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第二章:すれ違う心と、見えない刃
第11話:四人と一羽の奇妙な食卓
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その朝の光は、まるで蜂蜜を煮詰めて、それを薄く薄く引き伸ばしたかのような色をしていた。
初夏の太陽が放つ黄金色のそれは、俺たちが間借りしている安宿の、決して綺麗とは言えない窓ガラスを通り抜けることで、どこか懐かしいセピア色を帯びる。光の筋は部屋の隅に溜まった綿埃を金色に照らし出し、まるで意志を持っているかのように、ゆっくりと宙を舞う様をきらびやかに映し出していた。
ここは王都の外れにある、しがない宿屋の一室。質素だが、四人(と一羽)が暮らすには十分すぎるほどの広さはある。しかし、その有り余るはずの空間は、そこに集う面々によって、予測不能なカオスへと変貌を遂げていた。
「――結論として、このスープの塩分濃度が現状の三・六パーセントから、あと僅か〇・八パーセント上昇すれば、浸透圧の観点から、理論上は最も効率的に体内へ吸収されることになります。具体的には、発汗量が標準的な成人男性のそれを上回る場合、〇・九パーセントまで許容範囲ですが……」
分厚い眼鏡の奥の瞳をキラリと光らせ、栞がスープ皿を覗き込みながら、いつものように滔々と分析を始めた。彼女の手には、どこで手に入れたのか、液体の比重を測るためのものらしい、怪しげなガラス器具が握られている。その拍子に、彼女が朝食にと齧り付いていた堅焼きパンの欠片が盛大に宙を舞い、放物線を描いて彼女が広げていた貴重な古文書の写しの上に、ぱらぱらと降り注いだ。
「あわわわわ! い、いけません! このパピルスに記されているのは、古代第八王朝時代にのみ使用が確認されている、極めて希少な線文字でして、パン酵母菌の付着による風化のリスクががが!」
そんな栞の悲鳴をBGMに、食卓の隅では、陰陽師の少女、小夜が相変わらず体育座りのように膝を抱え、小さな体で縮こまっている。けれど、彼女の鋭い観察眼と的確な批評精神は、その肩に乗る式神のカラス「ヤタ」を通して、今日も絶好調だった。黒曜石の瞳を持つヤタは、その小さな体でふんぞり返り、翼の先で俺の皿を器用に指し示す。
『そこの男。貴様のパンの持ち方、なっていない』
凛とした、しかしどこかか細い小夜の声が、ヤタの口から響き渡る。
『重心が上過ぎる。それでは具材たる干し肉と野菜が、重力に引かれて溢れ落ちるのは、理の必然。万有引力の法則を愚弄するつもりか』
「うるせぇ! 鳥にパンの食い方を説教される日が来るとは、夢にも思わなかったぜ! 大体な、ファンタジーの世界でニュートンの名前を出すな!」
俺、神田駿(かんだしゅん)は、思わずパンを片手に大声でツッコミを入れる。そんな混沌の食卓を、全ての元凶であり、俺をこの世界に引きずり込んだ張本人である千夏は、両手を頬に当て、まるで春の陽だまりそのものといった笑顔で見守っていた。
「ふふっ、みんな元気でいいねぇ」
「この状況のどこに元気以外のポジティブな要素を見出せるんだよ! もはや異種格闘技戦だろうが!」
俺の的確すぎるツッコミは、しかし、誰の心にも届かない。栞は半泣きで資料のパンくずを払い、ヤタは「ふん」と鼻(?)を鳴らしてそっぽを向き、千夏は「あら、今日のパンは焼き立てだから、いつもより美味しいねぇ」と、全く別の話題に花を咲かせている。
ああ、そうだ。
この奇妙で、騒々しくて、どうしようもなくちぐはぐで、でも、どこか温かい。
そんな日常が、俺たちの新しい「当たり前」になりつつあった。
人見知りの天才陰陽師・小夜と、ドジっ子の博識賢者・栞が、半ば強引に仲間になってから、およそ一週間が過ぎていた。
◇
賑やかすぎる朝食を終え、俺は部屋の隅で、一人静かに溜息をついた。原因は、空になった革袋。つまり、財政問題だ。
前の依頼、すなわち小夜と栞を(結果的に)助けた例の呪われた屋敷の一件で得た報酬は、決して少なくはなかった。並の四人家族なら、一月は余裕で暮らせるほどの金額だったはずだ。
しかし、その虎の子の報酬は、この一週間で見る影もなく消え去っていた。
まず、食費。俺と千夏だけならまだしも、新たに加わった二人と一羽の食欲が、俺の想定を遥かに超えていた。小夜本人は小食なのだが、式神であるヤタが、主の成長のためと称して、小夜の三倍は食う。栞に至っては、研究で脳を使うから、と常人の二倍は軽く平らげる上に、「栄養バランスの最適化が必要です」などと言いながら、高価な木の実や希少な香草を市場で買い込んでは、怪しげな栄養ドリンクを開発している。
そして、それ以上に深刻なのが、栞の研究費だった。
彼女は街の古道具屋や露店を巡っては、「これは! 古代文明の遺物かもしれません! この独特な文様は、失われた技術の……」と目を輝かせ、どう見てもただの欠けた壺や錆びた鉄屑にしか見えないガラクタを、次から次へと買い込んでくるのだ。
「いいか、栞さん。もう一度言うが、俺たち、このままだとマジで破産するぞ」
俺が、最後の銀貨数枚が寂しく転がる革袋を逆さにして見せると、栞は分厚い眼鏡を曇らせ、しゅんとうなだれた。
「も、申し訳ありません……。しかし、知的好奇心というものは、時に財政状況を度外視してでも優先されるべき、人類の根源的欲求でして……」
「その欲求のせいで、俺たちが路頭に迷うのはごめんだ!」
そんな俺たちのやり取りを見て、千夏が「まあまあ」と、いつもの太陽のような笑顔で割って入る。
「大丈夫! お金がなくなったら、また働けばいいんだよ!」
その能天気なまでのポジティブさは、時に眩しく、時に腹立たしい。
「というわけで、組合に行きますか」
俺たちは、生活費という、極めて現実的で切実な問題を解決するため、再び万事屋組合へと向かうことにした。
宿屋の古びた木の扉を開けると、初夏の爽やかな風が、街の喧騒を運んできた。石畳の道を、様々な服装の人々が行き交う。荷馬車を引く馬のいななき、どこかの店の親父の威勢のいい呼び込みの声、子供たちのはしゃぐ甲高い笑い声。全てがごちゃ混ぜになって、この街の生命力そのものを形作っているようだった。
そんな中、ふと視線を感じて横を見ると、露店で飴を舐めていた子供たちが、俺を指差してヒソヒソと囁き合っているのが見えた。
「あ、見て。猪の人だ」
「え、ほんとだ! 空間魔法を使うんだって!」
「商人の悪い人たちを、やっつけたんだよね!」
「……おい、千夏。あの噂、まだ広まってんのか」
「みたいだねぇ。日に日に、内容が豪華になってる気もするけど」
千夏は、くすくすと笑っている。全くもって、笑い事ではない。
そもそも、森で出くわした巨大な猪を退けたのは、ほとんどが、あの桜色の着物を着た謎の女性、彩葉さんの力だ。俺の能力なんて、何の役にも立たなかった。
呪われた屋敷の一件だってそうだ。俺が何かを解決したわけじゃない。小夜と栞、二人の天才の力を、俺が偶然、無茶苦茶な方法で繋ぎ合わせた結果に過ぎない。俺の力そのものが、何かを成したわけじゃないのだ。
(英雄、ねぇ……)
俺は、内心で自嘲気味に呟いた。
(猪を倒したのはほぼ彩葉さんだし、呪いを解いたのだって俺たちの力が暴走した結果みたいなもんだし。英雄なんて、とんでもない。ただの、運がいいだけの、その日暮らしの異世界難民だっつーの)
世間からの評価と、自己評価との間に横たわる、あまりに大きな隔たり。それが、駿に奇妙な居心地の悪さと、僅かな苛立ちを感じさせていた。まるで、サイズの合わない服を無理やり着せられているような、むず痒い感覚だった。
◇
万事屋組合の巨大なホールは、今日も今日とて、様々な人々の熱気でむせ返っていた。
依頼が張り出された巨大な掲示板の前は、特に黒山の人だかりができており、俺たちは人波をかき分けるようにして、その前へと進んだ。
「うーん、高額な依頼は、やっぱり危険なものばかりだねぇ」
千夏が言う通り、掲示板の上の方には、「ワイバーンの討伐」だの「盗賊団の壊滅」だの、今の俺たちが逆立ちしたってこなせそうにない依頼が並んでいる。
「地道に稼ぐしかないか……」
俺は、掲示板の下の方に貼られた、地味で報酬の安い依頼に目をやった。薬草採取、下水道の掃除、迷い猫の捜索。どれもこれも、英雄の仕事とは程遠い。
「あ、これなんてどうでしょう?」
その時、栞が指差したのは、一枚の古びた羊皮紙だった。
『急募:中央市場の警備員。日払い。危険度:低。体力に自信のある方、歓迎』
「市場の警備か。地味だが、日払いってのはありがたいな」
「それに、市場なら美味しいものの屋台もたくさんあるかも!」
千夏が、食いしん坊らしい理由で賛同する。小夜も、人混みは苦手そうだったが、ヤタを介して『市場の構造と物流の人間工学的分析は、今後の活動において有益なデータとなる可能性がある』などと、もっともらしいことを言っている。
こうして、俺たちの当面の食い扶持は、中央市場の警備という、極めて平和的な依頼に決まった。
この時の俺は、まだ知らなかった。
このありふれた日常の延長線上にあるはずだった依頼が、俺たちを、この世界の暗部で蠢く、巨大な悪意の存在へと繋ぐ、最初の糸口になるということを。
◇
太陽は空の真水色を背景に、惜しげもなくその光と熱を地上に降り注いでいた。初夏というには少しばかり性急すぎる日差しが、活気に満ちた中央市場の石畳をじりじりと焼き、人々が往来することで巻き上げられる乾いた土埃を、金色の粒子のようにきらきらと輝かせている。
四方八方から飛び交うのは、生命力そのものを声にしたような売り子たちの怒声にも似た呼び込みだ。南の海で今朝獲れたばかりだという、銀色の鱗を煌めかせる巨大な魚。北の山脈から運ばれてきた、見たこともないほど色鮮やかな果実。西の砂漠を越えてきた隊商が広げる絨毯の上には、鼻腔をくすぐるエキゾチックな香辛料の山。東の森の狩人が担いできた、猪や鹿の新鮮な肉。あらゆる匂いが渾然一体となって空気を満たし、あらゆる人々の熱気が渦を巻き、この市場という一つの巨大な生き物の脈動を形作っていた。
そんな生命力の奔流の只中で、神田駿は、額に滲んだ汗を手の甲で拭いながら、大きく一つ、欠伸を噛み殺した。
「……平和だ」
隣に立つ千夏が、その呟きを聞きつけて、くすくすと笑う。
「それが一番だよ。平和な依頼が、一番!」
彼女の言う通りだった。今日の依頼は「中央市場の警備」。聞こえはいいが、やることは単純そのもの。荷車が渋滞しないように交通整理をしたり、迷子になった子供の親を探してやったり、あるいは「そこのお兄さん、いいリンゴだよ、一つどうだい?」と声をかけてくる果物屋のおばちゃんに愛想笑いを返したり。そんな、およそ冒険者らしからぬ雑務の繰り返し。しかし、今の駿たちにとっては、これ以上なくありがたい仕事だった。何しろ、懐事情が火の車なのだ。
少し離れた日陰では、小夜と栞がちょこんと座り込んでいる。人混みが苦手な小夜は、相変わらず肩に乗せた式神カラスのヤタを介してしか外界とコミュニケーションを取ろうとしないが、その瞳は好奇心に満ちて、きょろきょろと珍しい品々を眺めている。ヤタが、まるで自分の目であるかのように、主の視線の先にあるものを逐一、小夜の耳元で囁いているのだろう。一方の栞は、分厚い古書を開きながらも、時折、売り子の口上や商品の並べ方に法則性を見出しては「なるほど、これは客の購買意欲を刺激するための、伝統的な心理誘導配置ですね!」などと一人で納得し、羊皮紙に何やら数式のようなものを書き殴っている。あの二人にとっては、この市場もまた、格好の研究対象でしかないらしかった。
「しかし、いつまでもこうしてはいられないよな」
駿は、もう一度、活気あふれる市場を見渡した。この賑わい。この平穏。だが、その水面下では、確実に何かが蠢いている。千夏に絡んできたチンピラたち。源という謎の拳法家。そして、彩葉が追う「紅い刃」という組織。彼らが口にしていた「血錆鉱」という不気味な鉱石。一見、バラバラに見える点と点が、駿の頭の中で、ぼんやりとした一つの星座を結び始めていた。思い通りにならないことばかりだが、それがこの世界の当たり前なのだと、少しずつ理解し始めていた。人生とは、そういうものなのだろう。計画通りに進むことなど、万に一つもない。ただ、目の前で起こる出来事に、必死で対応していくしかない。
「おーい、駿くーん! ちょっと、手伝ってー!」
千夏の呼ぶ声に、駿は思考の海から引き戻された。見れば、巨大な樽をいくつも積んだ荷車が、狭い路地で立ち往生している。駿は「へいへい」と気の抜けた返事をしながら、そちらへ駆け寄っていった。
その平穏が、まるで薄いガラスのように粉々に砕け散ったのは、太陽が最も高い位置に達し、人々の額の汗が最も輝きを増した、昼過ぎのことだった。
「よぉ、見つけたぜ、歪み野郎」
その声は、市場の喧騒の中でもやけに明瞭に、そして不快に耳に届いた。粘りつくような、それでいて乾いた悪意。駿が声のした方へ振り向くと、そこには見覚えのある顔があった。いや、正確には、その弟分たちの顔に見覚えがあった。数日前、路地裏で千夏に絡み、駿の(意図せぬ)奇跡のコンボによって自滅した、あのチンピラたちだ。
その中心に立っているのは、一回りも二回りも体格のいい、傷だらけの顔をした男。明らかに、彼らのリーダー格だった。男は、口の端を汚く歪め、品定めをするような目で駿を、そして彼の隣に立つ千夏を睨めつけていた。その背後には、十人近い仲間たちが、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら、じりじりと距離を詰めてくる。
「兄貴ぃ、こいつですぜ。俺たちのカシラに恥かかせた、あのクソガキは」
「へぇ。こんなヒョロガキがねぇ」
男の言葉に、周囲の空気の色が変わった。さっきまで威勢のいい声を張り上げていた売り子たちは口をつぐみ、買い物客たちは、まるで引いていく波のように、さっとその場から距離を取る。市場の陽気な喧騒が嘘のように静まり返り、代わりに、じっとりとした緊張感が満ちていく。誰もが、これから起こるであろう面倒事に関わりたくない、という顔をしていた。
「何の用だ」
駿は、ごくりと喉を鳴らしながら、なんとか声を絞り出した。背後では、栞と小夜が、本物の敵意を前にして、顔を青ざめさせているのが気配で分かった。
「何の用だぁ?」男は、心底おかしいというように肩を揺らして笑った。「てめぇらが、うちの若いモンをコケにしてくれたそうじゃねえか。その落とし前を、つけてもらいに来ただけだよ」
「あれは、そっちが先に絡んできたんだろうが」
「ああ? 聞こえねえなぁ。俺たちが言いてえのは一つだ。てめぇらのせいで、俺たちはこの辺りで笑いモンにされてる。俺たちのシマで、俺たちの面子が、泥にまみれてる。その責任は、どう取ってくれるんだ?」
それは、あまりに理不尽な言い分だった。だが、彼らにとって、道理などどうでもいいのだろう。彼らの怒りの本質は、そこにはない。男は、苦々しげに、地面に唾を吐き捨てた。
「最近、『紅い刃』とかいう胡散臭ぇ連中が、ヤバい武器を売りさばいてやがるせいで、俺たちのシマは荒れ放題だ! 俺たちの商売の邪魔をしやがって! イライラしてるところに、てめぇらがのこのこ現れやがってなぁ!」
その言葉に、駿はハッとした。彼らの苦しみは、自分たちの縄張りという日常が脅かされているという現実そのものだ。そして、その苦しみの原因を、自分たちよりも弱い存在――今の駿たち――にぶつけることで、解消しようとしている。自分たちの思い通りにならない世界への苛立ち。その行き場のない怒りの捌け口として、自分たちは選ばれたのだ。
だが、理屈が分かったところで、状況が好転するわけではない。チンピラたちは、ゆっくりと、しかし確実に包囲網を狭めてくる。背後は、野菜を山と積んだ屋台の壁だ。逃げ場はない。
「やれ」
リーダーの短い命令を合図に、男たちが一斉に襲いかかってきた。
駿は、咄嗟に掌に意識を集中させる。空間を歪ませ、動きを止め、あるいは逸らす。あの路地裏での奇跡をもう一度。だが、焦りからか、あるいは大勢の敵を前にした恐怖からか、掌の前の空間はわずかに揺らめくだけで、決定的な効果を生み出せない。
「くそっ!」
千夏が駿を庇うように前に出るが、多勢に無勢だ。小夜は恐怖で震え、栞はなまじ知識があるだけに、自分たちがどれだけ不利な状況にあるかを計算してしまい、絶望的な顔をしている。
観念しやがれ!
リーダーの太い腕が、まるで丸太のように振り上げられ、駿の顔面に迫る。万事休す。駿が固く目をつぶった、その瞬間だった。
初夏の太陽が放つ黄金色のそれは、俺たちが間借りしている安宿の、決して綺麗とは言えない窓ガラスを通り抜けることで、どこか懐かしいセピア色を帯びる。光の筋は部屋の隅に溜まった綿埃を金色に照らし出し、まるで意志を持っているかのように、ゆっくりと宙を舞う様をきらびやかに映し出していた。
ここは王都の外れにある、しがない宿屋の一室。質素だが、四人(と一羽)が暮らすには十分すぎるほどの広さはある。しかし、その有り余るはずの空間は、そこに集う面々によって、予測不能なカオスへと変貌を遂げていた。
「――結論として、このスープの塩分濃度が現状の三・六パーセントから、あと僅か〇・八パーセント上昇すれば、浸透圧の観点から、理論上は最も効率的に体内へ吸収されることになります。具体的には、発汗量が標準的な成人男性のそれを上回る場合、〇・九パーセントまで許容範囲ですが……」
分厚い眼鏡の奥の瞳をキラリと光らせ、栞がスープ皿を覗き込みながら、いつものように滔々と分析を始めた。彼女の手には、どこで手に入れたのか、液体の比重を測るためのものらしい、怪しげなガラス器具が握られている。その拍子に、彼女が朝食にと齧り付いていた堅焼きパンの欠片が盛大に宙を舞い、放物線を描いて彼女が広げていた貴重な古文書の写しの上に、ぱらぱらと降り注いだ。
「あわわわわ! い、いけません! このパピルスに記されているのは、古代第八王朝時代にのみ使用が確認されている、極めて希少な線文字でして、パン酵母菌の付着による風化のリスクががが!」
そんな栞の悲鳴をBGMに、食卓の隅では、陰陽師の少女、小夜が相変わらず体育座りのように膝を抱え、小さな体で縮こまっている。けれど、彼女の鋭い観察眼と的確な批評精神は、その肩に乗る式神のカラス「ヤタ」を通して、今日も絶好調だった。黒曜石の瞳を持つヤタは、その小さな体でふんぞり返り、翼の先で俺の皿を器用に指し示す。
『そこの男。貴様のパンの持ち方、なっていない』
凛とした、しかしどこかか細い小夜の声が、ヤタの口から響き渡る。
『重心が上過ぎる。それでは具材たる干し肉と野菜が、重力に引かれて溢れ落ちるのは、理の必然。万有引力の法則を愚弄するつもりか』
「うるせぇ! 鳥にパンの食い方を説教される日が来るとは、夢にも思わなかったぜ! 大体な、ファンタジーの世界でニュートンの名前を出すな!」
俺、神田駿(かんだしゅん)は、思わずパンを片手に大声でツッコミを入れる。そんな混沌の食卓を、全ての元凶であり、俺をこの世界に引きずり込んだ張本人である千夏は、両手を頬に当て、まるで春の陽だまりそのものといった笑顔で見守っていた。
「ふふっ、みんな元気でいいねぇ」
「この状況のどこに元気以外のポジティブな要素を見出せるんだよ! もはや異種格闘技戦だろうが!」
俺の的確すぎるツッコミは、しかし、誰の心にも届かない。栞は半泣きで資料のパンくずを払い、ヤタは「ふん」と鼻(?)を鳴らしてそっぽを向き、千夏は「あら、今日のパンは焼き立てだから、いつもより美味しいねぇ」と、全く別の話題に花を咲かせている。
ああ、そうだ。
この奇妙で、騒々しくて、どうしようもなくちぐはぐで、でも、どこか温かい。
そんな日常が、俺たちの新しい「当たり前」になりつつあった。
人見知りの天才陰陽師・小夜と、ドジっ子の博識賢者・栞が、半ば強引に仲間になってから、およそ一週間が過ぎていた。
◇
賑やかすぎる朝食を終え、俺は部屋の隅で、一人静かに溜息をついた。原因は、空になった革袋。つまり、財政問題だ。
前の依頼、すなわち小夜と栞を(結果的に)助けた例の呪われた屋敷の一件で得た報酬は、決して少なくはなかった。並の四人家族なら、一月は余裕で暮らせるほどの金額だったはずだ。
しかし、その虎の子の報酬は、この一週間で見る影もなく消え去っていた。
まず、食費。俺と千夏だけならまだしも、新たに加わった二人と一羽の食欲が、俺の想定を遥かに超えていた。小夜本人は小食なのだが、式神であるヤタが、主の成長のためと称して、小夜の三倍は食う。栞に至っては、研究で脳を使うから、と常人の二倍は軽く平らげる上に、「栄養バランスの最適化が必要です」などと言いながら、高価な木の実や希少な香草を市場で買い込んでは、怪しげな栄養ドリンクを開発している。
そして、それ以上に深刻なのが、栞の研究費だった。
彼女は街の古道具屋や露店を巡っては、「これは! 古代文明の遺物かもしれません! この独特な文様は、失われた技術の……」と目を輝かせ、どう見てもただの欠けた壺や錆びた鉄屑にしか見えないガラクタを、次から次へと買い込んでくるのだ。
「いいか、栞さん。もう一度言うが、俺たち、このままだとマジで破産するぞ」
俺が、最後の銀貨数枚が寂しく転がる革袋を逆さにして見せると、栞は分厚い眼鏡を曇らせ、しゅんとうなだれた。
「も、申し訳ありません……。しかし、知的好奇心というものは、時に財政状況を度外視してでも優先されるべき、人類の根源的欲求でして……」
「その欲求のせいで、俺たちが路頭に迷うのはごめんだ!」
そんな俺たちのやり取りを見て、千夏が「まあまあ」と、いつもの太陽のような笑顔で割って入る。
「大丈夫! お金がなくなったら、また働けばいいんだよ!」
その能天気なまでのポジティブさは、時に眩しく、時に腹立たしい。
「というわけで、組合に行きますか」
俺たちは、生活費という、極めて現実的で切実な問題を解決するため、再び万事屋組合へと向かうことにした。
宿屋の古びた木の扉を開けると、初夏の爽やかな風が、街の喧騒を運んできた。石畳の道を、様々な服装の人々が行き交う。荷馬車を引く馬のいななき、どこかの店の親父の威勢のいい呼び込みの声、子供たちのはしゃぐ甲高い笑い声。全てがごちゃ混ぜになって、この街の生命力そのものを形作っているようだった。
そんな中、ふと視線を感じて横を見ると、露店で飴を舐めていた子供たちが、俺を指差してヒソヒソと囁き合っているのが見えた。
「あ、見て。猪の人だ」
「え、ほんとだ! 空間魔法を使うんだって!」
「商人の悪い人たちを、やっつけたんだよね!」
「……おい、千夏。あの噂、まだ広まってんのか」
「みたいだねぇ。日に日に、内容が豪華になってる気もするけど」
千夏は、くすくすと笑っている。全くもって、笑い事ではない。
そもそも、森で出くわした巨大な猪を退けたのは、ほとんどが、あの桜色の着物を着た謎の女性、彩葉さんの力だ。俺の能力なんて、何の役にも立たなかった。
呪われた屋敷の一件だってそうだ。俺が何かを解決したわけじゃない。小夜と栞、二人の天才の力を、俺が偶然、無茶苦茶な方法で繋ぎ合わせた結果に過ぎない。俺の力そのものが、何かを成したわけじゃないのだ。
(英雄、ねぇ……)
俺は、内心で自嘲気味に呟いた。
(猪を倒したのはほぼ彩葉さんだし、呪いを解いたのだって俺たちの力が暴走した結果みたいなもんだし。英雄なんて、とんでもない。ただの、運がいいだけの、その日暮らしの異世界難民だっつーの)
世間からの評価と、自己評価との間に横たわる、あまりに大きな隔たり。それが、駿に奇妙な居心地の悪さと、僅かな苛立ちを感じさせていた。まるで、サイズの合わない服を無理やり着せられているような、むず痒い感覚だった。
◇
万事屋組合の巨大なホールは、今日も今日とて、様々な人々の熱気でむせ返っていた。
依頼が張り出された巨大な掲示板の前は、特に黒山の人だかりができており、俺たちは人波をかき分けるようにして、その前へと進んだ。
「うーん、高額な依頼は、やっぱり危険なものばかりだねぇ」
千夏が言う通り、掲示板の上の方には、「ワイバーンの討伐」だの「盗賊団の壊滅」だの、今の俺たちが逆立ちしたってこなせそうにない依頼が並んでいる。
「地道に稼ぐしかないか……」
俺は、掲示板の下の方に貼られた、地味で報酬の安い依頼に目をやった。薬草採取、下水道の掃除、迷い猫の捜索。どれもこれも、英雄の仕事とは程遠い。
「あ、これなんてどうでしょう?」
その時、栞が指差したのは、一枚の古びた羊皮紙だった。
『急募:中央市場の警備員。日払い。危険度:低。体力に自信のある方、歓迎』
「市場の警備か。地味だが、日払いってのはありがたいな」
「それに、市場なら美味しいものの屋台もたくさんあるかも!」
千夏が、食いしん坊らしい理由で賛同する。小夜も、人混みは苦手そうだったが、ヤタを介して『市場の構造と物流の人間工学的分析は、今後の活動において有益なデータとなる可能性がある』などと、もっともらしいことを言っている。
こうして、俺たちの当面の食い扶持は、中央市場の警備という、極めて平和的な依頼に決まった。
この時の俺は、まだ知らなかった。
このありふれた日常の延長線上にあるはずだった依頼が、俺たちを、この世界の暗部で蠢く、巨大な悪意の存在へと繋ぐ、最初の糸口になるということを。
◇
太陽は空の真水色を背景に、惜しげもなくその光と熱を地上に降り注いでいた。初夏というには少しばかり性急すぎる日差しが、活気に満ちた中央市場の石畳をじりじりと焼き、人々が往来することで巻き上げられる乾いた土埃を、金色の粒子のようにきらきらと輝かせている。
四方八方から飛び交うのは、生命力そのものを声にしたような売り子たちの怒声にも似た呼び込みだ。南の海で今朝獲れたばかりだという、銀色の鱗を煌めかせる巨大な魚。北の山脈から運ばれてきた、見たこともないほど色鮮やかな果実。西の砂漠を越えてきた隊商が広げる絨毯の上には、鼻腔をくすぐるエキゾチックな香辛料の山。東の森の狩人が担いできた、猪や鹿の新鮮な肉。あらゆる匂いが渾然一体となって空気を満たし、あらゆる人々の熱気が渦を巻き、この市場という一つの巨大な生き物の脈動を形作っていた。
そんな生命力の奔流の只中で、神田駿は、額に滲んだ汗を手の甲で拭いながら、大きく一つ、欠伸を噛み殺した。
「……平和だ」
隣に立つ千夏が、その呟きを聞きつけて、くすくすと笑う。
「それが一番だよ。平和な依頼が、一番!」
彼女の言う通りだった。今日の依頼は「中央市場の警備」。聞こえはいいが、やることは単純そのもの。荷車が渋滞しないように交通整理をしたり、迷子になった子供の親を探してやったり、あるいは「そこのお兄さん、いいリンゴだよ、一つどうだい?」と声をかけてくる果物屋のおばちゃんに愛想笑いを返したり。そんな、およそ冒険者らしからぬ雑務の繰り返し。しかし、今の駿たちにとっては、これ以上なくありがたい仕事だった。何しろ、懐事情が火の車なのだ。
少し離れた日陰では、小夜と栞がちょこんと座り込んでいる。人混みが苦手な小夜は、相変わらず肩に乗せた式神カラスのヤタを介してしか外界とコミュニケーションを取ろうとしないが、その瞳は好奇心に満ちて、きょろきょろと珍しい品々を眺めている。ヤタが、まるで自分の目であるかのように、主の視線の先にあるものを逐一、小夜の耳元で囁いているのだろう。一方の栞は、分厚い古書を開きながらも、時折、売り子の口上や商品の並べ方に法則性を見出しては「なるほど、これは客の購買意欲を刺激するための、伝統的な心理誘導配置ですね!」などと一人で納得し、羊皮紙に何やら数式のようなものを書き殴っている。あの二人にとっては、この市場もまた、格好の研究対象でしかないらしかった。
「しかし、いつまでもこうしてはいられないよな」
駿は、もう一度、活気あふれる市場を見渡した。この賑わい。この平穏。だが、その水面下では、確実に何かが蠢いている。千夏に絡んできたチンピラたち。源という謎の拳法家。そして、彩葉が追う「紅い刃」という組織。彼らが口にしていた「血錆鉱」という不気味な鉱石。一見、バラバラに見える点と点が、駿の頭の中で、ぼんやりとした一つの星座を結び始めていた。思い通りにならないことばかりだが、それがこの世界の当たり前なのだと、少しずつ理解し始めていた。人生とは、そういうものなのだろう。計画通りに進むことなど、万に一つもない。ただ、目の前で起こる出来事に、必死で対応していくしかない。
「おーい、駿くーん! ちょっと、手伝ってー!」
千夏の呼ぶ声に、駿は思考の海から引き戻された。見れば、巨大な樽をいくつも積んだ荷車が、狭い路地で立ち往生している。駿は「へいへい」と気の抜けた返事をしながら、そちらへ駆け寄っていった。
その平穏が、まるで薄いガラスのように粉々に砕け散ったのは、太陽が最も高い位置に達し、人々の額の汗が最も輝きを増した、昼過ぎのことだった。
「よぉ、見つけたぜ、歪み野郎」
その声は、市場の喧騒の中でもやけに明瞭に、そして不快に耳に届いた。粘りつくような、それでいて乾いた悪意。駿が声のした方へ振り向くと、そこには見覚えのある顔があった。いや、正確には、その弟分たちの顔に見覚えがあった。数日前、路地裏で千夏に絡み、駿の(意図せぬ)奇跡のコンボによって自滅した、あのチンピラたちだ。
その中心に立っているのは、一回りも二回りも体格のいい、傷だらけの顔をした男。明らかに、彼らのリーダー格だった。男は、口の端を汚く歪め、品定めをするような目で駿を、そして彼の隣に立つ千夏を睨めつけていた。その背後には、十人近い仲間たちが、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら、じりじりと距離を詰めてくる。
「兄貴ぃ、こいつですぜ。俺たちのカシラに恥かかせた、あのクソガキは」
「へぇ。こんなヒョロガキがねぇ」
男の言葉に、周囲の空気の色が変わった。さっきまで威勢のいい声を張り上げていた売り子たちは口をつぐみ、買い物客たちは、まるで引いていく波のように、さっとその場から距離を取る。市場の陽気な喧騒が嘘のように静まり返り、代わりに、じっとりとした緊張感が満ちていく。誰もが、これから起こるであろう面倒事に関わりたくない、という顔をしていた。
「何の用だ」
駿は、ごくりと喉を鳴らしながら、なんとか声を絞り出した。背後では、栞と小夜が、本物の敵意を前にして、顔を青ざめさせているのが気配で分かった。
「何の用だぁ?」男は、心底おかしいというように肩を揺らして笑った。「てめぇらが、うちの若いモンをコケにしてくれたそうじゃねえか。その落とし前を、つけてもらいに来ただけだよ」
「あれは、そっちが先に絡んできたんだろうが」
「ああ? 聞こえねえなぁ。俺たちが言いてえのは一つだ。てめぇらのせいで、俺たちはこの辺りで笑いモンにされてる。俺たちのシマで、俺たちの面子が、泥にまみれてる。その責任は、どう取ってくれるんだ?」
それは、あまりに理不尽な言い分だった。だが、彼らにとって、道理などどうでもいいのだろう。彼らの怒りの本質は、そこにはない。男は、苦々しげに、地面に唾を吐き捨てた。
「最近、『紅い刃』とかいう胡散臭ぇ連中が、ヤバい武器を売りさばいてやがるせいで、俺たちのシマは荒れ放題だ! 俺たちの商売の邪魔をしやがって! イライラしてるところに、てめぇらがのこのこ現れやがってなぁ!」
その言葉に、駿はハッとした。彼らの苦しみは、自分たちの縄張りという日常が脅かされているという現実そのものだ。そして、その苦しみの原因を、自分たちよりも弱い存在――今の駿たち――にぶつけることで、解消しようとしている。自分たちの思い通りにならない世界への苛立ち。その行き場のない怒りの捌け口として、自分たちは選ばれたのだ。
だが、理屈が分かったところで、状況が好転するわけではない。チンピラたちは、ゆっくりと、しかし確実に包囲網を狭めてくる。背後は、野菜を山と積んだ屋台の壁だ。逃げ場はない。
「やれ」
リーダーの短い命令を合図に、男たちが一斉に襲いかかってきた。
駿は、咄嗟に掌に意識を集中させる。空間を歪ませ、動きを止め、あるいは逸らす。あの路地裏での奇跡をもう一度。だが、焦りからか、あるいは大勢の敵を前にした恐怖からか、掌の前の空間はわずかに揺らめくだけで、決定的な効果を生み出せない。
「くそっ!」
千夏が駿を庇うように前に出るが、多勢に無勢だ。小夜は恐怖で震え、栞はなまじ知識があるだけに、自分たちがどれだけ不利な状況にあるかを計算してしまい、絶望的な顔をしている。
観念しやがれ!
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