殺人記

しまね

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4月3日

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かねてより騒音問題でクレームを入れていた隣室の中国人は深夜こそ静かになったが、夕方から夜にかけて騒ぐことが多く再び眠りの妨げになることを危惧していた。
そんな俺を嘲るかのようにまた始まった。
中国人の叫び声だ。
ただてさえ不眠症でろくに寝れていないのに、中国人が越してきてから一層眠れなくなった気がする。
堪忍袋の尾が切れた俺は怒りのあまり抗議をすることにした。
インターホンに反応して出て来たのはいかにもチャラそうな若造でネックレスなどのアクセサリーをジャラジャラさせている。
どこの王族のつもりだ。いい加減にしろと言いたくなったが、グッと堪えて0時を過ぎたあたりから騒ぐのはやめてくれないかと言ったら、お前の勘違いだ。統失なんだろと言われた。
この言葉を聞いて牛刀という名の菓子折りを持って行くことに決めた。
キッチンの奥から久しぶりに牛刀を取り出し、大量の胡椒を用意して、再び呼び出す。
毎月10万払うから静かにしてくれと言いながらインターホン越しに福沢諭吉をチラつかせようものなら目の色を変えてこっちに向かってくる。
扉が開く瞬間に胡椒を投げつけ、怯んだところに飛びかかり頸動脈を切りつける。
叫ばないように口を押さえて淡々とトドメをさす。
あとは土足で上がって、金品を奪えば任務完了。騒音は無くなって、お金がもらえて、いい物件が見つかるなんて一石三鳥。今日はいいことがありそうだ。
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