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一章 〜雑魚魔物使い〜
17.5話 忘れてた……
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「クボタさーん!また来て下さいねー!」
夕暮れに染まる牧場と青年を背にし、二人と二匹は帰路に就く。
そしてその顔は皆、満足げであった。
当然、斯く言う俺もだ。
今日は実に良い一日を過ごさせてもらったのだから。
あまり足を運んだ事は無かったが、牧場とは意外にもエンターテイメント性のあるものだと気付かされた。我々にとっての非日常を与えてくれたこの場所には感謝しなければならない。
見学中、俺達は乳搾りや餌やり、それと家畜の移動などなどを体験し。
(と言うか、あれはもう殆どただの手伝いだったような気が……まあでも、楽しかったから良いか)
その礼として特別にコルリスとルーはユニタウルスの背に乗せてもらい、乗馬ならぬ乗牛を楽しんでいた。
また、そこにいた従業員(?)である、デカいゴブリンには最初ビビってしまったが。
しかし皆心優しく、プチ男なんかは何度か彼らの頭によじ登っていたのを覚えている。
ん?……って事は。
俺以外、みんな何かに乗っかってたって事だな。
ま、それは良いとして。
最後にはそこで取れた野菜をこれでもかと購入したので、帰宅後には皆で料理する予定だ。
帰った後にまで楽しみが持続するとはこれまた素晴らしい……
こうして、俺にとってこの場所は、日本3大テーマパークにも劣らないレジャー施設として記憶されたのである。
……と、そこで俺はある事を思い出し。
思わず声を上げてしまった。
「……あっ、しまった!!
そう言えば、サイロ君にアレを伝え忘れてたな……」
『アレ』とは、俺とコルリスとが夫婦では無いと言う事だ。はっきりとそれを否定する事を、俺は忘れてしまっていたのだ。
「ああ、アレの事ですか?
……また今度で良いんじゃないですかね?」
だが、コルリスはあまり嫌そうな風では無く。
と言うか、何とも思っていないように見える。
「いやまあ、俺もそれで良いとは思うんだけどさ。
でもコルリスちゃんが、誤解されたまま嫌じゃないかなぁ……って」
「……私は別に。
クボタさんは嫌じゃないんですか?」
「え、俺?全然?
俺達、基本いつも一緒にいるんだからもう家族みたいなものだし、そんな事気にしないよ。
あ、でも家族と夫婦とはまたちょっと違うか」
「……フフフ」
「ん?何で笑ったの?」
「何でもないですよ」
まあとにかく、彼女は何一つ気にしてはいないようだ。
なら、訂正するのはサイロ君とまた会った時とかで良いか……と言うワケで俺は牧場に戻る事はせず、そのまま真っ直ぐに自宅へと歩を進めた。
その間もまた、二人で他愛もない話を続けていると……もう家が見えてきた。
「……ふぅ」
近付く我が家を見ていると、何故だか急に多少の疲労感を覚えた。漸く家に帰り着いたという、実感がそれによって強まったからだろうか?
まあ、それならそれで良いか。
むしろぐっすり眠れそうで決して悪い気は……
まさにその時だった。
最早、目と鼻の先となった自宅の窓よりこちらに向けられる、強い怒りの込められた眼差しに気付き。
またそれと同時に、今の今まで完璧に失念していた、〝ある事〟を俺が思い出したのは。
そう言えば俺達。
ある人を家に呼ぼうとしていたんだっけ……
…………不味い。
コルリスが家の扉を開ける前に止めなければ。
「クボタさん、何突っ立ってるんですか?
晩御飯の準備、先にしてますからね~」
「ダメだコルリスちゃん!」
「え?……あっ」
しかし、遅かった。
玄関扉を開いたコルリスの手首を何者かががっしりと掴む。
それを見た俺はすかさず持っていた野菜を全てルーに預けた後、残された体力を削って家とは反対方向に全速力で駆け出した。
「ク!クボタさん!?
家族を見捨てるんですか!?」
背後からコルリスの悲痛な叫びが聞こえる。
あんなに可愛らしい娘を見捨てるのは一体、何処のどいつなんだろうか、断じて許すわけにはいかないな……まあとにかく、俺でない事は確かだと思う。
「逃がさないわ!」
するとその時、コルリスではない女性の声がしたかと思うと俺の頭上から突然ミドルスライムが現れ。
そしてそのまま、俺は大きなブヨブヨに押し潰されてしまい。コルリスに代わるかのようにして悲鳴を上げた。
いや、上げさせられてしまうのだった。
「ぎゃあああああ!!」
「アンタ達ねぇ……
私を放って今まで何処行ってたのよ、全く!!
……それと、クボタさん?」
声の主が近付いて来る。
……どうやら、俺はここまでのようだ。
「な、何だいジェリアちゃん?」
「クボタさん?貴方さっき、『ダメだコルリスちゃん!』って言ったわよねぇ?
一体何がダメなのか、私に分かるように説明してもらえない?」
そうしてこの後、俺はジェリアから約二時間の説教を受けたが、身に覚えしかなかったのでそれを甘んじて受け入れた。
ちなみに言うと首謀者は俺であったため、コルリスは三十分程度の説教で済んだようだ。
夕暮れに染まる牧場と青年を背にし、二人と二匹は帰路に就く。
そしてその顔は皆、満足げであった。
当然、斯く言う俺もだ。
今日は実に良い一日を過ごさせてもらったのだから。
あまり足を運んだ事は無かったが、牧場とは意外にもエンターテイメント性のあるものだと気付かされた。我々にとっての非日常を与えてくれたこの場所には感謝しなければならない。
見学中、俺達は乳搾りや餌やり、それと家畜の移動などなどを体験し。
(と言うか、あれはもう殆どただの手伝いだったような気が……まあでも、楽しかったから良いか)
その礼として特別にコルリスとルーはユニタウルスの背に乗せてもらい、乗馬ならぬ乗牛を楽しんでいた。
また、そこにいた従業員(?)である、デカいゴブリンには最初ビビってしまったが。
しかし皆心優しく、プチ男なんかは何度か彼らの頭によじ登っていたのを覚えている。
ん?……って事は。
俺以外、みんな何かに乗っかってたって事だな。
ま、それは良いとして。
最後にはそこで取れた野菜をこれでもかと購入したので、帰宅後には皆で料理する予定だ。
帰った後にまで楽しみが持続するとはこれまた素晴らしい……
こうして、俺にとってこの場所は、日本3大テーマパークにも劣らないレジャー施設として記憶されたのである。
……と、そこで俺はある事を思い出し。
思わず声を上げてしまった。
「……あっ、しまった!!
そう言えば、サイロ君にアレを伝え忘れてたな……」
『アレ』とは、俺とコルリスとが夫婦では無いと言う事だ。はっきりとそれを否定する事を、俺は忘れてしまっていたのだ。
「ああ、アレの事ですか?
……また今度で良いんじゃないですかね?」
だが、コルリスはあまり嫌そうな風では無く。
と言うか、何とも思っていないように見える。
「いやまあ、俺もそれで良いとは思うんだけどさ。
でもコルリスちゃんが、誤解されたまま嫌じゃないかなぁ……って」
「……私は別に。
クボタさんは嫌じゃないんですか?」
「え、俺?全然?
俺達、基本いつも一緒にいるんだからもう家族みたいなものだし、そんな事気にしないよ。
あ、でも家族と夫婦とはまたちょっと違うか」
「……フフフ」
「ん?何で笑ったの?」
「何でもないですよ」
まあとにかく、彼女は何一つ気にしてはいないようだ。
なら、訂正するのはサイロ君とまた会った時とかで良いか……と言うワケで俺は牧場に戻る事はせず、そのまま真っ直ぐに自宅へと歩を進めた。
その間もまた、二人で他愛もない話を続けていると……もう家が見えてきた。
「……ふぅ」
近付く我が家を見ていると、何故だか急に多少の疲労感を覚えた。漸く家に帰り着いたという、実感がそれによって強まったからだろうか?
まあ、それならそれで良いか。
むしろぐっすり眠れそうで決して悪い気は……
まさにその時だった。
最早、目と鼻の先となった自宅の窓よりこちらに向けられる、強い怒りの込められた眼差しに気付き。
またそれと同時に、今の今まで完璧に失念していた、〝ある事〟を俺が思い出したのは。
そう言えば俺達。
ある人を家に呼ぼうとしていたんだっけ……
…………不味い。
コルリスが家の扉を開ける前に止めなければ。
「クボタさん、何突っ立ってるんですか?
晩御飯の準備、先にしてますからね~」
「ダメだコルリスちゃん!」
「え?……あっ」
しかし、遅かった。
玄関扉を開いたコルリスの手首を何者かががっしりと掴む。
それを見た俺はすかさず持っていた野菜を全てルーに預けた後、残された体力を削って家とは反対方向に全速力で駆け出した。
「ク!クボタさん!?
家族を見捨てるんですか!?」
背後からコルリスの悲痛な叫びが聞こえる。
あんなに可愛らしい娘を見捨てるのは一体、何処のどいつなんだろうか、断じて許すわけにはいかないな……まあとにかく、俺でない事は確かだと思う。
「逃がさないわ!」
するとその時、コルリスではない女性の声がしたかと思うと俺の頭上から突然ミドルスライムが現れ。
そしてそのまま、俺は大きなブヨブヨに押し潰されてしまい。コルリスに代わるかのようにして悲鳴を上げた。
いや、上げさせられてしまうのだった。
「ぎゃあああああ!!」
「アンタ達ねぇ……
私を放って今まで何処行ってたのよ、全く!!
……それと、クボタさん?」
声の主が近付いて来る。
……どうやら、俺はここまでのようだ。
「な、何だいジェリアちゃん?」
「クボタさん?貴方さっき、『ダメだコルリスちゃん!』って言ったわよねぇ?
一体何がダメなのか、私に分かるように説明してもらえない?」
そうしてこの後、俺はジェリアから約二時間の説教を受けたが、身に覚えしかなかったのでそれを甘んじて受け入れた。
ちなみに言うと首謀者は俺であったため、コルリスは三十分程度の説教で済んだようだ。
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