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二章 〜下級魔物使い〜
三十三話 誰かの〝夢〟
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簡単なあらすじ『クボタさんまた気絶』
これは、何だろう?
夢、なのか……?
少年、青年。どちらとも言えそうなくらいの背丈と容姿をした一人の男が剣を持ち、大きな怪物と対峙している。
彼は少し緊張しているみたいだ。
しかし、自身の身の丈よりも数倍、いや数十倍以上か。それ程の差がある相手を前にしても『その程度』ならば、彼はかなり実力のある戦士なのだろう。
沈黙を怪物が咆哮によって掻き消す。
周囲の木々はそれに恐怖し、がさがさと揺れ動いた。
男はそれを聞いても尚、微動だにしなかった。
とはいえ、その面持ちはやや不安そうである。
だが両の目はしっかりと開かれており、何より光を失っていない。どうやら彼は今が『やらねばならない時』であるらしい。
怪物は目の前の男が単身にも関わらず、逃げ出さない事に怒りを覚えているように見える。
恐らく、今まで彼の咆哮を聞いた者は例えそれが数千、数万の集団だったとしても皆が慌てふためき、背中を見せて逃走したのであろう。
怪物は今、男がそうしない事によってプライドを傷付けられたのだ。
怪物が身を低くし、男を正面に見据えた。
それを見た男も構え直し、ため息を一つ吐き出す。
まもなく、開戦の幕が切って落とされる……
かと思われたまさにその時。
そこに突如、一人の緑色の肌をした女が現れた。
彼女はいきなり男の襟首を掴んだかと思うとそのまま跳躍し、岩陰に身を隠す……何という身体能力をしているのだろうか。
「何やってんだバカヤロウ!相手はあの〝ザラタン〟なんだゾ!?オマエ一人で勝てるワケないだロ!分かってんのかヨ!」
女は男に対してそう言う。
かなり怒っている様子だ。
しかし、女の言葉からは少なからずの『愛』が感じられた。だからこそ彼女は憤慨しているのだ。
「んむっ!」
だが、男は女の口を人差し指で塞ぎ、怪物の元へと戻るため立ち上がる。
「分かってるよ。でもこれは、これだけは僕一人でやらなくちゃダメなんだ!
言ったろう、キミ、『オレより強くなったラ、その〝ケッコン〟ってヤツ、してやるヨ!』ってさ。
だから僕は一人でアイツを倒して、キミより強いって事を今から証明する。その後でキミに……」
男は赤くした顔を見せまいと女に背中を向け、そう言った。随分と不器用ながらも、彼もまた彼女を愛していたのだ。
「……!!
ま、まあ言ったけどサ……だからってオマエ、いくら何でも〝テード〟ってモンがあるだロ。
はァ、本当にバカって言うか、〝ブキヨー〟って言うか」
「そ、そんなにバカバカ言わないでよ!」
男は振り返りながら女に向けてそう言うが、すぐさま彼女も自分と同じ顔色をしている事に気付き、口を閉ざした。
いつしか二人は、どちらも顔を赤く染めていたのだ。
しかし、怪物はそんな彼等を待ってはくれない。
彼は周囲にある岩や木々を幾つも捻り潰し、叩き壊し、二人を血眼になって探していた。
怪物の胸中にあった怒りは自分に勝負を挑もうとした愚か者と、それを屠る機会を奪った者の存在によって怒髪天を衝く程のものとなっていたのだ。
「……!マズイナ、このままじゃアイツ、ここら一帯全部ぶっ壊しちまウ。おい!二人でアイツを倒すゾ!」
そう言って女も立ち上がるが、男は彼女の肩に手を置き、それを制止した。
「いやダメだ!僕がやらないと……」
「それはもう……もう良いんだっテ!」
「何が良いんだよ!」
二人の間に、また少しの沈黙が流れる。
その際、男は疑問を浮かべているような顔をし、女は何かを決心したかのような顔をしていた。
「な……何が良いんだよ?」
男は再び質問する。
女はそれを聞いて呆れたようにため息を吐いた後、顔を更に赤く染め、こう言った。
「だーかーラー!
オレが良いって言ってんだから良いんだヨ!
そんな事しなくてもオマエとだったら〝ケッコン〟だろうが何だろうがしてやるかラ!
だかラ!だから一人で無茶ばっかりすんじゃねえヨ!」
「……え」
突然、二人を怪物から隠していた岩が粉々に砕け散った。その先には勿論、〝あれ〟の姿がある。
「とりあえずコイツを倒すゾ!話はその後ダ!」
「…………うん!」
こうして彼の戦いは『彼等の』戦いとなり、今度こそ幕を開けた。
これは、何だろう?
夢、なのか……?
少年、青年。どちらとも言えそうなくらいの背丈と容姿をした一人の男が剣を持ち、大きな怪物と対峙している。
彼は少し緊張しているみたいだ。
しかし、自身の身の丈よりも数倍、いや数十倍以上か。それ程の差がある相手を前にしても『その程度』ならば、彼はかなり実力のある戦士なのだろう。
沈黙を怪物が咆哮によって掻き消す。
周囲の木々はそれに恐怖し、がさがさと揺れ動いた。
男はそれを聞いても尚、微動だにしなかった。
とはいえ、その面持ちはやや不安そうである。
だが両の目はしっかりと開かれており、何より光を失っていない。どうやら彼は今が『やらねばならない時』であるらしい。
怪物は目の前の男が単身にも関わらず、逃げ出さない事に怒りを覚えているように見える。
恐らく、今まで彼の咆哮を聞いた者は例えそれが数千、数万の集団だったとしても皆が慌てふためき、背中を見せて逃走したのであろう。
怪物は今、男がそうしない事によってプライドを傷付けられたのだ。
怪物が身を低くし、男を正面に見据えた。
それを見た男も構え直し、ため息を一つ吐き出す。
まもなく、開戦の幕が切って落とされる……
かと思われたまさにその時。
そこに突如、一人の緑色の肌をした女が現れた。
彼女はいきなり男の襟首を掴んだかと思うとそのまま跳躍し、岩陰に身を隠す……何という身体能力をしているのだろうか。
「何やってんだバカヤロウ!相手はあの〝ザラタン〟なんだゾ!?オマエ一人で勝てるワケないだロ!分かってんのかヨ!」
女は男に対してそう言う。
かなり怒っている様子だ。
しかし、女の言葉からは少なからずの『愛』が感じられた。だからこそ彼女は憤慨しているのだ。
「んむっ!」
だが、男は女の口を人差し指で塞ぎ、怪物の元へと戻るため立ち上がる。
「分かってるよ。でもこれは、これだけは僕一人でやらなくちゃダメなんだ!
言ったろう、キミ、『オレより強くなったラ、その〝ケッコン〟ってヤツ、してやるヨ!』ってさ。
だから僕は一人でアイツを倒して、キミより強いって事を今から証明する。その後でキミに……」
男は赤くした顔を見せまいと女に背中を向け、そう言った。随分と不器用ながらも、彼もまた彼女を愛していたのだ。
「……!!
ま、まあ言ったけどサ……だからってオマエ、いくら何でも〝テード〟ってモンがあるだロ。
はァ、本当にバカって言うか、〝ブキヨー〟って言うか」
「そ、そんなにバカバカ言わないでよ!」
男は振り返りながら女に向けてそう言うが、すぐさま彼女も自分と同じ顔色をしている事に気付き、口を閉ざした。
いつしか二人は、どちらも顔を赤く染めていたのだ。
しかし、怪物はそんな彼等を待ってはくれない。
彼は周囲にある岩や木々を幾つも捻り潰し、叩き壊し、二人を血眼になって探していた。
怪物の胸中にあった怒りは自分に勝負を挑もうとした愚か者と、それを屠る機会を奪った者の存在によって怒髪天を衝く程のものとなっていたのだ。
「……!マズイナ、このままじゃアイツ、ここら一帯全部ぶっ壊しちまウ。おい!二人でアイツを倒すゾ!」
そう言って女も立ち上がるが、男は彼女の肩に手を置き、それを制止した。
「いやダメだ!僕がやらないと……」
「それはもう……もう良いんだっテ!」
「何が良いんだよ!」
二人の間に、また少しの沈黙が流れる。
その際、男は疑問を浮かべているような顔をし、女は何かを決心したかのような顔をしていた。
「な……何が良いんだよ?」
男は再び質問する。
女はそれを聞いて呆れたようにため息を吐いた後、顔を更に赤く染め、こう言った。
「だーかーラー!
オレが良いって言ってんだから良いんだヨ!
そんな事しなくてもオマエとだったら〝ケッコン〟だろうが何だろうがしてやるかラ!
だかラ!だから一人で無茶ばっかりすんじゃねえヨ!」
「……え」
突然、二人を怪物から隠していた岩が粉々に砕け散った。その先には勿論、〝あれ〟の姿がある。
「とりあえずコイツを倒すゾ!話はその後ダ!」
「…………うん!」
こうして彼の戦いは『彼等の』戦いとなり、今度こそ幕を開けた。
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