チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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二章 冒険者の少女

ブルラビット

 武器屋でナイフ(1,500エント)を購入した私は、近くの森で薬草を集めていた。  
 しかし、昨日とは違いホーンラビットの姿がまったく見えない。

 昨日の件で、私のことを警戒しているのかもしれない……。  
 そう思いながら周囲を見渡していると、左側の茂みからガサガサと音がした。

(何かいる……?)

 ホーンラビットか、それともファナさんが言っていたブルラビットか……。

 いつでも動けるように体勢を整えた瞬間――

 ウサギとは似ても似つかない、獣のような大きな鳴き声が響き、  
 体長2メートル近い巨大なウサギが茂みから飛び出し、私めがけて突進してきた!

「もしかして、あれがブルラビット……っ!?」

 私は咄嗟に横へ飛んで回避する。  
 ブルラビットはそのまま私の後ろの木へ激突した!

 木にぶつかった衝撃で一瞬動きが止まるが、すぐに立ち上がり、  
 ホーンラビットとは比べ物にならない太くて大きな角をこちらへ向けてくる。

 身長は私より少し低いくらいだが、  
 さっきぶつかった木には角で空いた穴が残っており、その威力がよく分かる。

(あんなのまともに受けたら……死ぬ……!)

 逃げるべきなのは分かっている。  
 でも――

 倒せばホーンラビット以上に稼げるかもしれない。  
 そして、冒険者として生きるなら、これ以上の脅威に出会うことだってある。

「ホーンラビットみたいに可愛いわけじゃないから……遠慮なく行かせてもらうよ!」

 私は剣を抜き、戦うことを決めた。

---

 ブルラビットは雄叫びを上げ、再び突進してくる。  
 私はそれを回避し、ブルラビットはまた木へ激突した。

「倒すのはいいけど……体が大きい割にスピードがある……っ!」

 その巨体から繰り出される突進は脅威そのもの。  
 だが、唯一の救いは――真っ直ぐにしか走れないこと。

 木が多いこの森では、避ければ勝手に木へ突っ込んでくれる。

 とはいえ、スピードは速く、角に当たらなくても体当たりされれば大ダメージは必至。  
 反撃する余裕はなく、避けるだけで精一杯だった。

---

 何度か突進を避けているうちに、いくつか気づいた。

① 突進の前に、必ず身体を後ろへ仰け反らせる予備動作がある。  
 これで瞬発力を生み出しているのだろう。

② 木にぶつかると、少しの間動かなくなる。  
 角が刺さって抜く時間なのか、衝撃で硬直しているのかは分からないが、確実に隙ができる。

 とはいえ、避け続ければ体力が尽きて、いずれ突進の餌食になる。  
 その前に倒さなければならない……!

---

 戦闘が長期化したことで苛立ったのか、ブルラビットは先ほどよりも速度を上げて突進してきた。

 私はどうにか回避し、木に激突した瞬間を狙って背中へ剣を振り下ろす。

「はあっ!」

 確かな手応えが剣を通して伝わる。

 だが、まだ浅い。  
 ブルラビットは苦しみながらもこちらへ角を向けてくる。  
 しかし動きは明らかに鈍っていた。

「これでどうだ……っ!!」

 突進の予備動作に入った瞬間、私は額めがけて剣を突き刺した。

 ブルラビットは断末魔のような声を上げ――  
 剣を引き抜くと、その巨体は地面へ倒れ込み、動かなくなった。

「はぁ……! はあ……っ! た……倒した……っ! はぁぁ~~~……っ!!」

 安堵のあまり、その場にへたり込む。

(つ、疲れた……)

 改めて倒したブルラビットを見ると、その大きさに圧倒される。

 体重は100キロ以上はあるだろう。  
 角は硬く鋭く、木にぶつかっても折れないほど頑丈だ。

「それにしても……これ、どうやって持って帰ろう……」

 100キロ超えの物体を私の力でどうにかできるとは思えない。  
 担ぐのも無理、引っ張っても動きそうにない。

「とりあえず……誰か呼んだほうがいいのかな……」

 討伐の証明として角を根元から切り落とし、  
 剣についた血を払って鞘に収める。

 そして、倒したブルラビットをそのままにして、  
 私は冒険者ギルドへ戻ることにした。
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