「麗奈、悪かったな。明日から、ちゃんと起こしてもらったらおきるからさあ。」

「いいですよ。グループですから、連帯責任は当然ですからね。」

麗奈は着替えを持って風呂場に行くと、ゆっくりと風呂に浸かってのんびりしていた。
風呂場での体操もしてからお湯を抜き、風呂掃除をするとシャワーを浴びて出てきた。

「しかし、貧乳の麗奈もいい身体になったよな。どんどん胸も大きくなったしな。」

「あんまり見ないでくださいよね。恥ずかしいですから。」

みんなに見られながら、脱衣所の無い部屋の中で着替えていた。
そのまま部屋に籠もると、ひたすら練習をしていた。
0時にやっと、葉月と一緒のベッドに入っていた。
マネージャーさんに頼んで、紅茶の葉とティーポットを買ってきて貰うことにしていた。

翌朝も5時前に起きて、公園をランニングして帰ってきていた。
着替えを取って、シャワーを浴びてから4人を起こしていた。
昨日は洗濯機を回せなかったので、みんなの洗濯物をシャワーの間に回していた。
みんなが起きる頃、洗濯物はベランダに干されていた。
下着類は、部屋に干されていたが。
香織から麗奈に電話がかかってきて、みんなが起きてるか確認を取ると。
部屋に、食事をしに来るように言われた。

5人で香織の部屋に上がると、リビングには大きなテーブルと椅子が置かれてダイニングに変わっていた。
他の1室がリビングで、もう1個が寝室であろう。
用意された料理を、みんなでテーブルに並べていた。
納豆・ひじき・漬物・ハムエッグ・味噌汁とご飯だった。
6人は美味しく朝食を食べて、少し寛ぐと片付けを始めた。
最後にシンクを綺麗に磨き上げて、香織にお礼を言うと自室に戻っていた。
そのまま部屋に入ると、ギターと鞄を持ってみんなでスタジオにでかけた。
7時半過ぎに、スタジオに到着して各自チューニングをしていた。
今日はレスポールだけ弦を張り替えて、チューニングしていた。
このレコーディング中は、美穂は演奏とかレコーディングを見る様に言われた。
ガラスのこちらには、専属のエンジニアと他のみんなも座って聞いていた。

「今、弾いてるギターを美穂がやるんだぜ。ちゃんと見とけよ。」

リズムギターでは、麗奈のミスは殆ど無かった。
他のドラム・キーボード・ベースの演奏で、何度も演奏は繰り返された。
昼食は、マネージャーと優が弁当を買ってきてみんなで食べていた。
麗奈達の為に、これだけの大勢が支えてくれてると思うと胸がいっぱいだった。
昼食の休憩をして、色々と改善点をメンバーや吾郎達と話し合っていた。
話し合いでは、色々とお互いにここをこうした方がいいとか言い合っていた。
まぁ、他から見ると尊重しあっているが妥協せずに言い合っていた。
譜面に色々と書き込んだり、消したりしていた。

美穂は、あんなに完璧な演奏でもまだ不満を抱いている4人についていけるか不安だった。
正生は、美穂が不安な顔をしているので。

「あれは、みんなができると思っているから話し合ってるんだよ。まぁ、ライブ後でもいつもそうだしな。まだ、美穂にはそこまで4人も要求しないけど。ある程度は、言われるかもな。音とかに関しては、妥協してないからな。傍から見たら、喧嘩にも見えるけどな。こんなのもう何年もだから、俺らは見慣れてるよ。」

この日は、6時までかかってもまだ録音できていなかった。
4人はクタクタになって、スタジオを後にしていた。
マンションに帰り、8時から夕食なので麗奈は1時間走ってきて。
最後に風呂に入ると、遅れて香織の部屋に行っていた。
夕飯を食べて、片付けをすると部屋に戻り練習をしていた。
あんなにスタジオで練習していたのに、0時まで明かりがついていた。
寝ていても、頭の中に音符の♪が飛んでいた。

4日間かけて、2曲の演奏が完成していた。
ここからは、リズムギターでも異なった音を重ねていた麗奈だった。
これには1日半の時間がかかり、みんなが帰ってからも録音していた。
それに、リードギターを重ねてまた1日半が過ぎた。
美穂は、そんな麗奈の演奏を真剣に見ていた。
この頃では、麗奈は自分が納得しないと演奏を止めていて進んでいなかった。
こうして、みんなより3日間多いレコーディングが終わり曲が出来上がると。
麗奈は、歌を歌って被せていた。
何度も、凛からダメ出しを出されていた。
2日間かかって歌も終わり、後は1人づつのコーラスを入れるだけだった。
コーラスは、パートが決まっているので割と時間はかからなかった。

5人は、撮影所でジャケットの撮影をしていた。
脚の長い麗奈は、強調するように短いショートパンツとTシャツだった。
他はスカートを履いていた。  
今回は赤い服装だった。
ジャケットの他にも、個人撮影とか5人での撮影もされた。
1回目のライブは、5月の連休に開催される予定だった。
会場は前回と変わらず2000人くらいだったが、入場料は3000円だった。
PrettyGirlsのホームページは、毎日香織が更新していた。
まだ知名度がないのでチケットは販売してもらえず、事務所やレコード会社・ホームページから売り出していた。
田舎ではすぐに完売したのだが、都会では500枚程度しか売れず。
残りは、当日券となっていた。 
まぁ、初回だから仕方ないと思った。

それからは、半日は個人レッスンで。
午後からは、曲を合わせていた。
メンバーからも、何度も美穂はダメ出しをされていた。
今回は、シングル1枚と優が密かに録音していたライブのCD発売だった。
事務所には今5人の従業員がいて、レコーディング会社にも10人いた。
全員、総動員でライブの開催にあたっていた。
小さな会場ではあるが、人通りが多いのがここの良さだった。
1ヶ月弱の練習で、美穂も麗奈達の演奏にはやっとついてきていた。
あすかは、美穂に話しかけていた。

「麗奈が暴走したら、弾かなくていいからね。私達も最初は追いつかなくって、ただ見てただけだからね。練習と本番のライブとでは、麗奈は演奏が変わるから注意しててね。」

美穂は、ある程度理解していたので納得していた。
まだ美穂には阿吽の呼吸はなかったので、苦労すると思っていた。
前日の遅くまで練習はしていた。  
毎日のランニングが終わると、夕食は10時を過ぎていた。
この頃は、みんなも朝と夕方の走りを一緒にしていた。

当日も、朝みんなを5時前に起こすと走っていた。
シャワーは、2人づつ入っていた。 
まぁ、女の子同士なのでよかった。
着替えて朝食を済ませると、スタジオで最終練習をしていた。
車に器材を積み込むと、10時にスタジオを出ていた。
マネージャーの洋子と一緒に昼食を食べると、公会堂に行った。
裏口に車を停めて、器材を運び込んでいた。
都会は、田舎と違い借りる料金も高かった。
500売れたので赤字ではないが、会社としてはギリギリだった。
麗奈達はステージでセッティングすると、練習で通し合わせをしていた。
途中で止めて、ギターが遅れてるとか。
チューニング正確にと、美穂は言われていた。
2時から、外では大きなスピーカーでこれまでの12枚のシングルの曲24曲を流しながらCD販売とチケット販売を始めていた。
まぁ、メジャーではないので通り過ぎる人・立ち止まる人などさまざまだった。
遠路遥々、電車でかけつけてたファンも来ていた。
今回は、CDの特典として好きなメンバーの缶バッチが付けられていた。
売れ筋はわかっていたので、麗奈のは倍作られていたが美穂は少なめだった。

外で、流していてチケットも売れ始めていた。
CDも、売れ始めていた。   
ライブの方は、最後の地方でのステージでのプロマイドが付けられていた。
店頭販売に先駆けて、ホームページなどでCDは予約を開始されていた。
そんな中、予期せぬ良い出来事が起こっていた。
聞いたことのないフレーズなのに、すんなり耳に入ってくる曲に耳を奪われて。
1人の雑誌記者が、興味本位でチケットを買っていた。
会場入りは5時で、開演は6時予定だった。
まぁ素人に毛が生えた程度だからと、記者もあまり期待していなかった。
携帯で彼女らを検索すると、もう活動して7年目とわかった。
小さな街で地道に活動をしてきて、SNSでは評判のバンドだった。

まぁ演奏とか歌は口パクかなんかだろうと、演奏も期待もしてなかった。
その頃、麗奈達は最終リハも終わり。
ギターの弦を3本交換すると、ステージに置いた。
美穂のチューニングも、最後にチェックしていた。
まぁレコーディングではスタンドマイクだが、ライブでは久々だった。
マイクスタンドには、何個もピックが付けられていた。
5時になると、買ってきてくれたサンドイッチを食べてゆっくりとしていた。
衣装に着替えると、口紅だけ塗られてちょっと麗奈は興奮しだしていた。
トイレも済ませて、全員で円陣を組むとあすかの掛け声で気合を入れた。
まぁ、3000円だと人もあまり入らないだろうと期待はしてなかったが。

来てくれたお客さんに、最高のパフォーマンスをしようと5人は言った。

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