mito

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一筋の光が見える。
それは今の僕にはあまりにも眩しく、儚いものだった。
僕が影ならばどうか照らしてくれはしないかと願うが、手を伸ばせばそれは瞬時にして消えてしまうのだ。

ある日から僕は毎夜、決まって同じ夢を見るようになった。
それは酷く僕を苛み、朝を迎える毎に燦々と輝く太陽とは裏腹に僕を闇へと誘うのだ。
夜毎現れるその光が消える頃、僕は無へと向かうのだろうか。

重度のアルコール依存症だった僕は幻覚や幻聴、妄想に支配され、震える手を鎮めるためにもまたアルコールを飲んだ。
俯瞰で見るとそれはまさしく屑だった。
新たな就職先を見つける為に履歴書を書くが、震える手は文字を歪め、僕の僅かに残った理性をも歪め、何度家で発狂したかは分からない。
そんな時に決まって赤いチャイナドレスの女が耳元で囁くのだ。
「お前じゃ無理だって。諦めなよ。もうイカれてんだからさ。」
女はカサカサと天井に這い上がりながら僕を見下ろし、嘲笑する。
僕はアルコールを一月やめる事にした。

最初の数日は地獄のような日々だった。
何もする気が起きず、時間の感覚さえも失われた。
今でこそ嗜む程度だがアルコールを飲んでいる。
だがこれを読んだ方々には是非とも覚えておいてほしい。
僕は今でも一筋の光を掴む事が出来無いのだ。
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