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二章 〜下級魔物使い〜
七十六話 来たれりは彼の友
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簡単なあらすじ『魔王城にサチエが到着しました!』
魔王城に突如として現れた客人。
それはサチエであった。
彼は全ての障壁を乗り越え、クボタを取り戻しにやって来たのだ。
しかし、彼の血は服の至る所に滲んで斑を作り、その服自体もそちらこちらが破けてただの布切れと成り果てていた。
そして、当人の息も絶え絶えである。
これでは友を助けるどころか、自身の命も危うい……こんな場所にいては殊更にだ。
事実、城に踏み入ったサチエの前には今、この場所の住人であり兵士である、大勢の、それも強力な魔物達が集まり始めていた。
まさに、彼の命は風前の灯火……
だが、今まで乗り越えてきたものよりも遥かに高い壁を前にしても尚、彼の目の奥にある光が消える事は無かった。
それに気が付いたのか尾崎は飛び、魔物達とサチエの間に割って入るような位置に降り立つ。
まあ、心優しい尾崎ならば、彼がどのような状態であれそうしたのだろうが……
〝やめろ。私の客人だ〟
その後、尾崎は言った。
それが聞こえると同時に、魔物達は蜘蛛の子を散らすようにその場を立ち去る。
そうしてその場には一匹の魔物と一人の人間、サチエと尾崎だけが取り残された。
すると突然、尾崎を前にしたサチエは片膝を地面に付いて両の指を絡め、目の前の魔物に対してまるで神に祈るような姿勢、態度を作りこう言った。
「ま、守り神……様……
守り神……儀式の折以外にこの場所に立ち入った事、深くお詫び致します……
ですが!!私はそうしなければならなかったのです!!クボタを!!友を助けるために!!
彼は今この場所にいるのでしょう!?どうかそこを通して下さい!!私は友を助けに来ただけなのです!!」
そう言うサチエには鬼気迫る程の勢いがあった。
そして、その後すぐにサチエは何を血迷ったのか懐に入れていた短剣を手に取り、それを自身の爪先に突き刺した。
〝……気つけか〟
それを見た尾崎がぼそりと言う。
どうやらサチエの行動にはきちんと理由があったようだ。
尾崎から溢れ出る、王者の覇気とも呼べるもの……
間近でそれに当てられたサチエは、大声を出さなければ、短剣を爪先に突き刺さなければ、意識を保つ事が出来なかったのだ。
〝勇気あるアトラン族の若者よ、確かにその者はここにいるぞ。迎えに行ってやると良い〟
尾崎がほんの少し、口角を上げた。
それは何を意味しているのだろうか。
「……!!
守り神様が……私に受け答えを……
いや、今はそんな事を言っている場合では……ありがとうございます!でしたらすぐ」
〝だが、その前に〟
驚きつつも、クボタがいる事に喜び勇んですぐさま立ち上がったサチエの言葉を尾崎が遮る。
その声は先程のものよりも幾分かは低く、冷たいものであった。
〝お前の実力の程を確かめさせてもらおう〟
そう言い、尾崎はふう、と息をサチエに吹きかけた。
途端、サチエの身体が凍り付いたかのように硬直する。
守り神様と戦う……当然そうなる予測もしてはいたが、それがいざ現実になってしまった今まさにこの時、サチエの肉体は精神に反して言う事を聞かなかった。
しかし、何故だかすぐに見えぬ氷は溶解し、彼の肉体は自由となった。
すぐにサチエは自分の手足を動かし、それを見つめる。
先程の凍てつくような感覚とは裏腹に、身体中が芯から温まり、まるで火照っているかのような、そんな状態にある事を知り、その理由が分からなかったからだ。
だが戸惑いながらも、サチエは自身を落ち着かせるため目を閉じた。
恐らく彼は今、こう考えているのだろう。
これならば、今でも充分に動く事が出来そうだ。
……一度くらいならば。
魔王城に突如として現れた客人。
それはサチエであった。
彼は全ての障壁を乗り越え、クボタを取り戻しにやって来たのだ。
しかし、彼の血は服の至る所に滲んで斑を作り、その服自体もそちらこちらが破けてただの布切れと成り果てていた。
そして、当人の息も絶え絶えである。
これでは友を助けるどころか、自身の命も危うい……こんな場所にいては殊更にだ。
事実、城に踏み入ったサチエの前には今、この場所の住人であり兵士である、大勢の、それも強力な魔物達が集まり始めていた。
まさに、彼の命は風前の灯火……
だが、今まで乗り越えてきたものよりも遥かに高い壁を前にしても尚、彼の目の奥にある光が消える事は無かった。
それに気が付いたのか尾崎は飛び、魔物達とサチエの間に割って入るような位置に降り立つ。
まあ、心優しい尾崎ならば、彼がどのような状態であれそうしたのだろうが……
〝やめろ。私の客人だ〟
その後、尾崎は言った。
それが聞こえると同時に、魔物達は蜘蛛の子を散らすようにその場を立ち去る。
そうしてその場には一匹の魔物と一人の人間、サチエと尾崎だけが取り残された。
すると突然、尾崎を前にしたサチエは片膝を地面に付いて両の指を絡め、目の前の魔物に対してまるで神に祈るような姿勢、態度を作りこう言った。
「ま、守り神……様……
守り神……儀式の折以外にこの場所に立ち入った事、深くお詫び致します……
ですが!!私はそうしなければならなかったのです!!クボタを!!友を助けるために!!
彼は今この場所にいるのでしょう!?どうかそこを通して下さい!!私は友を助けに来ただけなのです!!」
そう言うサチエには鬼気迫る程の勢いがあった。
そして、その後すぐにサチエは何を血迷ったのか懐に入れていた短剣を手に取り、それを自身の爪先に突き刺した。
〝……気つけか〟
それを見た尾崎がぼそりと言う。
どうやらサチエの行動にはきちんと理由があったようだ。
尾崎から溢れ出る、王者の覇気とも呼べるもの……
間近でそれに当てられたサチエは、大声を出さなければ、短剣を爪先に突き刺さなければ、意識を保つ事が出来なかったのだ。
〝勇気あるアトラン族の若者よ、確かにその者はここにいるぞ。迎えに行ってやると良い〟
尾崎がほんの少し、口角を上げた。
それは何を意味しているのだろうか。
「……!!
守り神様が……私に受け答えを……
いや、今はそんな事を言っている場合では……ありがとうございます!でしたらすぐ」
〝だが、その前に〟
驚きつつも、クボタがいる事に喜び勇んですぐさま立ち上がったサチエの言葉を尾崎が遮る。
その声は先程のものよりも幾分かは低く、冷たいものであった。
〝お前の実力の程を確かめさせてもらおう〟
そう言い、尾崎はふう、と息をサチエに吹きかけた。
途端、サチエの身体が凍り付いたかのように硬直する。
守り神様と戦う……当然そうなる予測もしてはいたが、それがいざ現実になってしまった今まさにこの時、サチエの肉体は精神に反して言う事を聞かなかった。
しかし、何故だかすぐに見えぬ氷は溶解し、彼の肉体は自由となった。
すぐにサチエは自分の手足を動かし、それを見つめる。
先程の凍てつくような感覚とは裏腹に、身体中が芯から温まり、まるで火照っているかのような、そんな状態にある事を知り、その理由が分からなかったからだ。
だが戸惑いながらも、サチエは自身を落ち着かせるため目を閉じた。
恐らく彼は今、こう考えているのだろう。
これならば、今でも充分に動く事が出来そうだ。
……一度くらいならば。
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