チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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四章 海を渡った少女

妖狐、玉藻

 かなりの量の料理を食べた後、私は食後のデザートにアイスクリームとパフェを食べていた。
 バイキング形式にもかかわらず、アイスクリームは溶けておらず、氷結魔法の応用で維持されているようだ。

 私は幸せな顔をしてデザートまで食べていると、見覚えのある服を持った狐の半獣人のような若い女性が目の前を通り過ぎるのが見えた。

 確かあれはバッシュの服……?

「あの……、すみません。その服どうしたんですか……?」

 私はバッシュの服を持った女性に声をかけてみることにした。

「ん……?そなたは誰じゃ……?この服は妾がうつけ者の鬼から賭博で得た戦利品じゃ」

 どうやらバッシュはこの人に負けたようだ。
 それにしても……なんか変な喋り方をする人だなぁ……。

「私はカナと言います。その服は多分私の仲間のものだと思うので、よければ返して欲しいのですけど……」

「ほう……、そなたはカナと申すか。妾は玉藻たまもじゃ。妖狐の玉藻じゃ。この服は妾の得た戦利品故においそれとは返せぬ」

 どうやら返してくれる気はないようだ……。
 威張るように胸を反らすと、玉藻さんの大きな胸がプルンと揺れる。

く……、この人のも大きい……!

 まあ、私のでもないし、変に賭けなんかしたバッシュが悪いのだからどうでもいいことではある……。

「まあ、どうしてもというのなら返してやらぬこともないが……妾に勝てれば返すとしよう」

「勝てればって言っても私は賭け事とかしませんよ……?」

「別に賭博でなくても良い。何でも良いぞ?」

 う~ん……、なんでもと言われても……。
 まさかここで剣を振り回すわけにも……。

 あ……!そうだっ!
 私は一つの妙案を思いついた。

「では、ジャンケンはどうですか?」

「ジャンケンか……。良いぞ、相手をいたそう」

「では、私が勝ったらその服は返してもらいますよ」

「では……、妾が勝てばそうじゃの、妾の旅に付き合ってもらおうかの」

「旅の仲間に……?」

「そうじゃ、あの鬼のように裸に剥かれるよりは良かろう」

 私と玉藻さんはニヤリと笑みを浮かべながら隅の方へと移動した。


◆◆◆


「さて、ルールの確認じゃが、十回やって妾が一度でも負ければそなたの勝ちじゃ。じゃが、そなたが負ければ妾の旅に付き合ってもらうぞ?」

「一回勝てばいいんですか?」

「無論じゃ。妾は戯言は申さぬ。その代わり、お主が負ければどこを目指しているのかは知らぬが、妾に付いてきてもらうぞ?」

 普通に考えれば十回連続で勝つのはかなり難しい。
 しかし、玉藻さんはよほどの自信があるのか、余裕の笑みを浮かべていた。

「わかりました……、やります……!」

「よかろう、それでは」

 まず最初にジャンケンをして私がパーで、玉藻さんがチョキを出す。

 く……、負けてしまった。

 でもまだまだ……!まだ一回負けただけだっ!まだチャンスは9回ある……っ!

---

 しかし……、何回も勝負するもなぜか勝てず、連続で9敗と追い詰められてしまっていた……。

「ほれほれ、どうした。残り一回じゃ。もう後がないぞ?」

「くぅ……っ!!」

 玉藻さんが嬉しそうにニヤニヤと笑っている。
 どうやっても勝てない……!何を出しても必ず負ける……っ!

 く……くそ~っ!
 なんでこの人は私が出す手が分かるんだろう……っ!?

「引くのなら今のうちじゃぞ?じゃがその代わりこの鬼の服は返さぬし、お主には土下座をしてもらうことになるがの」

「まだ……!まだやります……!」

 そう……!次に勝てばいいのだ……っ!しかし……。

「では、行くぞ?ジャンケン……!」

「ポン……!」

 私はパーで……、玉藻さんは……チョキ!

「ま……負けた……」

「んふふふ……。さて、妾の勝ちじゃの」

 く……くぅ~……っ!!
 結局一回も勝てずに10連敗してしまった……っ!

「妾の勝ちじゃ。さて、カナとやら。約束通り妾の旅に付き合ってもらうぞ?」

 こうして負けてしまった私は玉藻さんのパーティーへと加えられたのだった……。
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