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第十七話 空中戦

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第十七話  空中戦
「我々グマンタル空軍はAIGUSに統合されることになった!無論君達も例外ではない。だが、我等がグマンタルの誇りは失われていない。むしろ気高く輝かしいものになった!!我等は侵略者を決して許すことはない。必ずこの手で殲滅する。今、グルリの我等が同胞が危機に晒されている。勇士よ!今こそ立ち上がれ!!我等で敵に地獄を見せるのだ!!!」

するとパイロット達から歓声が上がる。俺もその中にいた。

パイロット達は次々と戦闘機に乗り込む。
戦闘機のコックピットが閉まり、出撃体制に入る。
「テイクオフ!」
機が空母から発艦し、先に発艦した編隊に合流する。
イリムナの第一基地までは戦闘機ではそこまで遠くない。
俺は計40機の友軍機と共に上空を飛行していた。
現状は不穏だというのに天気だけは快晴で清々しい。
第一次ICA奇襲作戦はバビミア沖でAIGUS軍の艦艇(実質グマンタル海軍だが、、、)が勝利したらしい。このままの勢いで俺達にも勝利の女神が微笑んでくれればいいのだが、、、
すると、戦闘機のアラームがなる。

「ロングレンジレーダーにマージ(補足)。」
隊長機ドラゴン1から各機に伝達される。

「高速熱源接近!ベクター21よりミサイル80機!EW(電子戦)準備!マスターアームオン(安全装置解除)!!」

「スカイイーグル(早期警戒管制機)よりドラゴン、ハーピィ、エネミーは60機、ブラボー6より接近中。」

「高速熱源回避!対空レーザー照射!」

戦闘機から高出力レーザーが照射されミサイルを破壊する。

「ドラゴン、ハーピィ共に被弾報告なし。2対1の状況を回避し、敵機と交戦せよ。」

「ラージャ!」

すると視界の前方に薄っすらと光が見えてくる。

「前方に敵ファイター!!」

俺はみんなに呼びかける。
「了解!ドラゴン3!!」

友軍機がそれぞれ敵機に狙いを定め、向かっていく。

「シーカーオープン!ロックオン!フォックス3(ミサイル発射)!!フォックス3(ミサイル発射)!!!ハーピィ19が喰われた(撃墜)!!」

俺は前方にいる敵機に狙いを定め追尾する。
「今度はこっちの番だ。」

敵機は振り切りようと機体を左右に振る。

「愉快にケツ振りやがって!誘ってんのか?」

すると、敵機が勢いよく急減速する。
「ヤッベ!」

その瞬間コックピットの位置が見える。
その位置に人影はなかった。

「無人戦闘機?」

今度は逆に俺が背後を取られ、追撃される。
敵機のレーザー攻撃を避けるため機体を揺らす。
コックピットのアラームが鳴る。

「ロックオンされた、、、」

けたたましくアラームが鳴り、心臓の鼓動がはやくなる。

「誰か援護を頼めるか?」
「、、、こちらドラゴン4任せろ!」

無人戦闘機の背後にドラゴン4が付き、ミサイルを放つ。

ICAの無人戦闘機は右にバンク(傾く)しながらフレアを撒くが、至近距離で間に合わず、撃墜される。

「ドラゴン4感謝する。」

「あぁ、どういたし、、、、」

そこで連絡が途切れる。すると、雲の中から新たな無人戦闘機が現れた。真正面から現れ、バンクしようとするが敵機のレーザーで左翼が傷つき、破損する。

「おいおいマジかよ。ドラゴン1翼を破損した離脱する。」

俺は降下して空母に戻ろうとするが、
ヒュウウウウウウウウ

「クソ、しつこいな。」

さっきの無人戦闘機がブレイクして俺の機に近付く。そしてレーザーでもう一つの右翼も破損してしまう。

流石にこれ以上攻撃する意味がないとみたのか、無人戦闘機は水平飛行に戻りやがて上昇していった。

俺の機は真っ逆さまに落ちていく。
俺はすかさずベイルアウトしようとするが、

「あれ?開かない。」

何度股の間にあるレバーを引いても反応しない。
「クソッタレが!」

俺は機器に吠える。
が、無情にも対地接近警報が鳴る。

「プルアップ!プルアップ!」

俺は必死にレバーを引くが全然言う事を聞かない。

「やだぁ。死にたくねぇえ。誰か助けてくれぇえ。」

仲間の通信にもそれは届くが、みんなはそれを無視する。
 
しばらくして海上で大きな水しぶきが上がり、後にAIGUS軍の戦闘機だと判明した。




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