異世界に転生したら魔法を極めすぎました。

学生初心者

文字の大きさ
15 / 17
1章魔法使いの成長

第15話 入学試験③

しおりを挟む
「あれ? 結界魔法も使えるんだっけ?」

「そうだよ。話してなかったっけ?」

「いや、魔法の属性に関する話は全然してなかったよ。」

「そうだったか。」

 仲良くしていて、その中で魔法の魅力の話もしていた。だから、話してるものだと思っていた。

「まあ、サクッと終わらせるよ。」

「おう! 頑張れよ!」

 そうやって、試験監督であるアーリア・クルーシュに近づいて行った。

「すみません。」

「何だい? 問題でもあったか?」

「いや、結界魔法の試験をしてほしいです。」

「ああ、なるほど。だいぶ遅かったな。」

「すみません。いろいろやってたもので。」

「ん? そうか。」

 まさか全属性の試験を受けてるとは思わなかったため、遅い事実に違和感を持たれたことをつゆ知らず。

「では、初めてもいいでしょうか?」

「もちろんだ。」

 試験は始まった。
 そして、試験官の想定を大きく上回ることになることはこの時は誰も想像していなかった。この場にいる友人のルナストですらここまでの結果は想定していなかった。

 まずは、ロベルは何も話さず、ただ作業をするかのようにいつも通り結界魔法を展開した。

「おいおい、結界魔法無詠唱ってまじかよ。とんでもない逸材がやってきたな。」

 アーリアはそんなことを呟きながら魔法を当てる準備を始めた。

「まずは軽めから行くぞ!」

「はい。」

 そうやって飛んできたのは初心者が打つような火力の魔法だった。
 これは当然の如くびくともせずに防いだ。

「まあ、こんなんで壊れてたら期待はずれだったな。」

「そうですね。何のための無詠唱だって話ですし。」

「お前さんとは話が合いそうで助かる。」

「そう思っていただけて幸いです。では、どんどん強くしていってください。」

「そんなのは言われなくてもわかってるわ! 連続で行くぞ!」

 そうして、宣言通り連続で魔法を飛ばしてきた。その上、徐々に火力を上げていって。
 40連発ほどして一度止まった。

「まじかよ、この年でここまで耐えられるとは思ってなかった。」

「そうでしたか。それにしても、あんな細かに出力を上げれるなんてすごいですね。私はそうゆうのは苦手なものなので。」

「さすがにそんなところで負けてたらここにいる立場がなくなってしまうよ。」

 こんなに軽々と話しているが、さっきの最後あたりは、強めの魔物ですら1発で倒せるような火力をしていた。
 普通の人がそれを見るだけで腰を抜かすレベルだろう。

「あと、ここからはペースを下げるよ。ここからは雑にやったら暴発しちゃうかもだし。」

「そうですか。」

 少し残念そうにロベルは言った。あの繊細な火力調節を見れなくなることにがっかりしてしまったからだ。隠そうとはしたものの。

「では行くよ。」

「はい!」

 そうして来たのは大抵の魔物ならオーバーキル気味で倒せる火力の魔法であった。

「一気に火力上げすぎ!」

「でも、余裕で耐えてるじゃないか。そもそも、あの時点で満点は確定だからね。いまはただの興味本位でやってるから火力を一気に上げてやるからね!」

「ひどいもんだな!」

 と言いつつも、自分自身ですらしっかりと結界魔法の耐久性を確認したことがなかったため、調査するいい機会と考えていた。

「じゃあ、次で最後にしよう。私の出せる最大火力で放つよ。」

「急ですね。」

「まあ、ここからの度合いの調整だと違いが分かりにくいからね。」

「確かにそうかも?」

 実際どれくらいの差があるかわからなかったから自信を持った発言をすることはできなかった。

「では、いきますよ。」

 そう言ってすぐに普段では見る機会すらない火力の魔法が飛んできた。
 ロベルはさすがにやばいかもと思いながらも魔法は結界に当たった。

「うっそでしょ。ドラゴンにだいぶダメージを与えられるくらいのかりょくだったんだけどなぁ。まじかぁ。」

 そう、傷一つ付いてなかったからだ。

 正直、ロベル自身もここまで持つとは思っていなかった。だからこそ、気になってしまった。

「すみません。ちょっと試してみてもいいですか?」

「え、あ、うん。出来るならやってみれば。」

 しっかりと意味も伝わり、少し離れた場所に移動したのを確認して、自分の結界に最大火力の魔法を当てる準備をし始めた。

「じゃあ、やってみますね。」

 少し声を張り、届くように言っていた。

「頑張ってみてください。」

 すこし落ち込んだ声で返してくれた。

 そうして、撃った魔法は結界にぶつかり、爆弾が爆発したかのような音が鳴り響き、結界は壊れた。

「さすがにだめかぁ。」

 そんな独り言を呟いていた。

 アーリアは先ほどの光景に絶望していた。あれが天才なんだなと思いながらロベルを見ていた。

「あの火力を出せるんだもんね。細かい調整が苦手っていうのは当然だよな。」

 など独り言を言いながら感情も壊れていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...