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第5章:帝国の罠と新たな転生者
第45話:帝国の牢獄
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我々が連行された先、それは栄華を極める帝都の光が全く届かぬ裏側、帝城アイゼンガルドの地下深く、その基礎を蝕むようにして広がっていると噂される大監獄であった。そこは、物理的な光や音が遮断されているだけではない。人の心に灯るべき希望という名の最後の光さえも、容赦なく飲み込んでしまう、完全なる絶望を体現したかのような空間だった。
足を踏み入れた瞬間、ひんやりとした湿気を帯びた空気が、まるで意志を持っているかのように肌へねっとりとまとわりついてくる。その感触は、死者の冷たい吐息を浴びせられているようで、体の芯から震えが走った。壁は黒く濡れそぼり、そこからは絶え間なくじっとりと水が滴り落ちている。ぽたん、ぽたん、という単調極まりないその水滴音だけが、不気味なほどの静寂に支配されたこの空間で唯一許された音であり、かえってその静寂の深さを際立たせていた。それはまるで、監獄そのものが刻む、囚人たちの運命の秒読みのように響き渡る。
空気中には、長年陽の目を見ることなく腐敗し続けたカビのむせ返るような匂いと、鉄格子や枷がゆっくりと朽ちていく過程で放つ独特の錆の匂い、そして何よりも、ここに捨てられ、忘れ去られていった数多の囚人たちの拭いきれない絶望と、晴らされることのない怨念が混じり合い、長い年月をかけて澱のように沈殿した重たい匂いが満ち満ちていた。それは呼吸をするたびに肺腑を侵し、精神を少しずつ削り取っていく毒のようだった。
看守たちの乱暴な手によって、我々は為す術もなく引き離され、それぞれの独房へと無造作に押し込められた。その乱暴な処遇の中で、仲間たちがどのような扱いを受け、どこの房へ入れられたのか、互いの安否を知る術は完全に断たれてしまった。ただ、闇の向こうから聞こえてくる仲間の名を叫ぶ声や、鉄がぶつかり合う甲高い音だけが、彼らがまだ抵抗を続けていることをかろうじて伝えていた。
俺が入れられたのは、その広大な大監獄の中でも、最も脱獄が困難であり、最も重要な囚人を収容するとされる特別独房だった。四方は、光すら吸収してしまいそうなほど漆黒の、黒曜石を思わせる滑らかな壁で完全に囲まれている。おそらくは魔法的な加護を受けた特殊な鉱石なのだろう、触れると人の体温を急速に奪っていくような、ぞっとするほどの冷たさを宿していた。入り口には、成人男性の腕ほどもある太さの鉄格子が幾重にも組み合わされ、見るからに頑丈な錠前で固く閉ざされている。部屋と呼ぶのもおこがましいその空間の内部には、壁から突き出した粗末な石のベッドと、排泄用として床に穿たれた穴が一つあるだけで、他には何もない。無駄の一切を排した、ただ生命を維持するためだけの最低限の設備。それが、この部屋に込められた作り手の明確な悪意を物語っていた。
そして何よりも、この部屋全体に、強力無比な魔力封じの結界が張り巡らされていたのだ。壁、床、天井、その全面に渡って、複雑怪奇なルーン文字がびっしりと隙間なく刻み込まれている。それらの文字は、まるで自ら発光しているかのように、ぼんやりとした不吉な青白い光を放ち、この空間内におけるマナの流れ、すなわち魔力の源流を完全に停滞させていた。空気が水飴のように重く、粘り気を帯びて感じられる。並の魔術師であれば、この結界の中では体内の魔力循環を阻害され、指先一つ動かすことすら叶わないだろう。魔法を生命線とする者にとって、ここは生きたまま墓石に塗り込められるにも等しい、究極の牢獄であった。
「ふん。どうだ、小僧」 私を独房に乱暴に叩き込んだ看守の一人が、鉄格子の向こう側で、歪んだ愉悦に満ちた下品な笑みを浮かべた。その目は、獲物をいたぶる捕食者のように、私の無力な様を値踏みしている。 「ここが、貴様の新しい住処だ。これから先、日の光を拝むことも、温かい食事を摂ることもない。せいぜい己の無力さと愚かさを存分に噛み締めながら、広場で晒し首にされる処刑の日を指折り数えて待つがいい」 看守はそう言い放つと、腹の底から絞り出すような高笑いを響かせながら、闇が支配する通路の奥へと消えていった。その足音と笑い声が完全に闇に吸い込まれると、後には絶対的な静寂と、視界の全てを塗りつぶす漆黒の闇だけが残された。
俺はしばらくの間、その氷のように冷たい石のベッドの上に腰を下ろし、背後の壁に体重を預けながら、じっと現状を整理していた。 (さて、と) 俺の思考は、しかし、看守が期待したであろう絶望には微塵も染まっていなかった。むしろ、その逆だった。心の中には、不思議なほどの冷静さと、確かな勝算が静かに灯り始めていた。 (これは、ある意味で絶好の機会かもしれない)
あの狡猾で猜疑心に満ちた宰相ヴァルハルト。奴は、数々の政敵を罠に嵌めて葬り去ってきた、知謀に長けた男だ。だが、そんな奴でも、私の力の根源、その本当の恐ろしさを完全には理解していない。奴の目には、私が「通常よりも少しばかり魔力が強く、若さゆえに無謀で生意気なだけのガキ」程度にしか映っていなかったのだろう。だからこそ、自信満々に私をこの「魔力封じの牢獄」に放り込んだ。それが奴の、最大の、そして取り返しのつかない致命的な失策だったのだ。
俺のこの力は、この世界の誰もが知る常識的な「魔法」とは、その原理、その理(ことわり)が根本的に異なっている。一般的な魔法が、大気中や大地に満ちるマナを、術者の技量に応じて「借り受け」、現象として発現させるものであるのに対し、私の力は外部のマナを一切必要としない。それは、私の魂そのものから、まるで尽きることのない泉のように無限に湧き出してくる根源的なエネルギーなのだ。世界の法則に縛られるのではなく、世界の法則そのものを私の意のままに書き換える、「理」の力。
この厳重な結界は、例えるならば水道の元栓を固く締めるようなものだ。外部からの水の供給を断てば、蛇口をいくらひねっても水は出ない。だが、悲しいかな。私の力は、その蛇口から供給される水道水ではない。私自身が、無限の水を生み出す水源そのものなのだから。この結界は、私にとっては何の意味もなさない。
(ふう。たまには、こんな静かな場所で一人きりになるのも悪くない) 思考を切り替えた私は、まるで自室の柔らかなベッドに身を投げるかのように、その硬く冷たい石のベッドの上に、ごろんと大の字に寝転がった。そして、ゆっくりと目を閉じ、まずは一眠りすることにした。これから始まるであろう長い戦いに備えるためにも、まずは休息が必要だ。脱獄するにしても、まずは腹ごしらえと質の良い睡眠から。それが物事を成功させるための揺るぎない基本だろう。
***
その頃、俺が安らかな眠りについている間にも、俺の愛すべき仲間たちは、それぞれの独房で、それぞれの強烈な個性をいかんなく発揮し、この絶望的な状況に抗っていた。
まず、比類なき怪力を誇る女戦士、サラ。 彼女の独房には、魔術師ではない彼女に対して魔力封じの結界は施されていない。その代わりというべきか、彼女の細腕にはおよそ不釣り合いな、極太の鉄の枷が両手両足にはめられ、それぞれが太い鎖で壁に埋め込まれた頑丈な鉄輪に繋がれていた。 「くっそー!こんな、ただの鉄の輪っか一つで、この私を止められるとでも思ってんのよ!」 彼女は、獣のような雄叫びを上げると、その有り余る腕力に全身の体重を乗せ、鉄の枷を力任せに引きちぎろうと試みていた。ミシミシ、と鉄が軋み、金属疲労を起こす嫌な音が独房中に響き渡る。彼女が力を込めるたびに、鎖が繋がれた壁の一部が、ばらばらと崩れ落ちていく。 看守たちがその凄まじい物音に気づき、慌てて駆けつけてきた。「おい、やめろ、馬鹿力女!壁が崩れるだろうが!」と、鉄格子の外から悲鳴に近い怒声を上げるが、今の彼女にはそんな声は届かない。 「待ってなさいよ、ガク!あんたを一人ぼっちには、絶対にさせないんだから!」 彼女は、囚われた仲間のため、そして何よりも、己の戦士としてのプライドのため、自由を奪う冷たい鉄との孤独で熾烈な戦いを、一心不乱に繰り広げていた。
次に、老練なドワーフの賢者、ドルセン。 彼の独房は、サラのそれとは実に対照的で、驚くほどに静かだった。彼は、分厚い壁にどっしりと背中をもたれかけ、すぴー、すぴー、と実に気持ちよさそうな寝息を立てていたのだ。その白い髭は、安らかな呼吸に合わせて穏やかに揺れている。 「ふぉっふぉっふぉ。近頃は野営続きじゃったからな。久しぶりに、硬いとはいえ屋根のある場所で、ぐっすり眠れそうじゃわい」 彼は、この絶望的としか言いようのない状況を、ただの「少々不便で寝床が硬いだけの宿屋」程度にしか認識していないようだった。数多の戦場と修羅場をくぐり抜けてきた彼ならではの、その鋼のメンタルは、ある種の畏怖と尊敬に値する。
そして、食欲こそが力の源泉である巨漢の神官、ハガン。 彼の独房からは、絶え間なく、うめき声と、何かが硬いものにぶつかる鈍い衝撃音が聞こえてきていた。 「腹が、減った。腹が、減ったぞおおおおおおおおっっ!!!!」 彼は、極度の空腹のあまり、牢獄の頑丈な鉄格子に対し、その岩のような硬度を誇る頭突きを、何度も、何度も、狂ったように繰り返していた。 ガン!ガン!ガン! 鉄格子が大きくしなり、監獄全体に重低音が響き渡る。 「おお、神よ!我が信仰の証として、我に食料という名の新たなる試練を、今すぐお与えください!」 その、あまりにも切実でありながら、しかし根本的に何かがズレている祈りの声が、薄暗い地下牢に虚しく、そして力強く響き渡っていた。
一方、セリアとアリシア、そしてフィオナとニコの女性陣は、男性用の牢獄とは少し離れた、別の区画にまとめて収容されていた。そこは、むさ苦しい男性用の牢獄よりはいくらかマシな環境ではあったが、それでも希望の光が差し込まない絶望の場所であることに変わりはなかった。
「うっ、うっ、ひっく。怖いよお、兄ちゃん…暗くて、寒くて…」 「大丈夫だ、フィオナ。俺が、俺だけは絶対にそばにいるからな」 最年少のフィオナは、この過酷な環境に耐えきれず、静かに涙を流していた。兄であるニコは、そんな震える妹の小さな体を必死に抱きしめ、自身も恐怖に駆られながら、精一杯の虚勢を張って励ましていた。
王女であるアリシアは、自らの立場と矜持から、気丈さを保とうと必死に努めていた。しかし、その顔色は青ざめ、血の気を失った唇は、抑えようもなく小刻みに震えている。 「なんてこと…。私のせいで、私の軽率な行動が、皆さんをこんな危険な目に…」 自責の念に駆られ、俯く彼女の冷たい手を、そっと温かい手が握りしめた。セリアだった。 「王女殿下。下を向いてはいけません。顔を上げてください。神は、我々に乗り越えられない試練は決して与えになりません。信じるのです。彼を」 セリアは、その澄んだ瞳で、私がいるであろう特別独房の方向を、まるで全てを見通しているかのように真っ直ぐに見つめていた。 「ガクさんなら、必ず、この絶望的な状況を打ち破ってくださいますわ。彼は、そういう方ですもの。いつだって、私たちの想像を遥かに超える奇跡を起こしてくれる」 その言葉には、一片の疑いも揺らぎもない、絶対的な信頼が込められていた。 仲間たちは、それぞれの場所で、それぞれのやり方で、このどうしようもない絶望的な状況と、必死に戦っていたのだ。私が、そんなこととは露知らず、ぐっすりと眠っている間に。
***
数時間が経過しただろうか。 俺は、深い眠りから覚め、すっきりと冴え渡った意識でゆっくりと目を開けた。 (よし。よく寝た。おかげで頭も体も軽い。だが、腹も減ったことだし、そろそろ出るとするか) 俺は石のベッドから音もなく起き上がると、独房の入り口で威圧的にそびえ立つ、あの頑丈な鉄格子へと向かった。そして、その氷のように冷たい鉄格子に、そっと右の手のひらを触れた。
そして、強くイメージした。 (この鉄という物質を構成している、無数の分子。その原子同士の結合を、極限まで緩める。そして、その固定された構造を、私の意のままに組み替える) (固体から、液体へ。そう、まるで氷が解けて水になるように、自然の摂理として) 俺が、そう念じた瞬間。 常識ではありえない奇跡が、静かに、しかし確実に起きた。
俺が触れている鉄格子が、まるで灼熱のナイフを当てられたバターのように、じゅわ、という微かな音を立てて溶け始めたのだ。一切の抵抗も、火花も、煙もなく、ただその形状を失っていく。そして、ほんの数秒後。そこにはもう、脱獄を阻んでいたはずの頑丈な鉄格子は存在しなかった。代わりに、床の上には、鉄が溶けてできた銀色の液体の水たまりが、静かに広がっているだけだった。
私は、その水たまりを何でもないようにひょいとまたいで、独房から一歩、外の世界へと踏み出した。 しーん。 薄暗い通路には、誰の気配もない。看守たちは、この監獄の絶対的な安全性を信じきって、すっかり油断しているのだろう。 私は、まるで我が家の廊下を散歩するかのように、悠々とした足取りで、その薄暗い通路を歩き始めた。そして、仲間たちが囚われているであろう、それぞれの独房の前へと向かう。
まず、サラの独房の前。 案の定、彼女はまだ諦めることなく、鉄の枷と孤独な格闘を続けていた。汗だくになり、呼吸を荒げながらも、その瞳の光は少しも失われていない。 私は、パチン、と軽く指を鳴らした。 その瞬間、彼女の手足を固く縛り付けていた極太の鉄の枷が、まるで熱せられた飴細工のように、ぐにゃりと歪み、何の抵抗もなく彼女の手首と足首からするりと抜け落ちた。 「え?」 サラは、突然訪れた解放にきょとんとして、自分の自由になった手首を信じられないといった表情で見つめている。
次に、ハガンの独房の前。 彼は、まだ空腹を訴えながら、鉄格子に頭突きを繰り返していた。その執念には、もはや感心すら覚える。 私は、再びパチンと指を鳴らした。 すると、彼が頭突きをしていた鉄格子が、今度は柔らかいグミのようにぐにゃぐにゃになり、彼は勢い余って通路に頭から派手に突っ込んだ。 「ぶべらっ!?」 情けない悲鳴と共に、床に大の字に突っ伏すハガン。
ドルセンの独房の前。 彼は、相変わらず気持ちよさそうに眠っていた。その豪胆さには敬意を表し、少し驚かせてやることにした。 私は、わざと大きな音を立てるようにイメージして、鉄格子を瞬時に消滅させた。 「ふがっ!?な、なんじゃ、今の音は!地震か!?」 ドルセンは、飛び起きると、目の前の鉄格子が消え失せていることに気づき、目を丸くした。
そして、忘れてはならないのが、あの胡散臭い元剣聖、バルガスだ。 彼の独房はドルセンのすぐ隣だったが、そこからは豪快ないびきと、時折「酒……姉ちゃん……」という、実にろくでもない寝言が聞こえていた。 「ちっ。どいつもこいつも」 俺は呆れながら、彼の牢屋の鉄格子も溶かしてやった。それでも起きない彼に、俺は足元の小石を軽く蹴り飛ばしてぶつけた。 「いてっ!? な、なんだ、もう朝か? 酒ならまだ残ってるぞ……むにゃ」 彼は寝ぼけ眼をこすりながら、のっそりと起き上がった。こいつもこいつで、肝が据わっているというか、ただのダメ人間というか。
こうして、私は次々と仲間たちを解放していった。 最後に、女性用の区画へと静かに向かい、同じようにしてセリアたちも救出した。鉄格子が音もなく消え去ると、中から驚きと安堵の表情を浮かべた彼女たちが姿を現した。
「ガクさん!」 「ガク!」 「兄貴!」 「兄ちゃん!」 解放された仲間たちが、私の周りに駆け寄り、次々に集まってくる。その顔には、驚きと、絶望からの解放による安堵と、そして何よりも、私に対する絶対的な信頼の光が宿っていた。 後ろから、あくびを噛み殺しながらバルガスも合流する。 「ふわあ。なんだ、もう出られんのか。ここの飯、一度くらい食ってみたかったんだがな」 相変わらず緊張感のない男だ。
私は、そんなかけがえのない彼らに、にっと悪戯っぽく笑いかけて言った。 「お待たせ。さあ、行こうぜ」 「え?行くって、どこへ?」 状況が飲み込めていないサラが、代表して尋ねる。 俺は、この薄暗く、じめじめした地下牢の、遥か頭上を指差した。そこには、帝城の輝かしい玉座があるはずだ。 「決まってるだろ」
俺の声は、静かだったが、その奥には燃え盛るような怒りが込められていた。 「俺たちをこんな目に合わせた、あの馬鹿な宰相に、ちょっとばかし文句を言いに行くんだよ」
俺のその静かな、しかし底知れない怒気を孕んだ声に、仲間たちはごくりと息を呑んだ。そして、次の瞬間、全員が、まるで示し合わせたかのように、にやりと実に悪い笑みを浮かべた。 我々の逆襲が、今、この瞬間から始まる。 この帝都アイゼンガルドを根底から揺るがす、とんでもない祭りの始まりだ。 宰相ヴァルハルト。あんた、覚悟しとけよ。俺たちを怒らせた代償は、あんたが思っているよりも、ずっと高くつくことになるぜ。
俺は、心の底からそう、強く思った。 この歴史に残る大脱獄劇が、後の世に「アイゼンガルドの静かなる革命」として、吟遊詩人たちによって永く歌い継がれることになるとは、この時の私はまだ知る由もなかった。 今はただ、再び共に立つことができた仲間たちとの絆、この確かな喜びを、心の底から噛み締めているだけだった。
足を踏み入れた瞬間、ひんやりとした湿気を帯びた空気が、まるで意志を持っているかのように肌へねっとりとまとわりついてくる。その感触は、死者の冷たい吐息を浴びせられているようで、体の芯から震えが走った。壁は黒く濡れそぼり、そこからは絶え間なくじっとりと水が滴り落ちている。ぽたん、ぽたん、という単調極まりないその水滴音だけが、不気味なほどの静寂に支配されたこの空間で唯一許された音であり、かえってその静寂の深さを際立たせていた。それはまるで、監獄そのものが刻む、囚人たちの運命の秒読みのように響き渡る。
空気中には、長年陽の目を見ることなく腐敗し続けたカビのむせ返るような匂いと、鉄格子や枷がゆっくりと朽ちていく過程で放つ独特の錆の匂い、そして何よりも、ここに捨てられ、忘れ去られていった数多の囚人たちの拭いきれない絶望と、晴らされることのない怨念が混じり合い、長い年月をかけて澱のように沈殿した重たい匂いが満ち満ちていた。それは呼吸をするたびに肺腑を侵し、精神を少しずつ削り取っていく毒のようだった。
看守たちの乱暴な手によって、我々は為す術もなく引き離され、それぞれの独房へと無造作に押し込められた。その乱暴な処遇の中で、仲間たちがどのような扱いを受け、どこの房へ入れられたのか、互いの安否を知る術は完全に断たれてしまった。ただ、闇の向こうから聞こえてくる仲間の名を叫ぶ声や、鉄がぶつかり合う甲高い音だけが、彼らがまだ抵抗を続けていることをかろうじて伝えていた。
俺が入れられたのは、その広大な大監獄の中でも、最も脱獄が困難であり、最も重要な囚人を収容するとされる特別独房だった。四方は、光すら吸収してしまいそうなほど漆黒の、黒曜石を思わせる滑らかな壁で完全に囲まれている。おそらくは魔法的な加護を受けた特殊な鉱石なのだろう、触れると人の体温を急速に奪っていくような、ぞっとするほどの冷たさを宿していた。入り口には、成人男性の腕ほどもある太さの鉄格子が幾重にも組み合わされ、見るからに頑丈な錠前で固く閉ざされている。部屋と呼ぶのもおこがましいその空間の内部には、壁から突き出した粗末な石のベッドと、排泄用として床に穿たれた穴が一つあるだけで、他には何もない。無駄の一切を排した、ただ生命を維持するためだけの最低限の設備。それが、この部屋に込められた作り手の明確な悪意を物語っていた。
そして何よりも、この部屋全体に、強力無比な魔力封じの結界が張り巡らされていたのだ。壁、床、天井、その全面に渡って、複雑怪奇なルーン文字がびっしりと隙間なく刻み込まれている。それらの文字は、まるで自ら発光しているかのように、ぼんやりとした不吉な青白い光を放ち、この空間内におけるマナの流れ、すなわち魔力の源流を完全に停滞させていた。空気が水飴のように重く、粘り気を帯びて感じられる。並の魔術師であれば、この結界の中では体内の魔力循環を阻害され、指先一つ動かすことすら叶わないだろう。魔法を生命線とする者にとって、ここは生きたまま墓石に塗り込められるにも等しい、究極の牢獄であった。
「ふん。どうだ、小僧」 私を独房に乱暴に叩き込んだ看守の一人が、鉄格子の向こう側で、歪んだ愉悦に満ちた下品な笑みを浮かべた。その目は、獲物をいたぶる捕食者のように、私の無力な様を値踏みしている。 「ここが、貴様の新しい住処だ。これから先、日の光を拝むことも、温かい食事を摂ることもない。せいぜい己の無力さと愚かさを存分に噛み締めながら、広場で晒し首にされる処刑の日を指折り数えて待つがいい」 看守はそう言い放つと、腹の底から絞り出すような高笑いを響かせながら、闇が支配する通路の奥へと消えていった。その足音と笑い声が完全に闇に吸い込まれると、後には絶対的な静寂と、視界の全てを塗りつぶす漆黒の闇だけが残された。
俺はしばらくの間、その氷のように冷たい石のベッドの上に腰を下ろし、背後の壁に体重を預けながら、じっと現状を整理していた。 (さて、と) 俺の思考は、しかし、看守が期待したであろう絶望には微塵も染まっていなかった。むしろ、その逆だった。心の中には、不思議なほどの冷静さと、確かな勝算が静かに灯り始めていた。 (これは、ある意味で絶好の機会かもしれない)
あの狡猾で猜疑心に満ちた宰相ヴァルハルト。奴は、数々の政敵を罠に嵌めて葬り去ってきた、知謀に長けた男だ。だが、そんな奴でも、私の力の根源、その本当の恐ろしさを完全には理解していない。奴の目には、私が「通常よりも少しばかり魔力が強く、若さゆえに無謀で生意気なだけのガキ」程度にしか映っていなかったのだろう。だからこそ、自信満々に私をこの「魔力封じの牢獄」に放り込んだ。それが奴の、最大の、そして取り返しのつかない致命的な失策だったのだ。
俺のこの力は、この世界の誰もが知る常識的な「魔法」とは、その原理、その理(ことわり)が根本的に異なっている。一般的な魔法が、大気中や大地に満ちるマナを、術者の技量に応じて「借り受け」、現象として発現させるものであるのに対し、私の力は外部のマナを一切必要としない。それは、私の魂そのものから、まるで尽きることのない泉のように無限に湧き出してくる根源的なエネルギーなのだ。世界の法則に縛られるのではなく、世界の法則そのものを私の意のままに書き換える、「理」の力。
この厳重な結界は、例えるならば水道の元栓を固く締めるようなものだ。外部からの水の供給を断てば、蛇口をいくらひねっても水は出ない。だが、悲しいかな。私の力は、その蛇口から供給される水道水ではない。私自身が、無限の水を生み出す水源そのものなのだから。この結界は、私にとっては何の意味もなさない。
(ふう。たまには、こんな静かな場所で一人きりになるのも悪くない) 思考を切り替えた私は、まるで自室の柔らかなベッドに身を投げるかのように、その硬く冷たい石のベッドの上に、ごろんと大の字に寝転がった。そして、ゆっくりと目を閉じ、まずは一眠りすることにした。これから始まるであろう長い戦いに備えるためにも、まずは休息が必要だ。脱獄するにしても、まずは腹ごしらえと質の良い睡眠から。それが物事を成功させるための揺るぎない基本だろう。
***
その頃、俺が安らかな眠りについている間にも、俺の愛すべき仲間たちは、それぞれの独房で、それぞれの強烈な個性をいかんなく発揮し、この絶望的な状況に抗っていた。
まず、比類なき怪力を誇る女戦士、サラ。 彼女の独房には、魔術師ではない彼女に対して魔力封じの結界は施されていない。その代わりというべきか、彼女の細腕にはおよそ不釣り合いな、極太の鉄の枷が両手両足にはめられ、それぞれが太い鎖で壁に埋め込まれた頑丈な鉄輪に繋がれていた。 「くっそー!こんな、ただの鉄の輪っか一つで、この私を止められるとでも思ってんのよ!」 彼女は、獣のような雄叫びを上げると、その有り余る腕力に全身の体重を乗せ、鉄の枷を力任せに引きちぎろうと試みていた。ミシミシ、と鉄が軋み、金属疲労を起こす嫌な音が独房中に響き渡る。彼女が力を込めるたびに、鎖が繋がれた壁の一部が、ばらばらと崩れ落ちていく。 看守たちがその凄まじい物音に気づき、慌てて駆けつけてきた。「おい、やめろ、馬鹿力女!壁が崩れるだろうが!」と、鉄格子の外から悲鳴に近い怒声を上げるが、今の彼女にはそんな声は届かない。 「待ってなさいよ、ガク!あんたを一人ぼっちには、絶対にさせないんだから!」 彼女は、囚われた仲間のため、そして何よりも、己の戦士としてのプライドのため、自由を奪う冷たい鉄との孤独で熾烈な戦いを、一心不乱に繰り広げていた。
次に、老練なドワーフの賢者、ドルセン。 彼の独房は、サラのそれとは実に対照的で、驚くほどに静かだった。彼は、分厚い壁にどっしりと背中をもたれかけ、すぴー、すぴー、と実に気持ちよさそうな寝息を立てていたのだ。その白い髭は、安らかな呼吸に合わせて穏やかに揺れている。 「ふぉっふぉっふぉ。近頃は野営続きじゃったからな。久しぶりに、硬いとはいえ屋根のある場所で、ぐっすり眠れそうじゃわい」 彼は、この絶望的としか言いようのない状況を、ただの「少々不便で寝床が硬いだけの宿屋」程度にしか認識していないようだった。数多の戦場と修羅場をくぐり抜けてきた彼ならではの、その鋼のメンタルは、ある種の畏怖と尊敬に値する。
そして、食欲こそが力の源泉である巨漢の神官、ハガン。 彼の独房からは、絶え間なく、うめき声と、何かが硬いものにぶつかる鈍い衝撃音が聞こえてきていた。 「腹が、減った。腹が、減ったぞおおおおおおおおっっ!!!!」 彼は、極度の空腹のあまり、牢獄の頑丈な鉄格子に対し、その岩のような硬度を誇る頭突きを、何度も、何度も、狂ったように繰り返していた。 ガン!ガン!ガン! 鉄格子が大きくしなり、監獄全体に重低音が響き渡る。 「おお、神よ!我が信仰の証として、我に食料という名の新たなる試練を、今すぐお与えください!」 その、あまりにも切実でありながら、しかし根本的に何かがズレている祈りの声が、薄暗い地下牢に虚しく、そして力強く響き渡っていた。
一方、セリアとアリシア、そしてフィオナとニコの女性陣は、男性用の牢獄とは少し離れた、別の区画にまとめて収容されていた。そこは、むさ苦しい男性用の牢獄よりはいくらかマシな環境ではあったが、それでも希望の光が差し込まない絶望の場所であることに変わりはなかった。
「うっ、うっ、ひっく。怖いよお、兄ちゃん…暗くて、寒くて…」 「大丈夫だ、フィオナ。俺が、俺だけは絶対にそばにいるからな」 最年少のフィオナは、この過酷な環境に耐えきれず、静かに涙を流していた。兄であるニコは、そんな震える妹の小さな体を必死に抱きしめ、自身も恐怖に駆られながら、精一杯の虚勢を張って励ましていた。
王女であるアリシアは、自らの立場と矜持から、気丈さを保とうと必死に努めていた。しかし、その顔色は青ざめ、血の気を失った唇は、抑えようもなく小刻みに震えている。 「なんてこと…。私のせいで、私の軽率な行動が、皆さんをこんな危険な目に…」 自責の念に駆られ、俯く彼女の冷たい手を、そっと温かい手が握りしめた。セリアだった。 「王女殿下。下を向いてはいけません。顔を上げてください。神は、我々に乗り越えられない試練は決して与えになりません。信じるのです。彼を」 セリアは、その澄んだ瞳で、私がいるであろう特別独房の方向を、まるで全てを見通しているかのように真っ直ぐに見つめていた。 「ガクさんなら、必ず、この絶望的な状況を打ち破ってくださいますわ。彼は、そういう方ですもの。いつだって、私たちの想像を遥かに超える奇跡を起こしてくれる」 その言葉には、一片の疑いも揺らぎもない、絶対的な信頼が込められていた。 仲間たちは、それぞれの場所で、それぞれのやり方で、このどうしようもない絶望的な状況と、必死に戦っていたのだ。私が、そんなこととは露知らず、ぐっすりと眠っている間に。
***
数時間が経過しただろうか。 俺は、深い眠りから覚め、すっきりと冴え渡った意識でゆっくりと目を開けた。 (よし。よく寝た。おかげで頭も体も軽い。だが、腹も減ったことだし、そろそろ出るとするか) 俺は石のベッドから音もなく起き上がると、独房の入り口で威圧的にそびえ立つ、あの頑丈な鉄格子へと向かった。そして、その氷のように冷たい鉄格子に、そっと右の手のひらを触れた。
そして、強くイメージした。 (この鉄という物質を構成している、無数の分子。その原子同士の結合を、極限まで緩める。そして、その固定された構造を、私の意のままに組み替える) (固体から、液体へ。そう、まるで氷が解けて水になるように、自然の摂理として) 俺が、そう念じた瞬間。 常識ではありえない奇跡が、静かに、しかし確実に起きた。
俺が触れている鉄格子が、まるで灼熱のナイフを当てられたバターのように、じゅわ、という微かな音を立てて溶け始めたのだ。一切の抵抗も、火花も、煙もなく、ただその形状を失っていく。そして、ほんの数秒後。そこにはもう、脱獄を阻んでいたはずの頑丈な鉄格子は存在しなかった。代わりに、床の上には、鉄が溶けてできた銀色の液体の水たまりが、静かに広がっているだけだった。
私は、その水たまりを何でもないようにひょいとまたいで、独房から一歩、外の世界へと踏み出した。 しーん。 薄暗い通路には、誰の気配もない。看守たちは、この監獄の絶対的な安全性を信じきって、すっかり油断しているのだろう。 私は、まるで我が家の廊下を散歩するかのように、悠々とした足取りで、その薄暗い通路を歩き始めた。そして、仲間たちが囚われているであろう、それぞれの独房の前へと向かう。
まず、サラの独房の前。 案の定、彼女はまだ諦めることなく、鉄の枷と孤独な格闘を続けていた。汗だくになり、呼吸を荒げながらも、その瞳の光は少しも失われていない。 私は、パチン、と軽く指を鳴らした。 その瞬間、彼女の手足を固く縛り付けていた極太の鉄の枷が、まるで熱せられた飴細工のように、ぐにゃりと歪み、何の抵抗もなく彼女の手首と足首からするりと抜け落ちた。 「え?」 サラは、突然訪れた解放にきょとんとして、自分の自由になった手首を信じられないといった表情で見つめている。
次に、ハガンの独房の前。 彼は、まだ空腹を訴えながら、鉄格子に頭突きを繰り返していた。その執念には、もはや感心すら覚える。 私は、再びパチンと指を鳴らした。 すると、彼が頭突きをしていた鉄格子が、今度は柔らかいグミのようにぐにゃぐにゃになり、彼は勢い余って通路に頭から派手に突っ込んだ。 「ぶべらっ!?」 情けない悲鳴と共に、床に大の字に突っ伏すハガン。
ドルセンの独房の前。 彼は、相変わらず気持ちよさそうに眠っていた。その豪胆さには敬意を表し、少し驚かせてやることにした。 私は、わざと大きな音を立てるようにイメージして、鉄格子を瞬時に消滅させた。 「ふがっ!?な、なんじゃ、今の音は!地震か!?」 ドルセンは、飛び起きると、目の前の鉄格子が消え失せていることに気づき、目を丸くした。
そして、忘れてはならないのが、あの胡散臭い元剣聖、バルガスだ。 彼の独房はドルセンのすぐ隣だったが、そこからは豪快ないびきと、時折「酒……姉ちゃん……」という、実にろくでもない寝言が聞こえていた。 「ちっ。どいつもこいつも」 俺は呆れながら、彼の牢屋の鉄格子も溶かしてやった。それでも起きない彼に、俺は足元の小石を軽く蹴り飛ばしてぶつけた。 「いてっ!? な、なんだ、もう朝か? 酒ならまだ残ってるぞ……むにゃ」 彼は寝ぼけ眼をこすりながら、のっそりと起き上がった。こいつもこいつで、肝が据わっているというか、ただのダメ人間というか。
こうして、私は次々と仲間たちを解放していった。 最後に、女性用の区画へと静かに向かい、同じようにしてセリアたちも救出した。鉄格子が音もなく消え去ると、中から驚きと安堵の表情を浮かべた彼女たちが姿を現した。
「ガクさん!」 「ガク!」 「兄貴!」 「兄ちゃん!」 解放された仲間たちが、私の周りに駆け寄り、次々に集まってくる。その顔には、驚きと、絶望からの解放による安堵と、そして何よりも、私に対する絶対的な信頼の光が宿っていた。 後ろから、あくびを噛み殺しながらバルガスも合流する。 「ふわあ。なんだ、もう出られんのか。ここの飯、一度くらい食ってみたかったんだがな」 相変わらず緊張感のない男だ。
私は、そんなかけがえのない彼らに、にっと悪戯っぽく笑いかけて言った。 「お待たせ。さあ、行こうぜ」 「え?行くって、どこへ?」 状況が飲み込めていないサラが、代表して尋ねる。 俺は、この薄暗く、じめじめした地下牢の、遥か頭上を指差した。そこには、帝城の輝かしい玉座があるはずだ。 「決まってるだろ」
俺の声は、静かだったが、その奥には燃え盛るような怒りが込められていた。 「俺たちをこんな目に合わせた、あの馬鹿な宰相に、ちょっとばかし文句を言いに行くんだよ」
俺のその静かな、しかし底知れない怒気を孕んだ声に、仲間たちはごくりと息を呑んだ。そして、次の瞬間、全員が、まるで示し合わせたかのように、にやりと実に悪い笑みを浮かべた。 我々の逆襲が、今、この瞬間から始まる。 この帝都アイゼンガルドを根底から揺るがす、とんでもない祭りの始まりだ。 宰相ヴァルハルト。あんた、覚悟しとけよ。俺たちを怒らせた代償は、あんたが思っているよりも、ずっと高くつくことになるぜ。
俺は、心の底からそう、強く思った。 この歴史に残る大脱獄劇が、後の世に「アイゼンガルドの静かなる革命」として、吟遊詩人たちによって永く歌い継がれることになるとは、この時の私はまだ知る由もなかった。 今はただ、再び共に立つことができた仲間たちとの絆、この確かな喜びを、心の底から噛み締めているだけだった。
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