異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました

おーるぼん

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一章 〜雑魚魔物使い〜

14.5話 VSオオアシナガキュウケツ

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「じゃあジェリアちゃん。作戦通りに」

「えぇ。でも試した事が無いから、ダメならダメですぐ撤退する。良いわね?」

「勿論」

手短に言葉を交わした俺達は、二組に分かれて行動を開始した。

そうして、オオアシナガキュウケツの巣を中心として東側には俺とルー、それとジェリアの相棒であるミドルスライムが。

西側にはコルリスとジェリア、そしてプチ男のそれぞれが茂みに隠れる。

次に、西側の部隊が隠れ終えるのを見届けた俺は、すぐさま巣へと向けて石を投げつけた。

すると、出るわ出るわ、オオアシナガキュウケツが次々と。それはまるで、巣が黒煙に巻かれているようだった。

そこで俺は若干の吐き気を覚えたが、とにかくと意を決して立ち上がり。

そしてすぐに、手足を滅茶苦茶に動かした。

……これは別に、ふざけているのではない。

オオアシナガキュウケツは動くものならば、全て獲物と認識して襲いかかってくると言う。

なのでそれを逆手に取り、向かってきた所を俺とルーで広げたミドルスライムと言う名の虫網で包み込んでしまおうと言う作戦なのだ。

では、コルリスとジェリアは何をするのかと言うと……その際、捕まえ損ねた奴をプチ男で捕縛してもらう予定、ではあるが。

なるべく危険に身を晒して欲しくは無いので、不味いと感じたら俺の事は気にせず逃げろとは伝えてある。

しかし、健気なコルリスと、俺をプチ男と会うための口実としては大切に思っている(これは俺の勘だ)ジェリアの事だ。もしそうなれば必ず飛び出して来てしまうだろう……

つまり彼女達の命運は今、俺達にかかっているのだ。

だからこそ最悪取り逃すにしても、それは最小限に抑えなければならない。

そう思うと、こんな恥ずかしい事をしている今でさえ緊張で顔が強張るのを感じた。

……が。

「ブフッ!」

突如、俺のそんな姿を見ていたジェリアが吹き出した。

馬鹿、ふざけるな。
お前はこの重大な局面でふざけ切っているが、俺がふざけているのは動きだけなんだぞ!?

まあ良い……後で文句言ってやる。

「ルー!やるぞ!」

そうして気持ちを改め、予定通り俺へと狙いを定めた黒雲を返り討ちにするため、一人と一匹でミドルスライムを掴んだ。

「ぐっ!おおぉおおぉおおお!」

それはかなり重かったが、ルーの助力もあって(とは言ったものの、正直力の割合としては俺が彼女のサポートをしていると言った方が正しいかもしれない)何とか巨大な虫網は完成した。

直後、オオアシナガキュウケツ共はぶよぶよとしたそれに直撃し……

網の役割をするはずだったミドルスライムは瞬く間に、虫入りの琥珀のような物体へと姿を変えた。

まさに猪突猛進。
車は急に止まれないという事だな。蚊だけど。

そうして羽音は止み、森には静寂が訪れた。

飛び回る黒い影は最早一切が見当たらず、代わりにその全てがミドルスライムの体内へと収まっている。

……やった、やり遂げた。
正直、ここまで上手く行くとは思わなかった。

「やった、やったぞ!やっ」

バキバキバキ!

すると、俺がせっかく上げようとした勝利の雄叫びを無人……いや、無虫となったはずの巣が掻き消した。

そこで現れたのは、オオアシナガキュウケツなんかよりも遥かに大きな蚊……あれはまさか、噂に聞く……

ダイオオアシナガキュウケツ!!

「あ、あれは!」
「すっご~い!」

……あれ?

ここは戦慄するのが正しいリアクションかと思いきや、西側の二人の声は弾んでいた。

もしやとは思うが、あの蚊柱を見たせいで精神に支障でも来してしまったのだろうか?

「ちょ、ちょっと二人とも!
そんな事言ってる場合じゃないだろ!?」

「大丈夫よクボタさん!これくらいの大きさになると重過ぎてそこまで早くは飛べないから!

それに壊した巣の中は空っぽ!もうコイツだけって事よ!一対一なら貴方達の相手じゃないわ!」

「でも、倒す前によく見ておいた方が良いですよ~!

転がってきた岩に突撃したり、獲物に刺さったまま抜けなくなって死んだりするオオアシナガキュウケツが、こんなに大きくなれるのはかなり珍しい事ですから~!!」

俺の心配をよそに、二人は呑気にもそう叫んでいる。それはまるで、贔屓のチームに声援を飛ばしているファンのようだ。

……まあ良い。
とにかく二人が無事であるのは確かであるらしい。

なら、最後の仕上げといこうか。

「はぁ、全く……ルー、いけるか?」

そう言うと、ルーはこくりと頷いて俺の側を離れ。

数秒後、森には彼女の放った飛び蹴りによって、大きな大きな断末魔が鳴り響いたのであった。

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