70 / 515
二章 〜下級魔物使い〜
十三話 次期頭首様の……秘密?
しおりを挟む
簡単なあらすじ『サチエ、プチ男、クボタさんはアンデッドに襲われましたが、プチ男君のお陰で何とかなりました』
アンデッドが漸くただの骨に変わったのを見届け終えた俺は、ぶっ飛んで行ったプチ男を回収し急いでサチエの元へと戻った。
サチエは地に片膝を付き、肩で息をしていた。
彼女はアンデッドからの攻撃を躱し続けていたのだ、体力の消耗も激しかったのだろう。
「大丈夫ですか!?
お怪我はありませんか!?」
「ああ、問題無い……服が少し破れただけだ」
俺が問い掛けると彼女は呼吸を整え、数秒後にそう答えてくれた。
……ふぅ、それなら良かった。
人魂みたいなものが一度彼女に被弾したのを見てずっと心配していたのだが、どうやら無傷で済んだらしい。
「助かったよ。客人を守らなければと飛び出したは良いものの、武器を持っていなかった事をすっかり忘れていたからな」
次にそう言って彼女は少し、恥ずかしそうに笑った。
この人は考えるよりも先に、身体が動いてしまうタイプの人なのかもしれない……
とは言え、それは俺達を助けようとしての行動なのだ。馬鹿にするつもりなど微塵も無いが。
とにかく、サチエが無事である事を知った俺は『こちらこそ助かった』という旨と共に礼を告げ、彼女が動けるようになったら停留所に戻る事を伝えた。
……のだが。
そうすると彼女は突然、こんな事を言い出した。
「私も付いて行って良いかな?礼がしたい」
「え、でも儀式……でしたっけ?あれは良いんですか?」
「構わないさ。例え君が来なくとも、私の任は手薄となった町の警備だったろうからな。
〝アレ〟にはまだ、いてもいなくても変わりない存在なのさ……」
「じゃ、じゃあ、その警備の方は……?」
「なに、若い衆がやっているから大丈夫だ。
君はひょっとすると……私が同行するのは嫌か?」
「あ!いえ、そう言うワケじゃないんですよ!」
……と、まあそう言う訳で。
俺達はサチエと共に、街へと戻る事となったのであった。
そうして彼女に手を引かれ、丘を後にする俺達……その背後では。
魔王城の生垣から、二人と一匹を見つめる眼差しがこちらへと向けられていたが。
この時の俺達には、それを知る由もなかった。
街へと着いた途端、サチエは今までのお堅いイメージが完全に崩れ去る程のはしゃぎぶりであれこれと興味を示しては駆け回り、俺達を振り回した。
サチエの年齢は多分、コルリスより上か同じくらいなはず……そこから推察するに、恐らくではあるがこれこそ素の彼女なのだと思われる。
ザキ地方での振る舞いは次期頭首として、アトラン族代表としてのものだったのだろう。
どうやら未来のリーダーも色々と苦労しているらしい……と言うか。
もしかするとこの子は、息抜きのために付いて来たかっただけなのかもしれない。
そう思うと何処か無性に、彼女に世話を焼きたくなるような自分がいた。
「見てくれクボタ、あんな所に可愛らしい魔鳥類の魔物がいるぞ!ザキ地方にも来て欲しいが無理だろうな、あんな荒れ果てた地ではな!ワハハ!」
「あ、アハハ……どうだろね」
そんな彼女は今、反応に困る自虐ネタを披露している。
ああそれと、一応言っておくが。
俺とサチエは定期便に乗っている最中、彼女がいつまでも客人呼びは失礼だと言い出したのがきっかけで改めての自己紹介を済ませている。
だからサチエは俺をクボタ呼びで、俺も彼女に対してタメ口なのだ。決して俺が無礼な訳ではないぞ?
「どうしたクボタ?それにプチ男も、何だか疲れているように見えるぞ?」
そこでサチエはこちらを振り返り、ここに来て初めて俺達を心配してくれた。
「まあ、ちょっと、疲れたかも……」
正直に言えば、俺は彼女を追い駆け続けていたせいで。プチ男はザキ地方から街までの移動中、ずっとサチエにこねくり回されていたせいで。
実際、とても疲れていたのだ。
もしかするとそれが顔に出ていたのかもしれない。
「そうなのか、もっと早く言えば良かったのに………………」
すると突然、彼女は黙り込んでしまった。
「どうしたの?」
「なあクボタ。もしかして君らが疲れているのって……私が、私がはしゃぎ過ぎていたせいか?」
「え!?いや、それは……」
サチエにそう言われ、俺は変な声が出てしまった。何故ならそれは図星だったからだ。
「……やはりか。
その、あの、申し訳ない。
街に来るのは久し振りでな、つい……」
それで事を察したのか、彼女の頬はみるみるうちに赤く染まってゆく。
……どうやらたった今、自分のキャラが崩壊してしまっていた事にも気が付いたようだ。
「……この子、思ってたよりずっとカワイイなぁ」
「何!?」
「あ……いや、何でもない」
ついつい心の声が漏れてしまった俺はひとまず話題を逸らすために、彼女を俺の行きつけのお店……またの名を、集会所兼酒場へと誘った。
アンデッドが漸くただの骨に変わったのを見届け終えた俺は、ぶっ飛んで行ったプチ男を回収し急いでサチエの元へと戻った。
サチエは地に片膝を付き、肩で息をしていた。
彼女はアンデッドからの攻撃を躱し続けていたのだ、体力の消耗も激しかったのだろう。
「大丈夫ですか!?
お怪我はありませんか!?」
「ああ、問題無い……服が少し破れただけだ」
俺が問い掛けると彼女は呼吸を整え、数秒後にそう答えてくれた。
……ふぅ、それなら良かった。
人魂みたいなものが一度彼女に被弾したのを見てずっと心配していたのだが、どうやら無傷で済んだらしい。
「助かったよ。客人を守らなければと飛び出したは良いものの、武器を持っていなかった事をすっかり忘れていたからな」
次にそう言って彼女は少し、恥ずかしそうに笑った。
この人は考えるよりも先に、身体が動いてしまうタイプの人なのかもしれない……
とは言え、それは俺達を助けようとしての行動なのだ。馬鹿にするつもりなど微塵も無いが。
とにかく、サチエが無事である事を知った俺は『こちらこそ助かった』という旨と共に礼を告げ、彼女が動けるようになったら停留所に戻る事を伝えた。
……のだが。
そうすると彼女は突然、こんな事を言い出した。
「私も付いて行って良いかな?礼がしたい」
「え、でも儀式……でしたっけ?あれは良いんですか?」
「構わないさ。例え君が来なくとも、私の任は手薄となった町の警備だったろうからな。
〝アレ〟にはまだ、いてもいなくても変わりない存在なのさ……」
「じゃ、じゃあ、その警備の方は……?」
「なに、若い衆がやっているから大丈夫だ。
君はひょっとすると……私が同行するのは嫌か?」
「あ!いえ、そう言うワケじゃないんですよ!」
……と、まあそう言う訳で。
俺達はサチエと共に、街へと戻る事となったのであった。
そうして彼女に手を引かれ、丘を後にする俺達……その背後では。
魔王城の生垣から、二人と一匹を見つめる眼差しがこちらへと向けられていたが。
この時の俺達には、それを知る由もなかった。
街へと着いた途端、サチエは今までのお堅いイメージが完全に崩れ去る程のはしゃぎぶりであれこれと興味を示しては駆け回り、俺達を振り回した。
サチエの年齢は多分、コルリスより上か同じくらいなはず……そこから推察するに、恐らくではあるがこれこそ素の彼女なのだと思われる。
ザキ地方での振る舞いは次期頭首として、アトラン族代表としてのものだったのだろう。
どうやら未来のリーダーも色々と苦労しているらしい……と言うか。
もしかするとこの子は、息抜きのために付いて来たかっただけなのかもしれない。
そう思うと何処か無性に、彼女に世話を焼きたくなるような自分がいた。
「見てくれクボタ、あんな所に可愛らしい魔鳥類の魔物がいるぞ!ザキ地方にも来て欲しいが無理だろうな、あんな荒れ果てた地ではな!ワハハ!」
「あ、アハハ……どうだろね」
そんな彼女は今、反応に困る自虐ネタを披露している。
ああそれと、一応言っておくが。
俺とサチエは定期便に乗っている最中、彼女がいつまでも客人呼びは失礼だと言い出したのがきっかけで改めての自己紹介を済ませている。
だからサチエは俺をクボタ呼びで、俺も彼女に対してタメ口なのだ。決して俺が無礼な訳ではないぞ?
「どうしたクボタ?それにプチ男も、何だか疲れているように見えるぞ?」
そこでサチエはこちらを振り返り、ここに来て初めて俺達を心配してくれた。
「まあ、ちょっと、疲れたかも……」
正直に言えば、俺は彼女を追い駆け続けていたせいで。プチ男はザキ地方から街までの移動中、ずっとサチエにこねくり回されていたせいで。
実際、とても疲れていたのだ。
もしかするとそれが顔に出ていたのかもしれない。
「そうなのか、もっと早く言えば良かったのに………………」
すると突然、彼女は黙り込んでしまった。
「どうしたの?」
「なあクボタ。もしかして君らが疲れているのって……私が、私がはしゃぎ過ぎていたせいか?」
「え!?いや、それは……」
サチエにそう言われ、俺は変な声が出てしまった。何故ならそれは図星だったからだ。
「……やはりか。
その、あの、申し訳ない。
街に来るのは久し振りでな、つい……」
それで事を察したのか、彼女の頬はみるみるうちに赤く染まってゆく。
……どうやらたった今、自分のキャラが崩壊してしまっていた事にも気が付いたようだ。
「……この子、思ってたよりずっとカワイイなぁ」
「何!?」
「あ……いや、何でもない」
ついつい心の声が漏れてしまった俺はひとまず話題を逸らすために、彼女を俺の行きつけのお店……またの名を、集会所兼酒場へと誘った。
0
あなたにおすすめの小説
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる