白衣の下 スピンオフ 18歳 町田柊士の若き日の過ち

高野マキ

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友情

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季節は秋を迎え恒例の全日本学生美術展 いわゆる学展出品の時期が近付いてきた。
美術部員はそれぞれ入選を目指して創作に力が入る。
繭はあの喫茶店での出来事いらい、町田柊士から逃げるように関わりを、絶っている。

一方で 町田柊士の方もかろうじて卒業の単位を確保しつつ学校へはまともに登校していなかった。 

藍川繭と関わりが無かった数ヶ月の間に柊士や飛島純也にもとばっちりのような災難がふりかかっていた。
※災難は【白衣の下 I アクシデントの余波
緊急オペ】のエピソードにあります。

飛島純也の同級生が家族から受けた暴力で警察ざた救急車騒ぎとなったのだ。

幸い 彼らは同級生を助けて救急搬送に協力したという事で県警から感謝状が送られたが

乱れた家庭環境としりつつ手を打たなかった学校関係者は県、教育委員から懲罰を受け、学校には批判が殺到し収集がつかない事態となっていた。


「柊ちゃん、ちょっと相談があるんだ 【木漏れ日】来れる?」

珍しく飛島純也からメッセージが入った。
普段なら電話で済ませてしまうはず。


「悪い 八幡画材来てよ 学展追い込みなんで 」


数分で八幡画材に来た飛島純也は
「ちわーす お邪魔しまーす」
店舗の扉を引き 大声で入店した事を知らせると 二階の階段を駆け上がって 
柊士が向かいあっている巨大なキャンバスを
見た。


  あれ? これって…どっか…

「純也 てみじかにな」

純也の顔すら見ずに 絵の具をキャンバスに重ねていく。


 ……

「いいんじゃね お前さ もう大人顔負けに稼いでるし、高校卒業にこだわる必要ねぇだろ?しかもクソ高校だし」

「でもさ パリコレだぜ 日本語もろくに操れねーのに 無理だろ?フランスとか」


「相変わらずだな お前。
あの銭ゲバ社長がわざわざ損することに手を出すかって、
今は、事務所の社長の言うこと聞いてりゃいいんじゃね?」


「自信ねぇー 柊ちゃん一緒にパリ行かね?
芸術三昧じゃん、食えなきゃ社長がモデルで使ってくれるぜ 俺が柊ちゃんのパトロンになるよっ な!」

「馬鹿か 行かねーよ まだ日本でやり残した事あるから…」

「あ! 今思い出したわー柊ちゃん、この絵のモデル 藍川だろ!」

純也は鬼の首を取ったような声をあげた。


「…」

「あれから藍川繭と会ったんだ!?」


「いや…」


「会ってないのに、実物見ないでよく描けるもんだなぁ…」


「…」

「なんで 会わないんだよ?卒業したらもう絶対 、絶対 会えなくなるかもよ」


「…うるさいな もう帰って寝ろ バカ」


「…チェッ   じゃ また来るわ」


   マジか? 柊士もしかして 惚れてた? 
 木漏れ日にわざわざ連れてきたのは
〝フェイク〃じゃなかったってか⁈

まさかの 本命か!



 その頃 まだ退院できない妹。病院の面会も制限されている。
 繭は学校の美術室で部員達に混ざって デッサンに集中していた。
モデルは 妹。


「藍川さん、 いつになったらキャンバスに向かうの? 学展に間に合わなくなるよ 」

三年の部長が心配する。

「はい… そのぉ…まだ絵の具使う自信がなくて…」

部長から学展の話題がでたところで
部員の1人が
「今年も町田くん 出品するんでしょ?」


「うーん 相変わらず学校には来てないし、
卒業だって難しいかも…」
クラスメイトの部長が知っている様子をはなす。美術部員にとっても前年度大賞受賞の町田柊士は注目すべき存在だった。

「…でも今年も大きな賞をとれば…芸大推薦も、、ほらそれに社会貢献で飛島と一緒に表彰されたし」


  表彰? 芸大!
町田さん どんどん遠くの人になってしまう…

繭は無関心を装いつつどうしても意識してしまう、憧れの存在だった人。


数日経った金曜日の午後だった。

「お邪魔しますよ」

「えー 飛島純也!」

「何、何 どうしたのよ?」
同級生の女子が慌てる。


「どうもしないんだけどさ、ちょっとだけ
藍川貸してもらえない?」

「えー 何それー 貸してって、物じゃないんだから 飛島ぁ 」

「それに今日は藍川さん 帰ったわ 残念でした。」



「マジかぁ…  くっそっ……
  うーん  じゃ、藍川さんは毎日美術部きてんの?」

執拗に藍川繭に執着する飛島純也に部員達が
あらぬ疑いをかけた。

「飛島ぁ 藍川さんに興味あるんだぁ?」


「まあな 否定はしないけど 明日は藍川くるかな?」

否定されないと 冷やかし甲斐がなく部員達の好奇心も一気に冷めてしまった。


「来ると思うよ 学展に出す作品 彼女だけまだ全然描けてないし ずーっとデッサンばっかりして キャンバスに向かおうともしないし…」 部長がぼやいた。


「わかった みんな サンキューな」


出て行く純也を見ながら

「何しにきたの?飛島ってホント不思議くんだよねー」


「マジで モデル雑誌の表紙飾ってる奴と同一人物とは思えないよな」


▱▱▱▱

 短いバイブが町田柊士の携帯電話を揺らした。


  なんだ? 純也か…
いちいちメッセージって 何なんだよ


携帯の画面からメッセージアプリをタップして内容を確認した。


  って 余計な事しやがって 純也っ
馬鹿…か?











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