異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました

おーるぼん

文字の大きさ
65 / 515
二章 〜下級魔物使い〜

十話 新たなる力を

しおりを挟む
朝食を取った後、俺は魔物達と共にトレーニングを始めた。

今回はいつものキックボクシング的なものとは違い、総合格闘技をやっていた頃に覚えた組技系の練習だ。

ただし、俺は恥ずかしながら関節技や絞め技は苦手であったため、受け身、タックル、投げ技等の練習が主ではあるが。

一応言っておくと、これは対先遣隊ゴブリン時の事を反省した結果の練習内容である。

もしもあの時、組技の知識を持ってさえいたならば……彼女はあそこまで深傷を負わず。

むしろ受け身をとって即座に体勢を立て直したり、相手の引っ張り込む力を逆に利用した投げ技等で、試合を有利に進める事が出来たかもしれない。

先遣隊ゴブリンがあれよりももう少し強かったらと思うと今でもぞっとする。

その場合、あのまま劣勢となったルーは……

そう、このトレーニングはFランクと言う、あれよりも強い魔物が必ず現れるであろう環境でも、魔物達が無事に俺の元へと戻って来てくれるために重要なものなのだ。

そうして、暫く教え続けていると、ルーはすぐに複数の投げ技を物にした。

間違い無く、あの頃の俺よりも上達は早い。
とても嬉しいが、少々複雑な気分だ。

まあ彼女は、前に我流の投げ技を披露した事もあるのだし、格闘センスで敵うはずがないのは充分理解しているのだがな。

まあそれはともかくとして、他の二匹の調子はと言うと……そちらもなかなか良かった。

まず、コイツらは初動が全て多少の伸び縮みから始まるので、ただでさえそれが移動か攻撃か判別するのが難しかったのだが。

組技を覚えた事によってその攻撃ですら、打撃なのか投げなのか挙動からでは完全に分からなくなった。これは相手としては非常にやり辛いだろう。

そしてこれは、二匹の様子を見ていて気付いた事なのだが……

スライムはその身体的特徴により、人型の魔物ではほぼ不可能に近いような状態からでも投げ技を使用出来る……と言う、とんでもない強みを持っていたようだ。

(相手にくっ付いている時や、地面に接していない時等だ)

もしかするとスライムと組技、と言うのは最高の組み合わせだったのかもしれない。

そんな彼等は今、俺やルーの腕に巻き付いたまま体を伸縮させて無理矢理反動を起こし、投げ技を繰り出すと言う実に応用的な練習をしていた。

受け身をとり、プチ男の技を身をもって体感した俺は全員が早い段階で組技をある程度習得した事に喜びつつも、驚きを隠せずにいた。

昇格試合の事も踏まえ、充分な実力がつくまではFランクの依頼、大会には参加しない予定だったが。

これならば、新しい環境へと踏み出せる日も近いだろう。

「良し、今日はここまでかな。
じゃあそろそろ休憩にしよう!」

俺は皆へとそう告げたが、ルー、プチ男、ケロ太は練習からじゃれあいに移行したようで、まだドタバタとあちこちを跳ね回っている。

好きこそ物の上手なれ、とはよく言ったものだ。技の上達には、コイツらが体を動かす事が大好きなのも関係しているのかもしれない。

……まあ、とにかく。
ひとまずは彼等を放置すると決めた俺は汗を軽く流した後で服を着替え、身支度を整えた。

「あれ?クボタさん、お出掛けですか?」

そして準備を終えた俺が外に出ようとしていた時、コルリスから声を掛けられた。

「うん、ちょっとね。
晩ご飯までには帰って来るよ。

あ、あとプチ男も連れて行くね」

彼女にそう告げた俺は、遊んでいた三匹の中からプチ男のみをつまみ上げると、彼の体に付いた土埃を軽く払い、そのまま歩き出した。

が、プチ男は少々不満だったようで、俺の手の中でぷるぷると震えている。

しかし、それを見た俺が「ゴメンゴメン。着いたら何か好きな物買ってやるから、怒らないでくれよ」と言うと、途端にその震えは止まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

処理中です...