霊和怪異譚 野花と野薔薇Ⅱ〜エイエン語り〜

野花マリオ

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蜂黒須怪異談∞X∞

0009話「亜華葉死蝶」

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「1」

 私が体験した怪異談というより、現実起きてるモノなんだけどね。
 それはね、先週にさかのぼるだけどね、何気なくテレビつけたら視えるのよ。
 黒い蝶々がね。
 その蝶々は私しか視えなくてその周囲にその人の近く飛び回るとね、死んじゃうの。
 その人が。
 最初の人はとある市の市長さんから始まり、その市長さんが演説中に蝶が飛び回るとね、数時間後に亡くなるの。
 私はあの蝶のせいなのか信用出来ずにまだいたわ。でも、次に石山県で知られてるミュージシャンにも飛び周り数時間後に死んだし、偶然とは思わなかったし、今でもテレビにはちょくちょく蝶々が映り込むわ。

 ーー「部室内」ーー

 楓「そうなの。今でも私たちにも飛び回ってるかしら?」

 莉亞「ドギッ!?」と敏感に反応する中医莉亞。

 亜華葉「大丈夫。ごくたまにテレビ以外にも外で飛び回るけど学校内は誰一人も見かけてないわ」

 莉亞「ホゥー」と安堵する莉亞。

 手鞠「でも、その蝶々が死を呼んで飛び回るのが視えるなんて僕には耐えられないかな」

 あかね「それに亜華葉さんしか視えないのでしょう?手遅れないうちに手は打っておくべきだわ」

 亜華葉「うん。そうだね」と亜華葉はうなずいた。

 楓「じゃあ、亜華葉。私が人肌脱ぎましょう。八木家次期当主の権限で」

 亜華葉「ありがとう。楓」

 と、楓達は一旦その場で解散して各自帰宅した。

「2」

 ーー「八木家」ーー

 亜華葉「というわけなんです」

 ????「ふむふむ。そうですか」

 ゆかな「その蝶々は私たちに視えないのか」

 友紀「新種の蟲かしら?」

 虫男「たしか、その手の類は……」

 と、虫男たち4者一同は真剣な話し合いする。
 楓は八木家の次期当主の権限の正式な依頼により、霊能者黒木ゆかな、神木童心神社の神主神木つるぎ、鐘技家次期当主でありお祓いに心得がある鐘技友紀、そして最強無視家であるぼっちジョーカーの梅田虫男をこの場に呼んでその蝶について診てもらった。話し合いは1時間に及ぶモノだったが彼らの中で結論が出たようだ。そこで虫男が代表してその蝶について述べた。

 虫男「これはな、死蝶と呼ばれる死を誘う類いだな」

 亜華葉「死を誘う!?わ、私死んじゃうの!?」

 亜華葉はそれを聞いて動揺する。

 虫男「最後まで聞けってな。この蝶は察するにな、自分の死という思いに敏感に反応するからな。ようするに思い込んだり気にしなければ大丈夫だ。その蝶にすっかり忘れた頃には消えているだろう」

 亜華葉「本当?よかった」

 虫男「それと、人が映るテレビや動画の視聴はダメだぞ?外に出かける時はなるべく人混み避ければ大丈夫だ」

 亜華葉「うん。わかった。あ、みなさんありがとうございます」

 剣「いいんですよ。これが私らの仕事なんですから」

 ゆかな「全てムッシーに持ってかれたし」

 友紀「ぼっちジョーカーの名はだてじゃないべ」

 虫男「おい!?ぼっちは余計だ」

 と、その場では和やかに雰囲気になった所で各自は解散した。そして亜華葉はその死を誘う蝶に忘れさろうと努力した。

「3」

 ーー「1ヶ月後」ーー

 亜華葉は日常的生活において普段と何も変わらず暮らしていた。テレビも動画も実写をやめてアニメを視聴したり、ゲームや漫画を読んで暇を潰していた。
 (ブー、ブー)
 と、晩遅くにテレビでアニメを視聴してる時に鳥河大軌のスマホ着信が入る。
 彼は今、家族と一緒に台湾旅行に出掛けていた。
 と、着信を取り通話した。
 亜華葉「大軌。今どこにいるの?」
 大軌『今は台湾の空港から小町空港の便に乗るところだな』
 亜華葉「そうなんだ。ねー?私が頼んだマカロンヌガー買ってきた?」
 大軌『……あ、ああ。あるぞ。忘れずに』
 亜華葉「今、間があったから、ちゃんと証拠見せて!!」
 大軌『う、わかったよ』
 と、大軌はテレビ通話に切り替えた後、マカロンヌガーを見せる。
 亜華葉「なんだ。ある……!?」
 大軌『どうした?亜華葉?』
 亜華葉は大軌が映るテレビ通話にあるモノが映り込んでいた。
 亜華葉「……視えたの」
 大軌『ん?何が……まさか?』
 亜華葉「蝶が視えたの!大軌!小町空港に何時に着く?」
 大軌『えと、たしか夜の9時発着かな。て、どうするんだ?』
 亜華葉「いまから、小町空港に向かうから、待っててね」
 大軌『おい!?いま』と、亜華葉は通話を切って自宅先にタクシーを呼んで小町空港に向かった。

「4」

 ーー「小町空港内」ーー

 亜華葉を載せたタクシーは小町空港に着いて料金を支払った後、ちょうど大軌達も空港内に待っていた。
 よかった安堵したが、その周囲に飛んでいる死蝶をなんとかしなければならなかった。
 しかし、大軌だけじゃなく、その場にいる利用客にも死蝶が無数に飛び回っていたのだ。
 そこで亜華葉は右手の人差し指を突き出した。
 大軌「おい!?」
 大軌の呼びかけやムシさせるのを遮って人差し指の吸引力で周囲に飛び回る死蝶を勢いよく吸い込んでいく。
 あたり構わず吸い込んでいるので地縛霊や蟲達も巻き込まれて吸い込む。
 大軌「お、おい!?く、クソ!!ムシ」
 亜華葉「ふにゃあ」
 と、ある程度大方死蝶を吸い込んだところで力を尽きてしまい倒れ込む亜華葉だった。
 介抱する大軌を見て無事な彼を見て安堵する亜華葉。
 ようやくこれで一見落着だと思ったが亜華葉の右手の人差し指が異常きたして今まで吸い込んだ死蝶が溢れかえってしまう。

 その無数の死蝶が全て亜華葉にまとわりついてしまう。

 その場で力をつかれてしまった亜華葉は死を覚悟した。

 何度も呼びかける大軌。

 その場で倒れてる亜華葉は心残りがあった。

 最期に彼の想いを伝えたかった。

 ーーたーちゃん、大好きだよ。愛してると、、、

 その心の言葉を伝えると亜華葉は意識を失った。

 ーーーーー。

 ーー「????」ーー

 亜華葉「ん……ここは」

 亜華葉が夢を覚ましたのは病室だった。

 大軌「お?目を覚ましたか」

 亜華葉「たーちゃん」

 と、亜華葉は身体を起こす。

 大軌「ははは。無事でよかったぜ。その、あのさ、つーか」

 亜華葉「?、そ、そうだ!?あの蝶は!?」

 虫男「そいつなら、無事消えたぞ」

 亜華葉&大軌「「本当!?」」

 と、病室にノックもせずに入り込んだのは虫男だった。

 虫男「ああ。マジだ。カルじゃない。それと死蝶の生態系も亜華葉のおかげでわかったんだ」

 亜華葉「私?」

 虫男「あれは死を誘う蝶なんかじゃない。あれはそう思念の想いを反映するだったからな」

 亜華葉「思念を反映する……蝶」

 その時、亜華葉はふと思い出して徐々に顔を赤くなっていく。

 虫男「ちょうど亜華葉のレイトゲンを撮る時に頭の中に寄生蟲があって緊急呪術を行ってたんだが医者や看護師からはその思念が丸聞こえだったらしいな。たーちゃん大好きだよ。あ「わーわーわ!?」」

 と、大軌は慌てて最後のセリフを言わせないようにする。

 そして亜華葉は真っ赤になってボンと音を出してそのまま気を失った。

 そして、受け持ちの担当看護師八木凪から来て、患者を安静させない彼らをお仕置きされる虫男と大軌だった。

 その後、大軌と亜華葉は正式にカップルと周囲に噂されて噂が立ち消えするまで人前で2人きりなるのを避けていた。

 亜華葉死蝶   完
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