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戦国時代編

一章 EX ① 花純編 12話 時の修正力

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クロノスに大人しく家で待つよう言われたツヨシは
家でクロノスを待っていたが、そこである違和感に気がつく

花純達の食器が無くなっている
君香の部屋が書斎になっている
花純の洋服も無くなっている
写真もホームビデオも携帯電話からも花純達は元々、存在しなかったかのように
必死に探し廻るが何も見つからない

家の中を全てひっくり返しても何も出てこない事に憔悴する
「どういう事だよ……」

ピンポーン

「クロノスか?!」

ツヨシは慌てて玄関に向かいドアを開ける

「ツヨシ君……突然会社を休むって何かあったの?」

「…………美羽…か…」

ドアを開けた瞬間に気が遠くなるなるような感覚に襲われた、

前の歴史で親友だった花純を裏切り、俺を騙した【須田 美羽】だった

ドアの前に立つ美羽を見て俺の中の意識に記憶が蘇る

まるでタイムトラベルした時のように

開いた玄関から家の中の荒れた状態を見て驚く

「ツヨシ君…何これ…一体何があったの?」

心配そうに俺を見つめてくる美羽
頭の中のもう一つの記憶では…花純は存在して無くて……
美羽ともう直ぐ結婚する事になっていた……

花純が世界から否定されている

記憶が塗り替えられてくみたいで、
俺は何も分からなくなった…………
世界が…暗闇に…包まれて………
…………
……




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
……ツ……!
……ツヨ…君!

ツヨシ君!

「………え?」

「ツヨシ君!目が覚めたの!良かった!本当に良かった……」

「ここわ?……何で泣いてるんだ?【美羽】?」
目が覚めたら婚約者の美羽が泣いていた

「私が家に行ったら突然倒れたのよ、覚えてないの?ここは病院だよ、私が救急車を呼んだの」

「倒れた?俺が?何で?」

「お医者さまも原因不明だって…何処も異常は見当たらないって…過労じゃないかって言ってた」

「そうか……最近忙しかったからなぁ」

「会社は大丈夫だから、皆んな頑張ってくれてる、暫く休んでも平気、結婚式も延期にしましょ」

そういう訳にもいかないと訴えたが、次の日会社から部下たちがやって来て説得され、
俺は1週間ほど療養する事になった

翌日、検査の結果は問題無いという事で退院した

タクシーの中で美羽が
「ツヨシ君の家はまだ片付け終わってないから、私の家に来て」

「片付ける?何の事だ?」

「それも覚えて無いのね…強盗でも入ったみたいにあちこちひっくり返されてたのよ」

「強盗に入られたのか?」

「警察にも来て貰ったけど、外部からの侵入は無いって……」

ズキンと頭に鈍痛が走る

「っぐっう”ぅ」

「だっ大丈夫だから!ごめんね変な事言って!今は考えるのやめよう?ゆっくり休みましょう、ね?」

「あっああぁ…悪いな」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
美羽の家

美羽の寝室に案内され、ベットに横になると
お粥でも作るから休んでてと言われ、
頭に響く鈍痛が辛く俺は休ませてもらい、少しずつ
頭の痛みが引いていくとお粥を用意した美羽が寝室に戻ってきた

ふぅ~ふぅ~
「はい、熱いから気をつけてね♡」

お粥を食べさせようレンゲを持つ美羽が可愛らしく熱を冷まして
口元に運んでくれて

「なんか恥ずかしいな………っあちぃ!」

「あっそういえば猫舌だったね…ごめん」

肩を落としてしょんぼりする美羽

「覚めたら食べるから気にしなくていいよ、お粥ありがとうな」

俺の言葉を聞いて何故かお粥を自分で食べ始める美羽
「……むぐむぐ……んん~」

顔を赤くして俺に近づいてくる
もしかして……口移しで食えってのか?
美羽の口が繋がるとお粥を溢さない様に舌の上に載せられたお粥が少しずつ送り込まれ、
それでも少し溢れ、美羽が口廻りを舐め取り改めて運んでくれた

全部食べきる頃にはお粥のサラダは冷めていたが、美羽の体温と同じ温度のお粥は暖かった

「…どう?美味しかった?」

「おっ美味しかった」

俺の知ってる美羽は負けん気が強くて、風邪で寝込んでも栄養ドリンクの一本も持ってこない奴だったのに、目の前に居る美羽はお粥一つで不安そうに俺を見つめてベットに介抱してくれて

「良かったあ、じゃあ今日はもうゆっくり休んでて♡」

溢れそうな笑顔でこんな事を言ってくれる

「美羽…俺、お前が結婚してくれるって言ってくれて本当に良かったよ」

改めて自分の感謝の気持ちを伝えると、驚いた顔をして確認してくる美羽
「……本当?ホントにそう思ってるの?」

「本当だよ、他には考えられないだろ」

「……嬉しい、そう言ってくれるなんて…私こそ絶対に二度離さないから」

そう言って俺を抱きしめてくれて、俺たちは一つのベットで横になっていった



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
時の狭間

暗闇の空間の中で幾つもの光がクロノスの廻りを駆け抜け、過ぎ去っていく
「おかしい……見つからない……絶対に何処かに居るはずなのに……もっと遠い時代に?……」

クロノスは瞳を閉じて更に集中を高める、
廻りを過ぎ去る光の線がやがて束になり、暗い空間が光に包まれていく

「……見つけた、花純さんはここにいる…………」

目を開いたクロノスの廻りに暗闇は無く
視線の先に有るのは日本がまだ幾つもの国に分かれて、年号さえも無く、
歴史も定まらない時の中、
クロノスがたどり着いたのは、弥生時代だった





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
今回の時代背景
弥生時代-248年
日本は幾つもの国に分かれそれまでの豪族達は自らを大王と名乗っていた

30もの国が集合体となり「倭」という国が出来、
その中で最も強い力を持った国の名は邪馬台国という

邪馬台国には妖術を持ち、卜占を使える卑弥呼という女性を
女王として奉り、その指示により倭国大乱を収める事に成功した

そして倭国の中で邪馬台国に
敵対する狗奴国の王の名は彦御子(ヒコミコ)

この戦いの前後に卑弥呼は歴史から姿を消した



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
倭国大乱(花純(卑弥呼)現る)
80年も続いたとされる大乱の中、国と国が入り乱れる争いの中
倭国の中で伊都国という小さな国が滅ぼされようとした

3千人程の兵士が要塞と化した小高い丘を取り囲み、
弓隊が前に出て、弓を構え、要塞の中では絶望の空気が充満していた

伊都国を取り囲むのは邪馬台国、倭国の大王率いる大乱の申し子だった
税の貢ぎが悪い伊都国から全てを奪う為にやって来ていた

馬に乗る大王が手を攻撃開始の合図の為に手を上げると

「弓構えろおおお!!」

隣の馬鹿でかい男が怒声を上げ、前に並ぶ兵士達が一斉に弓を絞る

大王は手を……振り下ろす事が出来なかった

その場に居た全ての人間が天空を見つめて凍りついた

要塞の上空、雲ひとつない晴天に黒い巨大な渦が雷と共に現れ、
雷の一つが馬にのる大王に堕ち、続けて取り囲む兵士達に堕ちていく

伊都国の要塞周辺は瞬く間に地獄と化した、
黒い渦は邪馬台国の大王を包むように高度を下げ、やがて消えていく
渦の中から現れたのは1人の若い女性だった

雷から難を逃れた兵士は女性に平伏すると、その者には雷が落ちなかった

それに倣う兵士たちが次々と平伏していく、

そして馬鹿でかい声を上げたデカイ男が剣を振り上げると真っ先に雷に焼かれて倒れ
雷が止む頃に邪馬台国の兵士で戦う者は居なくなっていた

兵士たちとそれを見ていた伊都国の民たちは彼女の事をこう呼んだ、
火の巫女と、それが後の「卑弥呼」の誕生だった

歴史に突然現れた女性の本当の名は花純という

何故こうなったのか、本人にも当然解らない、気がつくと雷が轟き、振動が伝わる程の側に落ちていた、周りに人が居たので必死に叫んだ

「死にたく無かったら伏せなさい!伏せるの!!」

そうして一番近くに居た兵士が、大王と入れ替わりの女の命令に従い、
雷降り注ぐ中で立ち上がり続ける兵士が死んで行き、花純の叫びに応えた者達だけが生き残って行った

ヒのミコだ!ヒノミコが我々を救ってくれたんだ!!

うおぉぉぉお!!!

要塞から飛び出した伊都国の兵士達が、今度は邪馬台国の兵士を襲い始める

丘の上で突撃の号令を上げ、剣を掲げると、

最後の稲妻が貫いた

何が起こったのか分からない伊都国の兵士も邪馬台国の兵士も静まり返る

「全員伏せるのおおお!!まだ立っちゃだめ!!!」

花純の声が響き渡り、邪馬台国の兵士も伊都国の全ての民が、それに従った、それは花純の民となった瞬間だった……本人も知らない内にだが

///////////////
何てこと……花純さんが卑弥呼本人?
そんなのありえない…けど、あれは入れ替わりじゃない
これじゃ直ぐに連れ帰るのは無理……
本物は一体何処に行ったの?……
///////////////



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「どうしてこうなったのかしら……」

ヒミコと呼ばれた花純は女王に奉り上げられ
邪馬台国を治める事になった、
最初はここが日本だとさえ分からなかったが、
邪馬台国という名前や、伊都国という名前に覚えがあり、
そこの女王としてヒミコと呼ばれては流石に自分が卑弥呼だと分かる

花純は占いなど出来ないし神のお告げも聞こえない

だが、花純に味方が1人だけ現れる

雷を操り神格視された女王卑弥呼は誰にも侵される事の無いように硬い防御の居室に住まわされていた

誰も居ない筈の花純の目の前に1人の女性が現れる
普通の女子高生…この時代で無ければ問題はないが、
今居るのは弥生時代だ、花純は警戒する

「貴女…誰?」
「私は……時の管理人……みたいな者よ」

クロノスは花純に説明する
本物を見つけるまで卑弥呼として生きていく必要がある事
見つからない場合は248年までは帰れない事
それまでは神事をついてクロノスが手助けする事

「248年…今は…今は何年なの?」

「228年よ……」

「後……20年??そんなの無理よ!!」

「大きな声を出さないで、本物を見つけさえすれば良いの、貴女の事は1日で見つけたのよ?私を信じて」

「…………本当ね?本当に信じていいのね?」

「他の王や民にはこう伝えるの…神事は月に1度、月が満ちる夜に執り行う、神託はその次の日の正午に発表すると、私は本物の卑弥呼を探しに行かなきゃならないわ、だから満月の夜にだけここに来て貴女に歴史通りの神託を伝えに来るから、それで花純さんの安全は守られるから」

「……分かったわ…」

花純はクロノスに助力により、歴史を真っ当すべく動き始める事にした
他に頼れる人が居ない中でいつかツヨシや君香の所に帰る事だけを願いながら



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それから数年後、
大乱を収めた邪馬台国に倭国の王達が集まり、
それぞれの国での実りを話し合っていた
当時、欲しい者は奪うという考え方が一般的だったが、花純はそれを完全に禁止した、
一度中央に集めて、足りない所には分配する、
実りが悪い土地もある、実りの悪い時期もある、
それを補い合う方法を実行する事になった、

中央集権の基礎が生まれ始めたのはこの頃だ

この制度に反発したのは狗奴国の大王だ、勢力の規模は邪馬台国にも劣らない
何より、人から奪うのが至高だと考えていた
狗奴国は邪馬台国もまるで歳を取らない卑弥呼も狙っていた

「卑弥呼よ!我が国の物になれ!可愛がってやるぞ?」

「秀御子王、何度も言いましたがそのつもりはありません」
(なんてしつこい人だろう……でもこの人何処かで見覚えがあるような…)

「そうか…ならば、実力で貰いに来るとしよう、首を洗って待っているがいい!」

「……争いを望むのなら…受けてたちましょう」

おおよそ花純の口から出る言葉とは思えないが、これもクロノスの指示だった
邪馬台国と狗奴国との争いは段々と激化していく事になる

その間もクロノスは1人で本物の卑弥呼を探し続けていた



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ツヨシのタイムトラベルに因果があると考えたクロノスは
濃姫、市姫、築山御前、ねね、何度も繰り返し探しに行くが見当たらない

「一体何処に居るのよ……何かを見落としてる?」

時の狭間でふとツヨシの事を思い出して、様子を見ると…ツヨシは家には居なかった

「家で待ってろって言ったのに!何処行ったのよ!馬鹿!!」

クロノスは現代のツヨシの足跡を時の狭間から追いかけ始めた



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
美羽の家

「ツヨシ君……私だって貴方を離さないわ」

病院から退院した日、ツヨシは美羽の家に連れて行かれた
時の修正力と強いショックが影響し、記憶を上書きされたツヨシは美羽を本当の婚約者と思って疑わない

自分を抱きしめる美羽の柔らかい胸が当たり思わず美羽の胸に手を充てると止められた

美羽が身体を離してベットの背もたれにツヨシを移動させる

「今日は私がして上げるから……私に任せて…」

美羽から甘い香りが漂い、背もたれによりかかるツヨシに近づき、
再び口付けが始まる、

ツヨシの手が美羽の黒い髪色の頭を撫ですいていくと
美羽はツヨシのベルトを外してジッパーを下ろし下着の上からツヨシの息子をあやし始めてきた

「ん……ちゅ…私を…離さないで…ちゅ…ふっ…んん……硬くなってきた♡」

下着越しに先っぽを弄られて喜ぶ息子に興奮した目つきで嬉しそうに見つめて顔を落としていくとそのまま咥えられ美羽の唾液を存分に吸った下着が亀の頭に張り付いて形が露わになっていく

「今日は大変だったのに…こっちはいつもより元気みたいね♡」

下から責めるように見上げる美羽に
「みっみわ…ちょっ直接頼むよ」

「ふふふ♡我慢できないの?♡」

両手で竿を握り裏スジとエラの境目を弄び鈴口がある部分を細い舌で布越しに攻められ

「無理だろ……エロすぎるよそんなの、襲っちまうぞ?」

「ごめんごめん♡今日は私に任せてよ♡」

下着とパンツを下ろし生で息子を見つめる美羽の喉がゴクリと鳴り
唇を舐める赤い舌と表情が見た事ない程、牝の顔を出していた

「あつい…火傷しちゃうかも……ごめん……もう、我慢出来なくなっちゃったよ♡」

美羽が俺に跨るように腰を上げる、言葉通りに内ももまでぐっしょりだ

「凄いな…これ見てからじゃないよな?」

「うん♡久々だったから…もう挿れちゃうね♡」

……久々?ツヨシの頭の中では……

「美羽、久々ってどういう事だ?一昨日したばかりだろ?」

「……今はそんな事考えなくて良いの♡当たってるでしょう……ここに挿れくないの?」

美羽が俺の息子を握り、貝口に僅かに触れる

くちゅ

「あっあっ♡入っちゃう♡ツヨシ君…入っちゃうよ♡」

貝口が開き、美羽の女陰に息子の先っぽがニチッとめり込み始める


「クロノスちゃんキーーーーーーーーック!!!!」

「ンゴおぉ!」

空飛ぶ女子高生がプロレスラー顔負けのドロップキックを浴びせてぶっ飛んだのは

…………俺だった

「ツヨシさん!家で待ってろって言ったでしょうが!!なに花純さん放って浮気してんの!!!馬鹿じゃないの!!!!」
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