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二章 〜下級魔物使い〜
78.6話 おザキ様とアトラン族 その2
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簡単なあらすじ『おザキ様の過去と、アトラン族の儀式にまつわるお話をクボタさんは聞きました』
えー。
先日、おザキ様に彼と、そしてアトラン族達が儀式をやる事になった経緯やら何やらを聞かせてもらったのでここに記しておこうと思う。
ちょっと長くなるが……
昔々、と言う程でも無いくらいに昔。
〝ある戦い〟を終わらせたおザキ様は、魔物の巣窟となっていた大きなお城のような建物を見つけると。
自身の療養の目的と、『アルヴァークに屋根のある、快適な場所で最期を迎えて欲しい』との願いから、そこを暫くの間仮の住まいとする事にしました。
それから少し経ってアルヴァークが永遠の眠りについてしまうと、おザキ様は自身の傷がまだ癒えていないにも関わらず、新たな棲家を求めてザキ地方を飛び回るようになりました。
何故ならばそれは、近くに人間の町を発見したからです。
もしも今やドラゴンゾンビとなってしまったアルヴァークが、そこを狙ったとしたら……大変な事になってしまいますからね。
とは言え、ドラゴンゾンビの足ではそこまでは辿り着けなさそうではありましたが……念には念を入れて、との考えだったそうです。(本人曰く)
そうしておザキ様は身にも、心にも傷を残しながらも次なる居場所を探し続けていました……
それからまた暫くすると、〝ある変化〟が起こり始めました。
おザキ様の方にではなく、町の人々の方にです。
彼等は上空高くを飛ぶおザキ様を見ると、彼に向け頭を垂れたり、拝んだりするようになりました。
そう……何故だがは分かりませんが、彼等はおザキ様に対して、感謝の意(?)を示すようになったのです。
(ちなみに、おザキ様がそのくらいの高さにいる……つまり距離が離れていたので、今までアトラン族達は気絶せずに済んでいたようです)
おザキ様はそれを見、首を傾げていましたが……その理由はすぐに分かりました。
何と、おザキ様が〝そこにいる〟だけで国を狙う他国の軍勢や、強く、かつ知恵のあるような魔物達が彼を恐れ、そして畏れ、自ずからザキ地方を離れて行った事で町人達の暮らしは以前と比べてかなり穏やかなものとなっていたのです。
そうです。
それで彼等は自分達から脅威を退けてくれた存在であるおザキ様を崇拝し、あのようにしてとても感謝しているのでした。
ですがおザキ様はそれを知つつも、『魔物である自分が彼等に手を貸したり、接触したりすれば大きな混乱を招くだろう』と考え、彼等にはなるべく干渉しないよう、生活を続けていました。
……そんな時でした。
ゴリアース・プラントの攻撃を耐え切ってその中を抜け、ある一人の人間が魔王城へとやって来たのは。
「~~~!」
入口までやって来るとすぐに、その人間は大声で何事かを叫び始めました。
おザキ様はその様子を上階からこっそりと覗き見ていました。勿論、過度な人間との接触を避けるためです。
その声から察するに、それは男性のようでした。
ここまでやって来る事の出来る、身体に無数の傷がある若い男……服装からも何となくは分かりますが、彼は近くにあるあの村の部族、アトラン族の一員だと見て間違いは無さそうです。
男は大きな声で話を続けています。
おザキ様のいる場所からではあまりよく聞き取れませんでしたが、それはどうやら『守り神様へと感謝の印に捧げ物を持って来ました!』という内容のようです。
しかし……それをゴリアース・プラントとの戦いの際に全て壊されてしまった彼は、今は大声を張り上げてそれについての謝罪をしているのでした。
(ちなみに……『ここで死なれても困る』と考えたおザキ様は、事前に魔物達が彼に近付かないよう命令していたようです。だから彼はその場でゆっくりと話す事が出来ているのです)
それを仕方なく聞いていたおザキ様ですが、彼は段々とその男に腹が立ってきました。
男の話は嘘では無さそうですが、単身で、それもわざわざこんな危険な所へとやって来た。
その無謀さから推察するに、男はまだそれが危険であるのかどうかも知らぬうちに物事を進めようとする粗忽者であり……
かつ『アトラン族達が例え本当に捧げ物を持って来ようとしていたのだとしても、もう少し大人数で来るはず』だと考えると、恐らく彼は独断でそれを実行した……場の調和を乱す、愚かな者でもある。
という結論に至ったからこそ、おザキ様は今現在城の入り口に立つ、無知蒙昧な男に対して怒りを覚えたのです。
(まあ、優しいおザキ様の事ですから、本当は彼の『命を粗末にするような行為』に対してのみ怒っていたのでしょうが……)
そしてとうとう、怒りが限界となったおザキ様はこう叫びました。
〝黙れい!!
お前、命が惜しければ早くここを立ち去れ!!そして二度と現れるな!!〟
それは短く、それでいて力強く魔王城に響き渡りました。
おザキ様はそれ以上話そうとはしなかったので、城は静寂に包まれます。諭すよりも叱り付けた方が彼には効く、そうおザキ様は考えたのでしょう。
すると、それを聞いた男は少しの間何かぶつぶつと呟いていたようでしたが、それからまた少ししてから漸く魔王城を立ち去りました。
しかしその背中には、自分達が守り神様と崇める存在に怒鳴られた割には恐怖も、反省の色もあまり見えなかったような……
そんな気がしていたおザキ様ですが、どの道男はもう二度とここには来ないであろうと考え、彼の事は忘れて引き続き新しい居場所を探すために城を飛び立ちました。
そう遠くない未来にこの場所には再び彼と、そして大勢のアトラン族達が訪れ。
後におザキ様が主催(?)となる、儀式が行われるようになるとも知らずに……
つづく。
ちなみに語りが何処となく昔話っぽいのは、何となくそうした方が雰囲気が出そうだと思ったからだ。
えー。
先日、おザキ様に彼と、そしてアトラン族達が儀式をやる事になった経緯やら何やらを聞かせてもらったのでここに記しておこうと思う。
ちょっと長くなるが……
昔々、と言う程でも無いくらいに昔。
〝ある戦い〟を終わらせたおザキ様は、魔物の巣窟となっていた大きなお城のような建物を見つけると。
自身の療養の目的と、『アルヴァークに屋根のある、快適な場所で最期を迎えて欲しい』との願いから、そこを暫くの間仮の住まいとする事にしました。
それから少し経ってアルヴァークが永遠の眠りについてしまうと、おザキ様は自身の傷がまだ癒えていないにも関わらず、新たな棲家を求めてザキ地方を飛び回るようになりました。
何故ならばそれは、近くに人間の町を発見したからです。
もしも今やドラゴンゾンビとなってしまったアルヴァークが、そこを狙ったとしたら……大変な事になってしまいますからね。
とは言え、ドラゴンゾンビの足ではそこまでは辿り着けなさそうではありましたが……念には念を入れて、との考えだったそうです。(本人曰く)
そうしておザキ様は身にも、心にも傷を残しながらも次なる居場所を探し続けていました……
それからまた暫くすると、〝ある変化〟が起こり始めました。
おザキ様の方にではなく、町の人々の方にです。
彼等は上空高くを飛ぶおザキ様を見ると、彼に向け頭を垂れたり、拝んだりするようになりました。
そう……何故だがは分かりませんが、彼等はおザキ様に対して、感謝の意(?)を示すようになったのです。
(ちなみに、おザキ様がそのくらいの高さにいる……つまり距離が離れていたので、今までアトラン族達は気絶せずに済んでいたようです)
おザキ様はそれを見、首を傾げていましたが……その理由はすぐに分かりました。
何と、おザキ様が〝そこにいる〟だけで国を狙う他国の軍勢や、強く、かつ知恵のあるような魔物達が彼を恐れ、そして畏れ、自ずからザキ地方を離れて行った事で町人達の暮らしは以前と比べてかなり穏やかなものとなっていたのです。
そうです。
それで彼等は自分達から脅威を退けてくれた存在であるおザキ様を崇拝し、あのようにしてとても感謝しているのでした。
ですがおザキ様はそれを知つつも、『魔物である自分が彼等に手を貸したり、接触したりすれば大きな混乱を招くだろう』と考え、彼等にはなるべく干渉しないよう、生活を続けていました。
……そんな時でした。
ゴリアース・プラントの攻撃を耐え切ってその中を抜け、ある一人の人間が魔王城へとやって来たのは。
「~~~!」
入口までやって来るとすぐに、その人間は大声で何事かを叫び始めました。
おザキ様はその様子を上階からこっそりと覗き見ていました。勿論、過度な人間との接触を避けるためです。
その声から察するに、それは男性のようでした。
ここまでやって来る事の出来る、身体に無数の傷がある若い男……服装からも何となくは分かりますが、彼は近くにあるあの村の部族、アトラン族の一員だと見て間違いは無さそうです。
男は大きな声で話を続けています。
おザキ様のいる場所からではあまりよく聞き取れませんでしたが、それはどうやら『守り神様へと感謝の印に捧げ物を持って来ました!』という内容のようです。
しかし……それをゴリアース・プラントとの戦いの際に全て壊されてしまった彼は、今は大声を張り上げてそれについての謝罪をしているのでした。
(ちなみに……『ここで死なれても困る』と考えたおザキ様は、事前に魔物達が彼に近付かないよう命令していたようです。だから彼はその場でゆっくりと話す事が出来ているのです)
それを仕方なく聞いていたおザキ様ですが、彼は段々とその男に腹が立ってきました。
男の話は嘘では無さそうですが、単身で、それもわざわざこんな危険な所へとやって来た。
その無謀さから推察するに、男はまだそれが危険であるのかどうかも知らぬうちに物事を進めようとする粗忽者であり……
かつ『アトラン族達が例え本当に捧げ物を持って来ようとしていたのだとしても、もう少し大人数で来るはず』だと考えると、恐らく彼は独断でそれを実行した……場の調和を乱す、愚かな者でもある。
という結論に至ったからこそ、おザキ様は今現在城の入り口に立つ、無知蒙昧な男に対して怒りを覚えたのです。
(まあ、優しいおザキ様の事ですから、本当は彼の『命を粗末にするような行為』に対してのみ怒っていたのでしょうが……)
そしてとうとう、怒りが限界となったおザキ様はこう叫びました。
〝黙れい!!
お前、命が惜しければ早くここを立ち去れ!!そして二度と現れるな!!〟
それは短く、それでいて力強く魔王城に響き渡りました。
おザキ様はそれ以上話そうとはしなかったので、城は静寂に包まれます。諭すよりも叱り付けた方が彼には効く、そうおザキ様は考えたのでしょう。
すると、それを聞いた男は少しの間何かぶつぶつと呟いていたようでしたが、それからまた少ししてから漸く魔王城を立ち去りました。
しかしその背中には、自分達が守り神様と崇める存在に怒鳴られた割には恐怖も、反省の色もあまり見えなかったような……
そんな気がしていたおザキ様ですが、どの道男はもう二度とここには来ないであろうと考え、彼の事は忘れて引き続き新しい居場所を探すために城を飛び立ちました。
そう遠くない未来にこの場所には再び彼と、そして大勢のアトラン族達が訪れ。
後におザキ様が主催(?)となる、儀式が行われるようになるとも知らずに……
つづく。
ちなみに語りが何処となく昔話っぽいのは、何となくそうした方が雰囲気が出そうだと思ったからだ。
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