小麦アレルギーで絶望してたら、隣の女王様に「ひよこ豆!」と叱咤され、米粉スイーツで人生逆転します」シーズン2

Gaku

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第一話 再びの疎外感と『至高の米粉スコーン』

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 五月。
 まるで世界中が、柔らかな祝福の光に包まれるような、そんな季節がやってきた。
 真冬の、骨を刺すような冷気も、春先の、どこか落ち着かない風も、今はもう遠い記憶の彼方だ。窓から差し込む陽光は、もはや挑戦的な熱を持つことなく、かといって弱々しくもなく、ただひたすらに、優しく、そして、あたたかい。

 私の住むアパート「メゾン・ハナミズキ」の二階、角部屋である二〇一号室。その窓辺は、私の定位置だった。かつて、座椅子に沈み込み、絶望に汚染された魂で床の木目を見つめていた場所。しかし、今の私は違う。丁寧に磨き込んだフローリングの床に、お気に入りのコットンラグを敷き、その上で、穏やかな光を浴びながら、一冊の本を読んでいた。

 風が吹くたびに、ベランダに干された真っ白なシーツが、ふわりと、帆のように膨らむ。その度に、太陽と、柔軟剤の、清潔な香りが、網戸を通り抜けて部屋の中へと流れ込んでくる。アパートの裏手にある公園の木々は、生命力に満ち溢れた若葉を、キラキラと光に透かしていた。葉と葉が擦れ合う、さわさわ、という音が、まるで、遠い潮騒のように聞こえる。平和で、ありふれていて、そして今の私にとっては、かけがえのない、愛おしい世界の音だった。

 小麦、卵、乳製品。
 かつて私の身体の九割を構成していた、それらの愛しき者たちとの、突然の、そして、絶望的な別れから、もうすぐ一年が経とうとしていた。
 隣室に住む、自らを「女王」と名乗る、謎の美女、米田クイーン陛下。彼女との出会いが、私の人生を、崖っぷちから、天上の厨房へと、劇的に、シフトさせた。
 米粉のマグカップケーキから始まり、スノーボールクッキー、パンケーキ、ガトーショコラ、そして、あの、白い魔物との死闘の果てに掴み取った、天空の城、シフォンケーキ。
 私の手は、たくさんの魔法を覚えた。小麦がなくても、世界はこんなにも甘く、優しく、そして、美味しかったのだ。絶望は、希望に変わり、私の日々は、穏やかな光の中に、あった。

 すべての始まりは、三日前のこと。
 会社の廊下を歩いている時だった。磨き込まれたリノリウムの床が、蛍光灯の光を反射して、ぬるりとした光沢を放っている。その廊下の向こうから、私を呼ぶ声がした。
「花巻さん、ちょっといいかな」
 声の主は、田中部長だった。半年前、私が犯した大きなミスを、静かに、しかし、全力で、庇ってくれた、頼れる上司。彼に、お礼の気持ちを伝えたくて、無我夢中で焼いた、人生初のガトーショコラ。その味を、彼は、「すごく、美味しかった」と、あの低い、落ち着いた声で、言ってくれた。以来、私の心は、彼のことばかり考えている、と言っても、過言ではない。
「はい、部長。なんでしょうか」
「うん。実は、来週末なんだけど、花巻さんの、課長昇進のお祝いをしたくてね。みんなで、企画したんだ」
 そう言って、彼が差し出したのは、一枚の、美しいパンフレットだった。そこには、『天空の庭園で過ごす、極上のひととき。ロイヤル・グランデ・ホテル アフタヌーンティー』という、きらびやかな文字が、踊っていた。
 写真には、銀色の、三段重ねのティースタンドが、写っている。
 下段には、きゅうりのサンドイッチと、スモークサーモンのオープンサンド。
 中段には、焼きたての、美しいスコーン。クロテッドクリームと、真っ赤なジャムが添えられている。
 そして、上段には、宝石のように、きらめく、プチガトーの数々。イチゴのショートケーキ、モンブラン、チョコレートのオペラ、そして、マカロン。
 その、すべてが、小麦粉と、バターと、生クリームと、砂糖でできた、甘く、美しい、芸術品。
 私を、かつて、絶望の淵へと叩き落した、愛しき、敵たち。
「わ、」
 声が、うまく、出なかった。
 同僚たちが、部長の後ろから、ひょっこりと顔を出す。「サプライズ、大成功!」「花巻さん、本当におめでとう!」と、口々に、祝福の言葉をかけてくれる。彼らの、その、一点の曇りもない、善意の笑顔が、私には、あまりにも、眩しかった。
「あ、ありがとう、ございます。すっごく、嬉しいです」
 私は、なんとか、そう言って、笑った。心の奥で、小さな、冷たい何かが、生まれるのを感じながら。

 そして、約束の、土曜日の午後。
 私は、ロイヤル・グランデ・ホテルの、最上階にある、スカイラウンジにいた。
 床から、天井まで、一面の、ガラス窓。そこからは、東京の街並みが、まるで、精巧なジオラマのように、一望できる。空は、どこまでも青く、白い雲が、ゆっくりと、流れていく。
 テーブルの上には、厚手の、真っ白なリネン。磨き上げられた、銀のカトラリーが、鈍い光を放っている。椅子を引く音、カップとソーサーが、触れ合う、澄んだ音、遠くで聞こえる、人々の、楽しげな、ひそひかな話し声。そのすべてが、洗練され、日常から、切り離された、特別な空間を、作り出していた。

 やがて、純白のエプロンをつけた、若いウェイターが、私達のテーブルに、あの、銀色の、ティースタンドを、運んできた。
「うわあ!」と、同僚たちが、歓声を上げる。
「すごい、綺麗!」「どれから食べようかな!」
 みんなの、目が、キラキラと、輝いている。
 私の目の前にも、優雅な、ボーンチャイナの食器が、並べられた。
 だが、その、美しい、白い皿の上は、いつまで経っても、空っぽのままだった。
 同僚が、サンドイッチを、口に運び、「ん、美味しい!」と、目を細める。
 別の同僚が、スコーンを、半分に割り、クリームと、ジャムを、たっぷりと乗せる。その、背徳的な光景に、私の喉が、ごくりと鳴った。
 上司である田中部長が、「花田さんの好きな、モンブランがありましたよ」と、上段のケーキを、指さして、優しく、微笑みかける。
「あ、はは、本当ですね。ありがとうございます」
 私は、ただ、笑って、頷くことしか、できなかった。
 目の前にある、紅茶のカップを、持ち上げる。アールグレイの、爽やかな香りが、鼻孔をくすぐる。
 でも、それだけ。
 私に、許されているのは、この、一杯の、紅茶だけ。
 私は、この、美しく、完璧で、幸福な、円の中から、たった一人、弾き出されていた。
 ここに、いても、いいのだろうか。この、みんなの、善意と、祝福に満ちた、温かい時間を、私一人が、空っぽの皿のまま、居座ることで、台無しに、してしまっているのではないか。
 疎外感。
 それは、一年前に、感じた、あの、絶望とは、また、違う、種類の、痛みだった。
 善意が、痛い。優しさが、苦しい。
 世界から、拒絶されるのではなく、世界に、溶け込めない、自分の、不完全さ。それを、まざまざと、見せつけられているようだった。
 私は、ただ、ひたすらに、笑顔の仮面を、貼り付けたまま、その、地獄のように、優雅な、二時間が、過ぎ去るのを、待っていた。

 その夜。
 私は、吸い寄せられるように、隣の二〇二号室の、重厚な扉を、叩いていた。
「お待ちしておりましたわ、ひよこ豆」
 ドアを開けた女王陛下は、夜空の闇を、そのまま、ドレスにしたかのような、深い、藍色の、ベルベットを、身にまとっていた。ティアラには、サファイアが、星のように、静かな光を、湛えている。
 彼女は、何も、聞かなかった。
 ただ、私を、いつもの、アイランドキッチンへと、導くと、温かい、ハーブティーを、一杯、差し出してくれた。カモミールの、優しい香りが、ささくれた、私の心を、少しだけ、解きほぐしていく。
 私は、ぽつり、ぽつりと、今日、あったことを、話した。
 みんなの、善意が、どれほど、嬉しかったか。
 そして、その善意が、どれほど、私を、孤独にしたか。
「そう。汝は、再び、世界の、外側に、立たされてしまった、というわけですな」
 私の、拙い話を、黙って聞いていた女王陛下は、やがて、静かに、そう言った。
「ならば、ひよこ豆。答えは、一つしか、ありませんわ」
 彼女は、窓の外の、星空を、見上げながら、きっぱりと、宣言した。
「汝が、創るのです。汝自身の、手で。誰に、遠慮することもない、汝のためだけの、至高の、アフタヌーンティーを。世界の、中心に、汝の、王国を、築き上げるのです!」
「私の、王国」
「さよう。そして、その、第一歩。王国の、礎となる、最初の、石。それは、『スコーン』ですわ」
 彼女は、くるりと、こちらを振り向いた。その目に、いつもの、力強い光が、戻っている。
「スコーンとは、素朴。しかし、それ故に、奥深い。粉の味、バターの香り、焼き加減。その、すべてが、作り手の、魂を、映し出す、鏡。ごまかしの効かぬ、真剣勝負。さあ、ひよこ豆。再び、その手に、魔法を、取り戻すのです。汝が、汝であることの、誇りを、そのスコーンに、焼き付けなさい!」

 翌日の、午後。
 私は、再び、女王陛下の、キッチンに、立っていた。
 昨日までの、心の、澱は、まだ、完全には、消えていない。だが、目の前に、整然と、並べられた、製菓道具と、材料を見ていると、不思議と、背筋が、伸びるのを感じた。
 大理石のカウンターの上には、ステンレスのボウル、カード、麺棒、そして、丸い、菊型の、抜き型が、置かれている。
「いいこと? スコーンの、命は、バターの、温度にあります」
 女王陛下は、まるで、外科医が、メスを、手にするように、銀紙に包まれた、バターの塊を、手に取った。
「バターは、使う、その、直前まで、冷蔵庫で、石のように、冷やしておくこと。そして、汝の、その、手の、熱で、決して、溶かしてはなりませぬ。冷たいバターの、小さな、粒が、粉の、層の間に、残っていること。それが、オーブンの、熱で、溶け、蒸気となって、生地を、持ち上げ、あの、サクッとした、食感を、生み出すのです。人の、手の温もりは、時として、芸術の、邪魔をしますのよ」
 彼女は、バターを、一センチ角に、切り分けると、再び、冷蔵庫へと、戻してしまった。
 ボウルには、米粉、ベーキングパウダー、砂糖、そして、ひとつまみの、塩が、計量されている。
 そこに、冷たい、角切りのバターを、投入する。
「ここからは、スピードが、勝負。フードプロセッサーという、文明の利器を、使うのが、もっとも、賢明な、選択ですわ」
 女王陛下が、どこからともなく、取り出した、深紅の、フードプロセッサーに、粉類と、バターを、移し入れる。
 スイッチを入れると、ガッ、ガッ、ガッ、と、短い、断続的な音を立てて、刃が、回転し始めた。
「パルス運転で、五、六回。決して、回しすぎてはなりませぬ。バターが、溶け、練り込まれてしまえば、すべては、水の泡。目指すは、粉と、バターが、一体化した、湿った、砂のような、状態です」
 数秒後。蓋を開けると、ボウルの中は、黄色い、バターの粒が、均一に混ざった、サラサラの、粉チーズのような、状態になっていた。
 これを、ボウルに戻し、中央に、くぼみを作る。そこに、卵と、牛乳を、合わせたものを、一気に、注ぎ入れた。
「さあ、ここからが、汝の、腕の、見せ所。カードを、使いなさい。決して、手で、こねては、なりませぬ。カードで、生地を、切るように、混ぜ合わせ、液体と、粉を、馴染ませていくのです」
 私は、言われるままに、カードを手に取り、ボウルの、外側から、中央に向かって、生地を、切り、重ね、を、繰り返した。最初は、ぽろぽろ、と、まとまりのなかった生地が、だんだんと、水分を吸い、そぼろ状に、なってきた。
「ある程度、まとまってきたら、台の上に、取り出しなさい」
 打ち粉をした、カウンターの上に、生地を、取り出す。
「そして、ここからが、重要な、儀式。生地を、半分に切り、重ねる。そして、手のひらで、軽く、押し、伸ばす。これを、五回、繰り返すのです。この、折り重ねるという、行為が、生地に、美しい、層を、生み出し、焼き上がった時に、腹の部分が、ぱっくりと、割れる、『狼の口』を、作るのですわ」
 私は、言われるままに、生地を、重ね、押さえ、を、繰り返した。だんだんと、生地の、表面が、滑らかになっていくのが分かる。
 最後に、厚さ二センチほどの、円形に、まとめ、ラップをして、冷蔵庫で、三十分、休ませる。
「この、瞑想の時間が、生地を、落ち着かせ、グルテンのない、米粉の生地の、結びつきを、安定させるのです」

 生地を、休ませている間に、二つ目の、生地の、準備を始めた。アールグレイの、スコーンだ。
 工程は、全く、同じ。ただ、粉類に、紅茶の、茶葉を、細かくしたものを、加えるだけ。ボウルに、茶葉を、入れた瞬間、ベルガモットの、華やかで、高貴な香りが、ふわり、と、キッチンに、広がった。

 三十分後。
 冷蔵庫から、取り出した、プレーンの生地は、ひんやりと、冷たく、少し、硬くなっていた。
 打ち粉をした台の上で、麺棒で、優しく、二・五センチの厚さに、伸ばす。
「型を、抜く時にも、極意があります。抜き型に、しっかりと、打ち粉をすること。そして、抜く時は、決して、型を、ねじってはなりませぬ。上から、まっすぐ、垂直に、力を、加えるのです。ねじってしまえば、生地の、繊細な、層が、潰れ、スコーンは、空へと、飛翔する、力を、失ってしまう」
 私は、息を止め、菊型の、抜き型を、生地に、押し当てた。
 ずぶ、という、鈍い感触。
 そっと、持ち上げると、美しい、菊の花の形をした、生地が、そこに、あった。
 天板の上に、並べていく。表面に、つや出しのための、牛乳を、刷毛で、そっと、塗る。
 二百度に、予熱した、オーブンへ。
 焼き時間は、十五分。

 オーブンの、ガラス窓の向こうで、私の、スコーンたちが、静かに、焼かれていく。
 五分が、過ぎた頃、生地が、むくむくと、上に、伸び始めた。
 十分後。側面に、亀裂が、入り始めた。あれが、「狼の口」だ。そして、表面に、うっすらと、焼き色がつき始める。キッチンには、バターと、小麦粉が焼ける、あの、懐かしい匂いとは、少し違う、もっと、素朴で、優しい、米粉の、甘い香りが、満ち満ちていく。
 チーン!
 軽やかな、電子音が、焼き上がりを告げた。
 オーブンの扉を開けると、ぶわっ、と、熱風と共に、凝縮された、幸福な香りが、私に、襲いかかった。
 天板の上には、完璧に、焼きあがった、スコーンが、並んでいた。
 表面は、こんがりとした、美しい、きつね色。そして、その側面は、見事に、ぱっくりと、口を開けて、中の、白い、層を、見せつけている。
 成功だ。
 私は、その、あまりに、美しい、光景に、ただ、立ち尽くしていた。

 粗熱が、取れた、スコーンを、ワイヤーラックに、並べる。
 女王陛下は、いつの間にか、小さな、ガラスの器を、二つ、用意していた。一つには、彼女お手製の、真っ赤な、苺ジャム。もう一つには、生クリームと、クリームチーズを、混ぜて作ったという、即席の、クロテッドクリームが、こんもりと、盛られていた。
「さあ、お食べなさい、ひよこ豆」
 彼女は、アールグレイの、スコーンを、一つ、私に、差し出した。
「汝が、汝自身の、手で、創り上げた、王国の、最初の、一片です」
 私は、まだ、温かい、スコーンを、受け取った。
 ずっしり、と、心地よい、重み。
 それを、手で、そっと、二つに、割る。
 サクッ、という、軽い音と共に、湯気が、ふわり、と、立ち上った。湯気と共に、アールグレイの、華やかな香りが、鼻孔を、くすぐる。
 断面は、外側の、サクサクとした、層と、内側の、しっとりと、きめ細かな、生地が、美しい、コントラストを、描いていた。
 私は、まず、そのまま、一口、食べた。

 サクッ。
 小気味よい、歯ごたえ。その、直後、中の、生地が、ほろり、と、口の中で、ほどけていく。そして、驚くほど、しっとり、ふんわり、としている。小麦粉のスコーンにあるような、口の中の、水分を、すべて、持っていかれるような、感覚が、全くない。
 米粉の、優しい甘みと、バターの、豊かな香り。そして、アールグレイの、高貴な香りが、鼻へと、抜けていく。
 美味しい。
 次に、クロテッドクリームと、ジャムを、たっぷりと、乗せて。
 クリームの、なめらかな、コクと、ジャムの、甘酸っぱさ。それが、温かい、スコーンの生地と、一体となって、口の中で、とろけていく。
 ああ、これだ。
 これこそが、私が、求めていたものだ。
 高級ホテルの、洗練された、完璧な、スコーンじゃない。
 不格好でも、いびつでも、私が、私の手で、創り上げた、温かくて、優しくて、そして、力強い、味。
 昨日、感じていた、あの、冷たい、疎外感は、この、スコーンの、温かさで、跡形もなく、溶けて消えていくのを感じた。
 空っぽの皿を、前に、ただ、微笑むしか、できなかった、私じゃない。
 私は、創れる。
 自分の、手で、自分の、幸福を、この、キッチンから、創り出すことが、できるんだ。
 その、確かな、実感が、じわり、と、胸の奥から、込み上げてきて、私の、目の、奥が、ツン、と、熱くなった。

 ---

 ### **女王陛下直伝『王国の礎となる米粉のスコーン』**

 **【材料】(直径5cmの丸型 約8個分)**

 * **米粉(製菓用)**: 200g
 * **ベーキングパウダー**: 大さじ1 (約12g)
 * **砂糖(きび砂糖など)**: 30g
 * **塩**: ひとつまみ
 * **無塩バター(有塩なら塩は不要)**: 50g(1cm角に切り、よく冷やしておく)
 * **卵**: 1個
 * **牛乳(または豆乳)**: 50g
 * **つや出し用の牛乳**: 適量

 **【アールグレイスコーンにする場合】**
 * 上記の材料に加えて、**アールグレイのティーバッグ** 2個分 (約4g) の茶葉

 **【作り方】**

 1.  **準備**:バターは1cm角に切り、使う直前まで冷蔵庫で冷やしておく。オーブンは200℃に予熱する。
 2.  **粉類とバターを合わせる**:フードプロセッサーに、米粉、ベーキングパウダー、砂糖、塩を入れ、軽く混ぜる。(アールグレイ味にする場合は、ここで茶葉も加える)冷たいバターを加え、ガッガッガッと、バターが砂状になるまで、数回、パルス運転で攪拌する。
     * (フードプロセッサーがない場合):ボウルに粉類を入れ、冷たいバターを加えて、指先ですり合わせるように、または、カードで刻むようにして、全体が、サラサラの粉チーズ状になるまで、手早く、混ぜる。
 3.  **液体を加えて混ぜる**:ボウルに2を移し、溶き卵と牛乳を合わせたものを、一気に加える。カードやゴムベラで、切るように、さっくりと混ぜ合わせ、全体を、ひとまとまりにする。(※決して、練らないこと。それが、サクサクの秘訣ですわ!)
 4.  **生地を重ねて層を作る**:打ち粉(米粉、分量外)をした台の上に生地を取り出し、手で軽く押さえて、厚さを整える。カードで半分に切り、片方をもう片方の上に重ねる。これを、4~5回繰り返す。
 5.  **生地を休ませる**:生地を、厚さ2~2.5cmの円形に整え、ラップで包み、冷蔵庫で最低30分、休ませる。(この瞑想が、生地に、落ち着きと、強さを与えます)
 6.  **型抜きと焼成**:休ませた生地を、打ち粉をした抜き型で、まっすぐ、抜いていく。天板に並べ、表面に、刷毛で、牛乳を塗る。
 7.  200℃に予熱したオーブンで、15分ほど、表面に、こんがりと、美しい焼き色がつくまで焼いて、完成。

 **【女王陛下からのワンポイント・アドバイス】**
 * 「汝が、もし、更なる、高みを求めるなら、生地に、チョコチップや、オレンジピール、細かく刻んだ、クルミなどを、混ぜ込むとよいでしょう。それは、もはや、スコーンではない。汝だけの、物語を、語り始める、小さな、宝石ですわ。クロテッドクリームがなければ、水切りヨーグルトに、少しの、ハチミツを混ぜたものでも、十分に、その代役を、務めてくれますわよ」
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