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師弟編
第38話 机の占領はよくないです。
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宿の中に入ると夕刻の為か食事処の人が込み入っていた。
しかしながらある1つのテーブルには客が1人しか座っていない。
予約席なのだろうか。
・・・よく見てみるとその客はティアドラだった。
もはや客ですらない。
俺はため息をつきながら彼女に近づく。
すると俺達に気づいたようだ。
「おぉ、ようやく帰りおったか。初めての依頼はどうだったかの。・・・まぁ座って何か食べるがいい。」
彼女は優雅に何か飲み物を飲んでいた。
周りの人からの視線が痛い。
「あの・・・なんでここに1人でいるの?」
「あぁ、トキハが気を利かせて取ってくれたのじゃ。いやーおかげでこの時間でものんびり食事がとれるの。」
そう言ってぐいと飲み干す。
俺はチラリとトキハの方を見やる。
彼は多数のファンに囲まれながらこちらを恨めしそうに睨みつけている。
恐らく・・・いや、確実に無理やりさせたのだろう。
俺はがっくりと肩を落とす。
「それで・・・『アトラス』には会えたのか?」
ティアドラはニヤリと笑う。
「うむ、ワシの名前を出せば一発よ!問題なく会えたわ。」
タリアさんの反応からしてそのアトラスという人はそれなりに地位の高い人だったのだろう。
何故そんな人を知っているのか。
そしてそんな人に何の用事があったのだろうか。
「そのアトラスって人にどんな用事があったんだ?」
「奴はその役職故に色々と情報通な訳じゃ。ちょいと聞きたいことがあったのでの。お主を冒険者登録するついでに会いに行ったわけじゃ。」
俺は家でティアドラが言っていたことを思い出す。
彼女はたしかここに来た時に調べたいことがあると言っていた。
おそらくそのことと関係があるのだろう。
「その人の役職って・・・。」
俺の陰に隠れていたナキがヒョコッと顔を出す。
「冒険者ギルド、の・・・『ギルドマスター』・・・ですね。」
ナキはアトラスのことを知っていたようだ。
どうやらギルドマスター・・・冒険者ギルドで最も地位の高い人らしい。
ティアドラは頷くとナキの顔をじっと見る。
「うむ。・・・うむ?お主は誰じゃ?」
ティアドラはナキのことを知らないようだった。
ナキは俺の横に立つと小さくペコリとお辞儀する。
「はい、私は・・・トキハ・シノノメの娘の・・・ナキ・シノノメと申します。」
やはり俺と同じで初対面の人とはなかなか話せないようだ。
親近感がわきますね。
ティアドラは合点がいったように頷く。
「おぉ、お主がナキか!トキハに似ず可憐な娘じゃな!・・・ミズホによく似ておる・・・。」
ティアドラがナキの頬を優しく撫でる。
ミズホという名・・・おそらくナキの母親のことなのだろう。
ナキは嬉しそうな・・・それで悲しそうな表情を浮かべる。
「母のことも・・・ご存じ、なのですね。」
ティアドラは神妙な顔で頷く。
俺は深く聞くことは出来なかったが・・・雰囲気からしてナキの母親は亡くなっているのだろうと察した。
「うむ。お主らのことは良く知っておるからの。・・・そういえばうちの弟子とは仲良くなったようじゃな。」
話の内容を変えるようにティアドラは俺の方を見る。
「えぇ。シリウス様にはいろいろと薬草について教えていただくことが出来ました。それに・・・先ほどは暴漢から私を守って・・・。」
そう言って頬を赤らめるナキ。
多分彼女が余計なことを言わなかったら襲われるようなこともなかったんじゃないかな。
そう思いはしたがここでは黙っておく。
「あ、そうだ。トキハさんとナキには俺のこと大体説明したけど・・・よかったかな?」
「問題ないじゃろう。ワシも事前にトキハには伝えておったからの・・・間に合ってよかったよ。・・・血走った目で縄で縛られたナシュを引きずっておったのを見たときは何事かと思ったぞ。」
「本当に助かったよ・・・もしティアドラが説得してくれてなかったら・・・。」
俺はその恐怖で身震いする。
ティアドラが伝えてなかったら俺は・・・死んでたかもしれない。
「フフフ。・・・助かってよかったの。それにしても・・・まさかあのトキハがあれ程の子煩悩になるとは思わなんだよ。」
そのような話をしているとナキもティアドラに慣れてきたようだ。
最初のころの様に吃ることはなくなっていた。
「さぁ!折角じゃからナキも何か注文するといい!ここはワシの奢りじゃから好きなものを頼むとよいぞ!」
機嫌のよくなったティアドラがさも自身が金を出すかのようにふるまうのだが・・・おそらく無銭飲食だ。
ナキの顔はそれを知っているのか若干ひきつっていた。
・・・ちなみに気づけばナシュが普通に働いていた。彼女は意外とタフなようです。
次の日。
俺はティアドラに勧められてこの日も冒険者として依頼を受けることになった。
俺としても楽しかったし、お金も稼げるしで特に異論はなかった。
・・・だが。
「なんで今日もナキが付いてくるの?」
宿から出ようとする俺の後をナキが付いてきていた。
「え・・・今日もお供させていただこうかなと思っていたのですが・・・。」
何故か彼女は意外そうな顔をしている。
「・・・トキハさんの許可は?」
俺が尋ねるとナキはとある方向を指さす。
その方向には・・・腕を組んでこちらを睨みつけているトキハさんの姿があった。
「・・・あの・・・トキハさん?」
「・・・ナキにケガさせたらただじゃおかないからな。」
何があったのだろうか。
ふとナキを見るとにっこりとほほ笑んでいた。
「あのように父も快く了承してくれましたので。」
・・・なんだろう。
この子・・・怖い。
俺はそう思いながら彼女と共に冒険者ギルドへと向かうのだった。
この日、俺達は5個の依頼を達成することに成功する。
そのほとんどがギルド職員から頼まれた・・・期限の近い依頼だった。
俺達が達成して帰ってくると職員からまるで神の様に崇められた。
こうして冒険者としての2日目が終了する。
明日は・・・勇者のお披露目がある日だ。
しかしながらある1つのテーブルには客が1人しか座っていない。
予約席なのだろうか。
・・・よく見てみるとその客はティアドラだった。
もはや客ですらない。
俺はため息をつきながら彼女に近づく。
すると俺達に気づいたようだ。
「おぉ、ようやく帰りおったか。初めての依頼はどうだったかの。・・・まぁ座って何か食べるがいい。」
彼女は優雅に何か飲み物を飲んでいた。
周りの人からの視線が痛い。
「あの・・・なんでここに1人でいるの?」
「あぁ、トキハが気を利かせて取ってくれたのじゃ。いやーおかげでこの時間でものんびり食事がとれるの。」
そう言ってぐいと飲み干す。
俺はチラリとトキハの方を見やる。
彼は多数のファンに囲まれながらこちらを恨めしそうに睨みつけている。
恐らく・・・いや、確実に無理やりさせたのだろう。
俺はがっくりと肩を落とす。
「それで・・・『アトラス』には会えたのか?」
ティアドラはニヤリと笑う。
「うむ、ワシの名前を出せば一発よ!問題なく会えたわ。」
タリアさんの反応からしてそのアトラスという人はそれなりに地位の高い人だったのだろう。
何故そんな人を知っているのか。
そしてそんな人に何の用事があったのだろうか。
「そのアトラスって人にどんな用事があったんだ?」
「奴はその役職故に色々と情報通な訳じゃ。ちょいと聞きたいことがあったのでの。お主を冒険者登録するついでに会いに行ったわけじゃ。」
俺は家でティアドラが言っていたことを思い出す。
彼女はたしかここに来た時に調べたいことがあると言っていた。
おそらくそのことと関係があるのだろう。
「その人の役職って・・・。」
俺の陰に隠れていたナキがヒョコッと顔を出す。
「冒険者ギルド、の・・・『ギルドマスター』・・・ですね。」
ナキはアトラスのことを知っていたようだ。
どうやらギルドマスター・・・冒険者ギルドで最も地位の高い人らしい。
ティアドラは頷くとナキの顔をじっと見る。
「うむ。・・・うむ?お主は誰じゃ?」
ティアドラはナキのことを知らないようだった。
ナキは俺の横に立つと小さくペコリとお辞儀する。
「はい、私は・・・トキハ・シノノメの娘の・・・ナキ・シノノメと申します。」
やはり俺と同じで初対面の人とはなかなか話せないようだ。
親近感がわきますね。
ティアドラは合点がいったように頷く。
「おぉ、お主がナキか!トキハに似ず可憐な娘じゃな!・・・ミズホによく似ておる・・・。」
ティアドラがナキの頬を優しく撫でる。
ミズホという名・・・おそらくナキの母親のことなのだろう。
ナキは嬉しそうな・・・それで悲しそうな表情を浮かべる。
「母のことも・・・ご存じ、なのですね。」
ティアドラは神妙な顔で頷く。
俺は深く聞くことは出来なかったが・・・雰囲気からしてナキの母親は亡くなっているのだろうと察した。
「うむ。お主らのことは良く知っておるからの。・・・そういえばうちの弟子とは仲良くなったようじゃな。」
話の内容を変えるようにティアドラは俺の方を見る。
「えぇ。シリウス様にはいろいろと薬草について教えていただくことが出来ました。それに・・・先ほどは暴漢から私を守って・・・。」
そう言って頬を赤らめるナキ。
多分彼女が余計なことを言わなかったら襲われるようなこともなかったんじゃないかな。
そう思いはしたがここでは黙っておく。
「あ、そうだ。トキハさんとナキには俺のこと大体説明したけど・・・よかったかな?」
「問題ないじゃろう。ワシも事前にトキハには伝えておったからの・・・間に合ってよかったよ。・・・血走った目で縄で縛られたナシュを引きずっておったのを見たときは何事かと思ったぞ。」
「本当に助かったよ・・・もしティアドラが説得してくれてなかったら・・・。」
俺はその恐怖で身震いする。
ティアドラが伝えてなかったら俺は・・・死んでたかもしれない。
「フフフ。・・・助かってよかったの。それにしても・・・まさかあのトキハがあれ程の子煩悩になるとは思わなんだよ。」
そのような話をしているとナキもティアドラに慣れてきたようだ。
最初のころの様に吃ることはなくなっていた。
「さぁ!折角じゃからナキも何か注文するといい!ここはワシの奢りじゃから好きなものを頼むとよいぞ!」
機嫌のよくなったティアドラがさも自身が金を出すかのようにふるまうのだが・・・おそらく無銭飲食だ。
ナキの顔はそれを知っているのか若干ひきつっていた。
・・・ちなみに気づけばナシュが普通に働いていた。彼女は意外とタフなようです。
次の日。
俺はティアドラに勧められてこの日も冒険者として依頼を受けることになった。
俺としても楽しかったし、お金も稼げるしで特に異論はなかった。
・・・だが。
「なんで今日もナキが付いてくるの?」
宿から出ようとする俺の後をナキが付いてきていた。
「え・・・今日もお供させていただこうかなと思っていたのですが・・・。」
何故か彼女は意外そうな顔をしている。
「・・・トキハさんの許可は?」
俺が尋ねるとナキはとある方向を指さす。
その方向には・・・腕を組んでこちらを睨みつけているトキハさんの姿があった。
「・・・あの・・・トキハさん?」
「・・・ナキにケガさせたらただじゃおかないからな。」
何があったのだろうか。
ふとナキを見るとにっこりとほほ笑んでいた。
「あのように父も快く了承してくれましたので。」
・・・なんだろう。
この子・・・怖い。
俺はそう思いながら彼女と共に冒険者ギルドへと向かうのだった。
この日、俺達は5個の依頼を達成することに成功する。
そのほとんどがギルド職員から頼まれた・・・期限の近い依頼だった。
俺達が達成して帰ってくると職員からまるで神の様に崇められた。
こうして冒険者としての2日目が終了する。
明日は・・・勇者のお披露目がある日だ。
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