異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました

おーるぼん

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一章 〜雑魚魔物使い〜

九話 地獄の大〝ガマ〟

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その日、俺は大きな地響きで目を覚ました。

「な、何だ!?」

急いで家から出ると、そこには……

宝石を悪趣味に散りばめた、シックだったであろうスーツを着た小柄な少年と、その執事らしき老年の男性。

それと巨大な人型の魔物という、奇妙な組み合わせの三人……いや、二人と一匹組がいた。

「ん~、今回も楽勝かな。

初めまして!
僕はロフター、貴方の決勝戦の対戦相手です!」

(聞こえてんだよなぁ……)

「こらこら坊っちゃま。
失礼、貴方がクボタ様ですね?」

「あ、はい。そうですけど」

「まずは突然の訪問と失言をロフター様に代わってお詫び申し上げます。私執事のトーバスと申します。

今回どうしても、坊っちゃんがクボタ様にお会いしたいと申しまして」

「クボタさんがコイツを見て早めに棄権した方が、闘技場まで行く手間が省けてお互いラクですからね!」

「坊っちゃま!」

トーバスと名乗った執事は大変恐縮といった様子で俺に頭を下げ続け、ロフターと呼ばれたクソガキは、これまたクソ生意気そうな表情で失言を連発している。

このガキの性格の悪さは恐らく天然ものだろう。
俺は性善説を推しているだけに少し残念な気持ちだ。

それに引き替え、この執事は大変に良く出来た人物のようだ。

この人は身の回りの世話なんてしなくてもいいから、ロフターに毎日爪の垢を煎じて飲ませる仕事に転職した方が良い。

「だって本当の事だろう?
さあ!君も挨拶するんだ!」

ロフターがそう叫ぶと、今まで不動を決め込んでいた太山が巨体を揺らして屈み込んだ。

「グルルルル!」

そのまま巨大なトロールは犬歯を剥き出し、挨拶している者とは思えないような唸り声を上げ……

そして、何かに気が付いたらしく目を見開いた。

「あっ」

だが、それはこちらも同じだった。

俺もある事に気付いたのだ……コイツが。

この前、俺が小便を掛けてしまったあのトロールだと言う事に。

「グォオオオ!!」

次の瞬間、空気を震わせる程の爆音が周囲に響き渡り、俺の頭上から巨大な掌が降って来た。孫悟空から見た釈迦の掌はこのくらいだったかもしれない。

(終わった……)

だが、途端に始まった俺の走馬灯と、トロールの一撃……それを同時に止めたのは。

「やめなさい」

トーバスの鋭く突き刺さるような一声だった。

すると、緑の巨人は即座に俺への攻撃を中断し、〝本物の〟主人へと首を垂れる。

先程までは野蛮にしか見えなかったトロールだが、意外にも躾はきちんとされていたようだ。

「坊っちゃま、もう気が済んだでしょう?
さあ、帰りますよ。」

「あわわわわわ……」

「クボタ様、本日の非礼重ね重ねお詫び申し上げます。それではまた」

そう言うとトーバスは腰を抜かしたロフターを背負い、大地にこれまた巨大な足跡を残すトロールと共に、文字通り嵐のように去って行った。

「…………」

ロフターはともかく、あのトーバスという男。

一流の執事のようだが、魔物使いとしてもかなりの実力者であるのは間違い無いはず……本当に、あんなクソガキの執事をしているのが不思議でならないくらいだ。

そしてあれこそが、対戦相手である、と……

流石、Gランクとは言え決勝戦と言う事なのだろうか。

以前、ルーがあのトロールを倒すのを目撃してはいるが、ここで油断すれば俺は敗北への片道切符を掴む結果となる可能性が高いと見た。

……彼女はまた、勝てるだろうか?
練習の他に何か出来る事は無いだろうか?

プチ男では体格差があり過ぎるため、試合に出すのは必然的にまたルーになる……だからこそ、俺はそう心配せずにはいられなかったのだ。

「むぅ!」

すると、その時突然にも厩舎からルーが飛び出して来た。

これは、噂をすれば影とやらと言う奴か……まあ、それはともかく。

どうやらルーは先程の地響きで眠りを邪魔されてしまったらしく、少々機嫌が悪いように見える。

そんな彼女の髪はボサボサ。
体には何かと戦った訳でも無いのに生傷が多い。

いつもそこら中を駆け回っているからなのだろうが、これではまるで野生児だ。

ん?戦い……そうだ!

俺はこの子が、他の魔物と戦っている姿を殆ど見た事が無い。

これではいくら実力があったとしても、それがどの程度なのか把握するのは困難であろう。

それならば……よし、決めた!!

今日は実戦をやろう!!
何でも良いから魔物討伐の依頼を受けるんだ!!

そうすれば報酬も貰えて一石二鳥……って。

そう言えばルーが声を出したのって、初めてじゃないか!?





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