チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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三章 旅立つ少女

私は目が見えません……。

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「ほら、カナこれを持っていろ」

 翌日……と言っていいのだろうか……?

 目が見えないため今が朝なのか夜なのか……、さらには翌日なのか数日後なのかすら分からない私に、バッシュさんは何かを持たせてきた。

「これは……?」

 手の感触だけでこれが何なのかを把握しようとすると、棒状の何かのようだ。

「それは杖だ。まずは歩くのに不便だろうからな、杖を渡しておく。だか、それも最初だけだ。数日後には杖も持たずに過ごしてもらう」

 私はバッシュさんの言葉を無言で頷くと、部屋を出るため立ち上がることにした。

「おいカナ、どこに行くんだ?」

「どこって、ご飯を食べに行くんですよ……」

「……裸でか?」

「ふえっ!?」

 どうやら私は何も着ていないらしい……。

 慌てて身体の色んなところを触るが、確かに服どころか下着すらも着ていないっ!

 昨日バッシュさんに押し倒されてからそのまま寝てしまっていたようだ……。

「服……!服……っ!!」

 私は手探りで服を探すが全くわからない……。
 目を開けようにも、目は依然として開かない……。

「バッシュさんっ!私の服はどこですか……っ!?」

「さあな、自分で探してみろ」

 くう……っ!なんて意地悪な人なんだ……っ!!

 結局服は全てベッドの下に落ちており、探すだけでかなりの時間を費やしてしまった……。


 服を着るのも大変だったが、ここからがさらに大変だった……。

 後ろからバッシュさんが付いていくとは言ってくれてはいたが、何も教えてはくれない。

 宿屋の部屋から出て、階段へと向かおうとするとまず壁にぶつかる。

 そして、階段を降りようとすると階段から転げ落ちたり、冒険者ギルドへと向かうため、道を歩いていると人には何度もぶつかってしまう。
 しかし、その割には誰からも文句の一つも言われない。

 バッシュさんが何かフォローしてくれているのかも知れないけど、そういう素振りも無いような気もする。

 心なしか、額に何か貼られているような気もしなくはないけど、よくわからない。

「おい、カナどっちに行くんだ……?ギルドはそっちではなく右だぞ?」

 道を間違えて進んでいたら流石にバッシュさんは教えてくれるようだ……。


 ◆◆◆


「あ、カナにバッシュ……って、カナは額に何貼ってるの……?」

 冒険者ギルドへとたどり着くと誰かが声をかけてきた。声からするとミーナのようだ。

「え~と……?私は目が見えません、ぶつかったら許してください……?ええっ!カナ目が見えなくなっちゃったの……っ!?ご……、ごめんカナっ!昨日の回し蹴りが原因だよねっ!?」

 ミーナは泣いているのか、涙声が聞こえてくる。

 それにしてもこれ「目が見えません」て書かれた紙なのか……。
 バッシュさんが貼ったんだろうな……。

「ミーナが泣くことはない。今カナは心眼を鍛えるための修行中だ」

「しんがん……?」

「そうだ、兎に角修行中だ。決してミーナのせいではない」

「よくわからないけど、そうなんだ……。ビックリしたよ……」

 よくわからないけど、バッシュさんの説明を聞いてホッとしたのか、ミーナの安堵した声が聞こえる。

「さて、カナ食事にするぞ」

 バッシュさんはホールスタッフの人を呼んで、料理を注文してくれた……のだが……。

「さあ、カナ。食事だ、食え」

「た……食べろって言われても……」

 目が見えないのでどこに何があるのかもわからない。
 さらに言えば、何を注文されたのかすら私にはわからない。

 それに、食べるためのスプーンやフォークすらどこにあるのかも分からない。

「バッシュさん、これも修行なんですか……?」

「当たり前だ。早く食わんと冷めるぞ……」

 くう……っ!!

 せめてスプーンやフォークとか取ってくれればいいのに……っ!!
 私は文字通り四苦八苦しながらどうにか食事を取ると、その後街をかなりの時間歩かされた。


 ◆◆◆


 その日の夜……、

「はあ……っ!疲れた……っ!!」

 街を散々歩かされ、どうにか宿屋へと帰り着いた私は、手探りでお風呂へと入った後、ベッドへと倒れていた。

「おいカナ。寝転がっている暇はないぞ。今夜も特訓だ」

「特訓……ですか……?」

「そうだ、今夜もまた俺はカナの服を脱がしにかかる。今日はどのくらい耐えられるかな……?」

「えぇ~っ!またやるんですか……っ!?」

「勿論だ。さあ、行くぞ……っ!」

「え……え……っ!?い……いやぁぁぁーーー……っ!!」

 今夜も私は10秒足らずで下着を含めた服を全て脱がされ、バッシュさんに避妊魔法をかけられたうえで押し倒されたのだった……。

 そして、今夜もまた悔しいことに気持ちよかった……。
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