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7人のお正月

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幸平や彼女も高校からの同級生で、今も同じ職場で働いていた。
彼女の方は、可愛いがあまり目立たない存在だったが。
職場では、麗奈と撮った写メとかで話題になっていた。
幸平と付き合っていたのは知っていたが、幸平の姉がREIとはみんな知らなかったからだった。
2人は色々な話しを聞かれる様になっていた。
彼女の方は、麗奈のベッドで寝たとか。
目の前で演奏してもらったと言っていた。

「ねえ、本当にREIってギター弾いているの?流してるんじゃないの?」

「練習用のアコースティックでしたけど、すごく上手かったですよ。家でどうせ練習するからって、目の前で弾いて歌ってくれましたから。先日もREIさんから、化粧品1セット送られてきました。グッズも、全部もらって。それに、その場で全部サインしてくれましたよ。とっても優しくて良い人でしたよ。」

「REIって、TVにも出てないでしょ?1人メンバー辞めさせたのもREIだって噂あるしね。根性悪いんじゃないのかしらね。」

「REIさんは、凄く温厚でしたよ。辞めさせたのが確かなら、きっと原因あると思うわよ。」

「まぁ、1人で活動してるようなものだからな。あのグループ。曲も歌も1人だしね。」

「ええ それでもバンド組んでから10年以上経つっていうから、仲いいって言ってましたよ。」

「しかし、田中君もなんで今まで黙ってたんだよ。普通は彼女にくらい言うだろうしね。」

「まぁ、売れるまで家には返さないって言われて出たみたいなので。帰ったら知らせてきたと思いますよ。REIさんの部屋に私は2泊しちゃいましたけどね。」

「豪華な部屋だったの? REIさんの部屋って。」

「普通の部屋でしたね。ベッドと机とタンスだけでしたから。学生時代は本棚にCDあったみたいですけど、今はマンションに持っていったみたいでなかったですよ。」

「ちなみにREIって、ギターコレクターって聞いてるけどどうなの?」

「練習用のアコースティックで70~80万だそうですよ。本数は7本くらいだって言ってましたけど、総額だと4500万くらいだそうですね。」

「あのレコード会社とかも、新しい企業だけど。かなり儲けてるよね。他は、ボチボチ売れてるって感じだけどね。あんだけ売れてればいいでしょうね。しかし、あの曲ってカラオケとかにないよね? あっても歌える人いないけどね。」

父や母は、人にはあまり言っていなかった。
芸能人など、すぐに落ちぶれてしまい帰ってくると思っていた。
両親共、後8年くらいは自由にさせて30になったら結婚でもしてくれればいいと考えていたのだった。
麗奈は大体暇な時は、チャリティーライブなどにソロで参加していた。
まぁ大掛かりな器材は移動の経費とかもかかるので、Ovationだけだった。
色々な人達と演奏したりして、2~3曲歌ったりもしていた。
トップアーティストも、何回か顔を合わせていた。
まぁ新曲で無い限り、殆どはジャンルを問わず知っていた。
この頃は日課の朝夕走るのと、曲作りは欠かさなかったが。

急がされてた曲は、CMではなくドラマの曲だった。
後に2曲も、CMに使われていた。 
善人が売り込んでいたのだった。
デモの時は、さほどではなかったが。
出来上がるといい感じに仕上がっていたのだった。
ドラマの曲を販売すると、間髪入れずにCMと同時に2枚発売していた。
自由な時間ができると、3人は色々と出かけたりTVで知り合ったりして恋に芽生えていた。
麗奈は、良い友人はたくさん増えていた。
殆どがミュージシャンやモデル仲間だった。
当初は携帯には、家族3人と家・新垣家・香織・メンバー3人の9人しか登録してなかったが今は100以上の登録がされていた。
ドラマの撮影現場も見学できたので、行ったりしていた。
色々な人に挨拶をして周り、最後みんながお昼の休憩の時にドラマの主題歌を演奏して歌ってから帰った。
若手俳優から、ベテランの俳優までいるようだったが名前は知らなかった。
TVをあまり観てないので、こんな時はマネージャーが頼りだった。
来年の春からツアーが組まれていた。 
それまでにCDを2枚発表する予定だった。

ソロでは依然として、ライブ・スタジオ録音・雑誌撮影・ファッションショーに出ていた。
ライブは、公会堂などでやるものとチャリティーライブだった。
その間に、自分達の曲と他の会社のグループへの曲提供を手掛けていた。
会社では少し売れてくると、麗奈達が最初に住んでいたアパートにグループごとに入れていた。
色々な雑誌や、ホームページでソロやグループの募集もしていた。
年末までには、自分達のレコーディングは終わり。
新年から、他グループのレコーディングを済ませる予定だった。
新年と言っても、大晦日から帰省をしていた。
茉莉子と彼氏を乗せて帰省した。
幸平も彼女と共に帰省していたので、賑やかな正月だった。
幸平の部屋に茉莉子の彼氏が寝て、茉莉子の部屋に幸平の彼女が寝ていた。

麗奈は、防音設備が無くても年中弾いているので1人だった。
やっと人並みの正月を迎えていた。   
元旦も、みんなで初日の出を見に行った。 
麗奈はニット帽とマフラーに伊達メガネなので気が付かれなかった。
帰ってきて雑煮を食べて、みんなで初詣に出かけていた。
両親・茉莉子と彼氏・幸平と彼女と3ペアと1人だった。
麗奈は、両親と歩いていたが。
茉莉子と幸平は彼氏・彼女と歩いていた。
送ってきてくれた純也は5日に帰るので、5日の昼過ぎに迎えにきてくれる予定だった。
あすか達は、新年は忙しく帰省はできていなかった。
茉莉子も幸平も付き合いが長いので、カップルとして馴染んでいた。
茉莉子の彼氏は、2回ほど家にきたみたいだったが。
こんなに泊まるのは、初めてのようだった。
年末は、忙しく30日までライブとかレコーディングがあり。
家に土産を買う時間もなかったので、恒例の母と幸平の彼女に化粧品を渡していた。
茉莉子にはいつでも会える状態だったし、近いので送ったりもしていた。

正月は、リビングにいることが多かった。
みんなと雑談したり、リビングでギターを弾いたりもしていた。
茉莉子や幸平も、両親に結婚の承諾を得にきていた正月だった。

「2人共結婚するのね? いいわね。おめでとうございます。」

「2人で別々に住んでいると、家賃もかかるしね。私は、結婚したら彼のアパートに引っ越すつもりでいるけどね。1DKだけど、2人なら十分ですからね。」

「幸平はどうするの?幸平のところに引っ越すの?」

「俺のアパート本当にボロいから、新しく借りようと思ってるよ。多分、転勤するから。」

「私の部屋に新婚さん来たら困るわよ。幸平って、今どこに住んでるんだっけ?」

「今は、名古屋だけど。来年から本社に転勤かもしれないし。そしたら、東京だけど、住むのは他県になるかな。高いしなぁ。」

「昔住んでたマンションあるけど、聞いてみましょうか?えっと、2LDKだったかしらね。狭いですけど、2人なら十分かと思うわよ。私達、そこに5人で住んでたからね。」

「麗奈、高いに決まってるじゃないの。都内で2LDKのマンションなんてさぁ。あんた達は住めたかもしれないけど、無理無理。安かったら、幸平じゃなくって私が済みたいわよ。」

「そうなんですね。会社の持ち物かしらね?今は、1フロアーの4部屋埋まってるけどね。うちの会社のメンバーが住んでますよ。結婚式、7月前だったら出れないかもよ。4月からツアーだから。」

「まぁ、私達はどちらの両親にも了解得てるから秋が良いかなって思ってたけどね。幸平はどうなの?」

「俺らも、秋がいいかと思ってたけど。転勤して仕事に慣れてからが良いかなってね。」

「幸平の彼女は、転勤したらどうするのかしらね?」

「まぁ、俺が転勤なので。一緒に転勤させてもらったけど。」

「大勢を呼んで結婚式あげるの?お金かかるわよね?」

「まだ、決定じゃないけど。60人くらいかしらね?」

「俺は転勤してみないとわからないけど、家族や友達・上司くらいかな。麗奈姉ちゃんには、やっぱり1曲歌って貰わないとね。」

「そうそう、私の時もよ。歌う歌考えておきなさいよ。麗奈。」

「じゃ、それまでに曲とか作っておこうかしらね。結婚式の為の歌なんてね。」

「しっかし、恋愛奥手の麗奈がよく色々な恋とか愛の歌書けるわよね。」

「あれって、憧れとか空想なんかですから。簡単に出来る時もあるけど、時間かかる曲なんかもありますよ。」

「二次会も、麗奈は強制参加だからね。仕事入れてちゃダメだからね。」

「仕事とか、私はあまり忙しくないですから大丈夫ですよ。上京してからしばらくは2週間に1回休みでしたけどね。今は、空いてる時間はチャリティーライブとかやってますし。1人でも、色々と施設とか回ってますよ。」

「そうそう、お姉さん。メンバー辞めさせたのお姉さんって噂だけど嘘よね?」

「あれは、嘘じゃないわよ。事実だから、当時はよく非難されましたけどね。」

「メンバーと仲悪くて辞めさせちゃったの?」

「音楽に取り組む姿勢の違いかしらね。いつだったでしょうかね?1回目の全国ツアーの初日に、首にしたから。」

「あのツアーの函館から、出てなかったって聞きましたよ。」

「練習はしなくて音が合わないし。まぁ、それだけなら上手くなるまで我慢しようと思ったんですけどね。ライブで凄い古い弦とか張って用意してて、100箇所ライブあるのに弦も、もってきてなかったしね。私は、ツアーには最低預けてあるのが1本につき50セットとカバンに10セット以上は入ってますよ。弦をあげてもよかったんですけどね。注意したのは、2回目だったので自分で買いに行って間に合わせるか。出るのを辞めるか本人に考えさせたんだけどね。社長が、その場で返しちゃったからしかたないわね。」

「そんなこと、みんな知って無くて。お姉さん悪者になってるわよ。根性悪いとか、陰険とか言われたりもしてますよ。」

「言いたければ言えばいいしね。私達は歌って、いくらって生活だから。業界では、そんな目では見られたことないわよ。最初の頃なんて、学校でもあまり話ししてなかったから。みんなに根暗とか陰湿とか色々言われてましたけどね。その頃、なんとメンバーの中で最下位の人気でしたからね。まぁ、グループが人気出ればいいから関係ないですけどね。」

「ああ 確かにあったよね?昔は話す声も小さくてあまり家でも話さなかったものね。まぁ、家族はわかってたからね。」

正月も、アッという間に過ぎていた。 賑やかな田中家の正月だった。
まぁ、これからはもっと家族が多くなるだろうし。

両親も、早く孫の顔が見たいだろう。
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