13 / 214
二章 冒険者の少女
近くの森
―カナ―
グレンさんと別れた私は、まず依頼書を見て期日を確認した。
どちらも「今日から5日以内」に集めればいいらしい。
冒険者ギルドを出て西へしばらく歩くと、高さ5メートルほどの壁が見えてきた。
その延長線上には門があり、近づくと数人の門番が立っている。
「おっと、そこのお嬢さん。一旦ストップだ」
門番の一人が手を上げて止めてきた。
「見たところ冒険者のようだが、見かけない顔だな。名前と外に出る用件を聞かせてもらえるかな?一応決まりなんでね」
どうやら門を通るときは名前と目的を伝える必要があるらしい。
「えっと、私の名前はカナです。近くの森に薬草とホーンラビットの角を取りに行きたいんです」
私は冒険者カードを見せながら答えた。
「なるほど、新人か。街の外の地図は持ってるか?持ってないならこれをやろう」
門番から街の外の地図をもらった!
「それと、薬草集めなら何か入れるものが必要だ。見たところ鞄も何も持ってないようだが、集めた薬草や角はどうやって持つつもりだ?」
「う……」
確かに、入れるものがないと不便だ。
手で持つにしても限界があるし、両手が塞がるのは危険だ。
「入れ物がないなら雑貨屋で買っていくといい」
「分かりました!」
私は一度、職人通りの雑貨屋へ向かうことにした。
---
雑貨屋に着くと、まずは鞄を見てみた。
大きいもの、小さいもの、安いもの、高いもの……種類が多い。
一番安いのは小さなポーチで1,000エント。
でも、これではほとんど入らない。
一番高いのは50万エントの「魔法のポーチ」。
どんな物でも大量に入るらしいけど、当然買えない。
手頃なのは3,500エントの大きなリュック。
でも、ちょっと迷う。
「他に何かないかな~……」
眉間にしわを寄せながら見ていると、鞄とは別の棚に“籠”を見つけた。
背負式の木のカゴ:800エント
値段も手頃で、物もたくさん入りそうだ。
「これにしよう!」
私は木のカゴを購入し、再び防護壁の門へ向かった。
◆◆◆
門を抜け、無事に街の外へ出た私は、近くの森へとやって来た。
木漏れ日が差し込み、鳥や動物の声が響く。
思ったよりも穏やかな雰囲気だ。
門番には「木のカゴで行くのか」と呆れられたけど、実用性ならこれが一番だと思う。
「そんなことより薬草は……」
グレンさんにもらった見本を見ながら探すと、森のあちこちに生えていた。
私はカゴを下ろし、薬草を摘んでは入れていく。
「ふぅ……結構集まったかな?」
数十分でカゴの四分の一ほどが薬草で埋まった。
「ん~……ちょっと休憩しようかな」
腰を伸ばして立ち上がると――目が合った。
額に小さな角が生えた、緑色のウサギ。
(あれがホーンラビット……?)
角を採るには倒さなければならない。
倒すということは、この剣で……あのウサギを……。
「だめだ……!私にはできない……!」
あんな可愛いウサギを倒すなんて無理だ。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ホーンラビットは近づいてきて、薬草をもぐもぐ食べ始めた。
「か、可愛い……っ!」
試しにカゴの薬草を差し出すと、手から食べてくれた。
「食べた!可愛い♡」
気づけば、私の周りには数匹のホーンラビットが集まっていた。
◆◆◆
数十分後
ホーンラビットたちは満足したのか去っていき――
カゴの薬草は全部、彼らの餌になっていた。
「…………」
私は空になったカゴを見つめ、しばらく固まっていた。
グレンさんと別れた私は、まず依頼書を見て期日を確認した。
どちらも「今日から5日以内」に集めればいいらしい。
冒険者ギルドを出て西へしばらく歩くと、高さ5メートルほどの壁が見えてきた。
その延長線上には門があり、近づくと数人の門番が立っている。
「おっと、そこのお嬢さん。一旦ストップだ」
門番の一人が手を上げて止めてきた。
「見たところ冒険者のようだが、見かけない顔だな。名前と外に出る用件を聞かせてもらえるかな?一応決まりなんでね」
どうやら門を通るときは名前と目的を伝える必要があるらしい。
「えっと、私の名前はカナです。近くの森に薬草とホーンラビットの角を取りに行きたいんです」
私は冒険者カードを見せながら答えた。
「なるほど、新人か。街の外の地図は持ってるか?持ってないならこれをやろう」
門番から街の外の地図をもらった!
「それと、薬草集めなら何か入れるものが必要だ。見たところ鞄も何も持ってないようだが、集めた薬草や角はどうやって持つつもりだ?」
「う……」
確かに、入れるものがないと不便だ。
手で持つにしても限界があるし、両手が塞がるのは危険だ。
「入れ物がないなら雑貨屋で買っていくといい」
「分かりました!」
私は一度、職人通りの雑貨屋へ向かうことにした。
---
雑貨屋に着くと、まずは鞄を見てみた。
大きいもの、小さいもの、安いもの、高いもの……種類が多い。
一番安いのは小さなポーチで1,000エント。
でも、これではほとんど入らない。
一番高いのは50万エントの「魔法のポーチ」。
どんな物でも大量に入るらしいけど、当然買えない。
手頃なのは3,500エントの大きなリュック。
でも、ちょっと迷う。
「他に何かないかな~……」
眉間にしわを寄せながら見ていると、鞄とは別の棚に“籠”を見つけた。
背負式の木のカゴ:800エント
値段も手頃で、物もたくさん入りそうだ。
「これにしよう!」
私は木のカゴを購入し、再び防護壁の門へ向かった。
◆◆◆
門を抜け、無事に街の外へ出た私は、近くの森へとやって来た。
木漏れ日が差し込み、鳥や動物の声が響く。
思ったよりも穏やかな雰囲気だ。
門番には「木のカゴで行くのか」と呆れられたけど、実用性ならこれが一番だと思う。
「そんなことより薬草は……」
グレンさんにもらった見本を見ながら探すと、森のあちこちに生えていた。
私はカゴを下ろし、薬草を摘んでは入れていく。
「ふぅ……結構集まったかな?」
数十分でカゴの四分の一ほどが薬草で埋まった。
「ん~……ちょっと休憩しようかな」
腰を伸ばして立ち上がると――目が合った。
額に小さな角が生えた、緑色のウサギ。
(あれがホーンラビット……?)
角を採るには倒さなければならない。
倒すということは、この剣で……あのウサギを……。
「だめだ……!私にはできない……!」
あんな可愛いウサギを倒すなんて無理だ。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ホーンラビットは近づいてきて、薬草をもぐもぐ食べ始めた。
「か、可愛い……っ!」
試しにカゴの薬草を差し出すと、手から食べてくれた。
「食べた!可愛い♡」
気づけば、私の周りには数匹のホーンラビットが集まっていた。
◆◆◆
数十分後
ホーンラビットたちは満足したのか去っていき――
カゴの薬草は全部、彼らの餌になっていた。
「…………」
私は空になったカゴを見つめ、しばらく固まっていた。
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。