チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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二章 冒険者の少女

近くの森

―カナ―

 グレンさんと別れた私は、まず依頼書を見て期日を確認した。  
 どちらも「今日から5日以内」に集めればいいらしい。

 冒険者ギルドを出て西へしばらく歩くと、高さ5メートルほどの壁が見えてきた。  
 その延長線上には門があり、近づくと数人の門番が立っている。

「おっと、そこのお嬢さん。一旦ストップだ」

 門番の一人が手を上げて止めてきた。

「見たところ冒険者のようだが、見かけない顔だな。名前と外に出る用件を聞かせてもらえるかな?一応決まりなんでね」

 どうやら門を通るときは名前と目的を伝える必要があるらしい。

「えっと、私の名前はカナです。近くの森に薬草とホーンラビットの角を取りに行きたいんです」

 私は冒険者カードを見せながら答えた。

「なるほど、新人か。街の外の地図は持ってるか?持ってないならこれをやろう」

 門番から街の外の地図をもらった!

「それと、薬草集めなら何か入れるものが必要だ。見たところ鞄も何も持ってないようだが、集めた薬草や角はどうやって持つつもりだ?」

「う……」

 確かに、入れるものがないと不便だ。  
 手で持つにしても限界があるし、両手が塞がるのは危険だ。

「入れ物がないなら雑貨屋で買っていくといい」

「分かりました!」

 私は一度、職人通りの雑貨屋へ向かうことにした。

---

 雑貨屋に着くと、まずは鞄を見てみた。  
 大きいもの、小さいもの、安いもの、高いもの……種類が多い。

 一番安いのは小さなポーチで1,000エント。  
 でも、これではほとんど入らない。

 一番高いのは50万エントの「魔法のポーチ」。  
 どんな物でも大量に入るらしいけど、当然買えない。

 手頃なのは3,500エントの大きなリュック。  
 でも、ちょっと迷う。

「他に何かないかな~……」

 眉間にしわを寄せながら見ていると、鞄とは別の棚に“籠”を見つけた。

 背負式の木のカゴ:800エント

 値段も手頃で、物もたくさん入りそうだ。

「これにしよう!」

 私は木のカゴを購入し、再び防護壁の門へ向かった。


◆◆◆


 門を抜け、無事に街の外へ出た私は、近くの森へとやって来た。

 木漏れ日が差し込み、鳥や動物の声が響く。  
 思ったよりも穏やかな雰囲気だ。

 門番には「木のカゴで行くのか」と呆れられたけど、実用性ならこれが一番だと思う。

「そんなことより薬草は……」

 グレンさんにもらった見本を見ながら探すと、森のあちこちに生えていた。

 私はカゴを下ろし、薬草を摘んでは入れていく。

「ふぅ……結構集まったかな?」

 数十分でカゴの四分の一ほどが薬草で埋まった。

「ん~……ちょっと休憩しようかな」

 腰を伸ばして立ち上がると――目が合った。

 額に小さな角が生えた、緑色のウサギ。

(あれがホーンラビット……?)

 角を採るには倒さなければならない。  
 倒すということは、この剣で……あのウサギを……。

「だめだ……!私にはできない……!」

 あんな可愛いウサギを倒すなんて無理だ。

 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ホーンラビットは近づいてきて、薬草をもぐもぐ食べ始めた。

「か、可愛い……っ!」

 試しにカゴの薬草を差し出すと、手から食べてくれた。

「食べた!可愛い♡」

 気づけば、私の周りには数匹のホーンラビットが集まっていた。


◆◆◆


数十分後

 ホーンラビットたちは満足したのか去っていき――

 カゴの薬草は全部、彼らの餌になっていた。

「…………」

 私は空になったカゴを見つめ、しばらく固まっていた。
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