異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました

おーるぼん

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二章 〜下級魔物使い〜

四十二話 今度こそ!少女の洗礼! その2

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簡単なあらすじ『やっぱりアルワヒネとは戦わなければならないようです』



ニヤニヤとしているアルワヒネの前に、準備運動を終えたルーが立ちはだかる。

現在では手加減も完璧に覚えている彼女なら大丈夫だろう。酷い怪我などはさせず、させられず、アルワヒネに勝利してくれるはずだ。

……この時の俺はそう思っていた。



アルワヒネはスタートを待つランナーのように、対してルーはキックボクサーのように構えた。

俺の指示もないままにだ。
どうやらゴングは必要ないらしい。

そして次の瞬間、ミドルスライムがジェリアの方に移動しようとした際に発せられた「ぶにっ」というような音を皮切りにして、二匹の戦いは幕を開けた。

直後、少女は目の前の相手に向け、凄まじい速さで突撃する。

その移動の速さに驚いたのかルーは仰反り、そのままの姿勢で少女を迎え撃つ事となってしまった。

……そこから何とかルーは持ち直したものの、不利な状況は体勢をどうにかした所で変わりはしなかった。

相手が小さい。
小さ過ぎるのだ。

当然パンチはヒットしない。
なのでルーは現在蹴りで何とか応戦しようとしていたがそれすらも命中はゼロであり、かなりやりにくそうにしていた。

一方、アルワヒネの方は余裕たっぷりである。
ルーの繰り出す技その全てを躱し、頭の葉でペチリと彼女のお尻を叩いてはニヤニヤとしているのだから。

今となっては少々憎たらしいとすら思えるあの笑顔の裏には、そう出来るだけの実力が備わっていたのだ。

攻撃せずともあの様子を見れば分かる……ある程度強いのだろうとは予測していたが、まさかここまでとは思わなかった。

「むっ!う、うぅ……」

とうとう半ベソをかき始めたルーは、むうむう言いながら助けを求めるように俺を見つめた。

可哀想に……叩かれ過ぎてお尻が痛いのだろう。
しかし途中で止めさせれば、少女は更に増長するはず。

「う~ん……ル、ルー!もうちょっと頑張れ!本当に無理だったらやめても良いからさ!」

考えても妙案は浮かばず、彼女には悪いと思いつつも、俺はそう言う事しか出来なかった……ゴメンなルー。

「でも、運動神経の良いルーならすぐ対応出来そうだけどな……」

「それは難しいと思うわよ」

俺の独り言に反応したのはジェリアだった。
いつの間にか隣まで移動していたらしい。

「やっぱり、相手が小さいから?」

「勿論それもだけど、思い出してみて?あの子が戦った魔物達を。

ミドルスライム、ギガントトロール、先遣隊ゴブリン、そしてスライム……くらいかしらね。

じゃあクボタさん。この魔物達の共通点は?」

ジェリアは俺に質問する。

「……全部、ルーよりデカい魔物。か」

「そう。あの子が今まで戦ってきた魔物は皆、自分より大きかった。

それもあってあの子は自然と『その相手向けの戦い方』をしてしまっているのよ。

今見ていてそれがよく分かったわ。だからやり難いのだろうし、そうだと分かっていてもすぐにはその戦法を変える事が出来ないのよ」

「……今回ばかりは、過去の経験が仇となった。ってワケか」

なるほど、確かにそうだ。
恐らくジェリアの考えは当たっている。と俺は思う。

となると、この戦い勝つのは難しい……いや、ほぼ不可能か?

とか思っていたら、ルーが俺の方に歩いて来た。

見ていない間に決着がついてしまったようだ。決め手は間違いなく『お尻叩き』だったのであろう。

そのまま彼女は無言で俺に抱き付く。
ロクな指示も出せずにすまなかった。そんな気持ちを込めながら、俺は彼女の頭に手を伸ばす。

で、ルーが背後に残してきたアルワヒネはと言うと……先程の戦いでは物足りなかったらしく、ケロ太やプチ男にちょっかいをかけたりしていた。多分、アイツらとも戦いたいのだろう。

……と、思いきや少女の干渉はチビちゃんやミドラスライムにまでも行われている。

そうして最後に俺へと挑発するかのように頭の葉をぴこぴことさせたアルワヒネは元いた場所に戻り、先程ちょっかいをかけた皆へと憎たらしげな表情を振り撒いた。

……あ?何だコイツ。
『全員でかかってこい』とでも言いたいのか?

ほう……俺達も随分と舐められたものだ。

そこまでされては仕方がない。
アルワヒネには『俺達の本気』というものがどれ程恐ろしいものであるのか、見せてやるとしよう。

ただし、見せるのはほんの少し、片鱗だけだ。
怪我でもされたら困るからな。
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