チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

文字の大きさ
114 / 214
五章 探し求める少女

フィーリエとの別れ

 翌朝……、私はサンドラの街を発つため街の外れへと来ていた。
 そんな私をフィーリエが見送ってくれている。

 フィーリエは装備工房での仕事が決まったのか、工房で作業するための作業着のようなものを着ていた。

「それじゃあ、フィーリエ……。私行くね……」

「カナ、短い間だったけどありがとう……。あたしカナと冒険した日のことは忘れないよ」

「私もフィーリエの事は忘れない……」

 フィーリエとはサーミラの町で半ば強引に着いてきた娘だった……。
 でも、彼女のその力強さはパーティの戦力の要で特にキメラとの戦いで発揮されていた。

 私がお酒で大失態した時は介抱してくれたりと、結構迷惑をかけた事もあったけど、明るくていい子だった。
 私はそんなフィーリエの事も忘れない……。

「それじゃあ……、またね……!」

 私はフィーリエと軽くハグをした後、マジックオーブを取り出し、マーゼの教会をイメージする……。
 すると、玉は光りだして私は光の中へと包まれた……。


◆◆◆


 光が消えた時、私はマーゼの教会の前に立っていた。

「か……カナさん……っ!?」

 そして、目の前にマーロウさんの姿があった……!
 マーロウさんはいきなり現れた私を見て心底驚いていた……!

「うわぁ……っ!?ま……マーロウさん……っ!?」

 目の前に人がいるとは思わなかったので、思わず後ろへと転んでしまう……。

「カナさん、大丈夫ですか……?」

 マーロウさんは私へと手を差し伸べると、それを掴んで起き上がる。

「マーロウさん、すみません……。」

「いえ……、ですが急に現れたので驚きました……」

「驚かせてすみません……、実は……」

 私はマーロウさんにアルアナから貰ったマジックオーブの事を説明する。

「なるほど……、そうでしたか。アルアナ様からそのようなものを……」

「それで、そのアルアナ……様に会いたいのですが……」

「ええ、いいですよ」

 私はマーロウさんの許可を得ると、教会の裏にある崖へと向かい、神殿へと転送される扉へと向かった。

---

 扉を開け、中に入ると私は光に包まれ、アルアナの神殿へとやって来る。

「お……?カナか。何の用だ?」

 私の顔を見ると、退屈そうにしていたアルアナの表情が嬉しそうなものへと変わった。

「えっと……サンドワームの肝を持ってきました」

 私は魔法のポーチからサンドワームの肝を取り出す。
 その瞬間また手にベチョリとした感触を感じる……。

 うぇ……、この感触は何度やっても嫌だ……。

「ふむ……、サンドワームの肝はいいが、そんなに沢山はいらんぞ。ほんの少しでいい、切り分けろ」

「うえぇ……っ!?」

 私の口から思わず嫌そうな声が漏れ出た。

 こ……これを切り分けろ……?
 このナメクジのようなイヤな触り心地の肝を……っ!?

「なんだ、その嫌そうな声は……。まさか、私に切れと言うのか……?そんな事をしたら私の手が汚れるではないか」

 どうやらアルアナも汚れるのが嫌なようだ……。

 仕方ない……。

 私は剣を抜くと、サンドワームの肝を少し斬り取り、アルアナへと手渡そうとすると、アルアナは魔法でそれを浮かせてお皿のようなものへと置いた。

「サンドワームの肝、ご苦労だったな。これは腐らぬよう私がきちんと管理しておく」

「次はどこに行けば指定の素材が手に入る魔物がいますか……?」

「……教えてやったのは最初だけだ。あとは自分でどうにかしろ。冒険者だろ?」

「うぐ……!」

 アルアナの言葉に私は思わず言葉に詰まる。
 どうやら教えてくれる気は無いらしい……。

 ケチだ!

 私は残ったサンドワームの肝はまた魔法のポーチへと戻し、神殿を後にした。
 そして、手がまたネチョネチョになってしまった……。


◆◆◆


サイドストーリー

―フィーリエ―

 カナがサンドラの街を後にした……。
 あたしは今装備工房で槌を持って武器を作っている……!

 皆からはドワーフの血を引いているからか、腕が良いと褒められた……。

 自慢ではないが、あたしが使っていた装備も親父に教わりながら自分で作った物だ。
 その時も親父は腕が良いと言ってくれた。

 でも、それはあたしが娘だから言ってくれたのだとばかり思っていた。
 でも、どうやらそうではないらしい……。

 全く知らない他人から褒められると、とても嬉しい。
 頑張ろうという気になってくる……!

 ここに来られたのもカナのお陰だ。


 あたしが勝手にカナの旅に付いてきて、今度は勝手にここの工房で働きたいと言うと、カナは快く許してくれた……。

 最初はダメだと怒られるとばかり思っていたけど、カナは怒らなかった。

 こんなワガママばかり言うあたしを許してくれたカナには感謝しかない……。
 だから……、あたしはそんなカナのための装備を作るんだ……っ!

 あたしの手で、親父が作ったあの装備をも超える物を作って……、カナに使ってもらうんだ……っ!!
 そのために、あたしはこの工房で腕を磨くことを決めたのだ……!

 その決心を胸に、あたしは鎚を振るうのだった。
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」