チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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四章 海を渡った少女

船旅

 船が出港して、どのくらい経っただろう……。

 私は装備を部屋に置いて、夜のデッキへと上がると、多くの人がデッキへとやって来ていた。

 デッキには転落防止のための柵と、座るための椅子は設けられているが、元の世界で言う豪華客船に設置されているようなプールは存在しないようだ。

 後ろを見ると、暗くてリーツェの街は見えない。
 前を見ると、まだ海しか見えず、上を見ると月と満点の星空が広がっている。

 乗組員の人に聞いた話では、サーミラに着くのに3日くらいかかるらしく、その間の食事は食堂でのバイキング形式で楽しめるらしい。

 そして、この船には日用品を買える雑貨屋のような売店やお土産屋、それになぜかカジノまでもが設けられており、バッシュはカジノがあると聞いた途端そこへ向かっている……。

 仮にも僧侶が、そんな所に行ってもいいものなのだろうかと思ってしまうが、私には関係ない。
 関係ないのだが……。

「カナ~……。カジノでボロ負けした~……」

 後ろから情けない声を出す何者バッシュかがいるらしい……。

「頼むよカナ……、金貸してくれ~……」

「……あのね、なんで私がバッシュにお金を貸さないといけないの?そもそもカジノに行かなかったら良かった話でしょっ!?」

 私は文句を言いながら振り返ると、パンツ1枚となり、半泣きになっているバッシュの姿があった……。

「そんなこと言わないで頼むよ~……」

「それよりバッシュ、服はどうしたの……?」

「賭けに負けて取られた……」

 目眩がした……。
 どこの世界にギャンブルをして、さらに服まで取られる僧侶がいるだろう……。

 いや、現実に目の前にいるわけだけど……。

「バカじゃないの……?」

「大丈夫だ、魔銃はまだ無事だ……!」

と言うことは、そのうち武器すらも賭けに出す気なのだろうか……?

「とにかく、私はお金は貸しません!ご飯食べてくるから僧侶らしく懺悔でもしてればいいでしょ……っ!?」

 私はそれだけを言い放ち、バッシュの前から去ると、食堂がある場所へと向かった。


◆◆◆


 この船の食事代は船賃に含まれているらしく、一度払えば何時でも好きな時に好きなだけ食べられるようだ。

 食堂へとたどり着くと、肉料理や魚料理、麺類にパン、さらにはお米を使った料理や白米まであった。
 さらに食器もナイフやフォーク、それにスプーンだけでなく、箸まである……っ!

 まさか、この世界に来てお米が食べれるとは夢にも思わなかった……!
 私はお皿に炊きたてと思われる白米と肉や野菜を盛り付けて食べた。

(はあ~……、美味しい……)

 一口食べるとお米の甘みが口の中いっぱいに広がった……。
 久しぶりに食べる白米に感動すら覚える。

 他の料理を食べるとどれも美味しく、ついつい食べすぎてしまう……。

 こんなにいっぱい食べたらサーミラにつく頃には絶対に体重が増えていることだろう……。
 頭ではわかっているのだが……、美味しくて箸が進んでしまう!

(だめだ……、美味しすぎて食べる手が全然止まってくれない……)

 食べた端から次々といろんな料理をお皿へと移し、口の中へと入れていく。

(はあ~……。こんなに美味しいんだもん……、太っても本望……)

 私は食の誘惑に白旗を上げると、後のことを気にすることなく気の済むまで食べ続けるのであった……。
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