チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー

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七章 恋する少女

怒りのカナ出現!

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「バカな……!首は全部斬り落とした筈だぞ……っ!?」

 ザクスが焦りと戸惑いの声を上げる……!

 確かに首は全て斬り落とした……!
 しかしまだ死なないと言うことはまだ首が残っていると言うの……っ!?

「首が再生するのなら……何度でも首を落とだけよ……!『ウインドセイバー』っ!!」

 私はウインドセイバーでヒドラの首を斬り落とすが、すぐに再生してしまう……!

 こんなのどうすればいいって言うの……っ!?

 私の背中に冷や汗が流れる……。

 リーナさんも同じなのか、手をこまねいていた……。

 そんな私達を更に苦しめく可の如く、ハイドラは口から何かの液体を私へと目掛け吐き出してきた……!

「カナ……っ!?」

「うわ……っ!?」

 咄嗟にその液体を避けると、地面が溶けてしまった……!

 ひ……ひえぇぇ……。

 まさかあれがハイドラの猛毒……っ!?
 あんなのに当たったらひとたまりもないっ!

「カナさん!大丈夫ですか……っ!?」

 リーナさんは言いながらハイドラの首を剣で斬り落とす……!
 圧倒的な不利な状況であってもリーナさんは決して諦めてはいなかった……。

 流石は勇者……!私達もまだ諦める訳には行かない……っ!!
 ならばと、私は現し身の御鏡を取り出し、自らを映す……!

 しかし、何も起こらなかった……。

 なんで……っ!?

 なんでこんな時に何も起きないの……っ!?
 何度やってももう一人の私が出てこない……!

「カナ……!そんな事はいいからハイドラの首を魔法で切り落とすぞ……っ!!」

 ザクスからも怒られ、次第に私は役に立たない鏡に対し怒りが込み上げてきた……っ!

 すると、鏡が光だし、もう一人の私が現れる……!
 やっと出てきた……っ!!

「バカかほんものっ!!現し身の御鏡は負の感情がないと出ないって言っただろ……っ!!」

 ……えらく攻撃的な私が出てきたな。

「今度は何のカナだっ!?」

「ああ……っ!?私は怒りよっ!!私が話した説明を忘れて鏡を使おうとするバカなほんものに対する怒りの私よっ!!」

 酷い言われようだ……。
 怒りの私は口が悪いらしい……。

「と……兎に角もう一人の私!出てきたのならハイドラを倒すの手伝ってよ……っ!!」

「チ……っ!仕方ない……っ!やってやるわよっ!!そのかわりアイツ倒したらあんたをぶん殴らせてもらうからね……っ!!」

「行くよ……!『ウインドセイバー』っ!!」

「『ファイヤーボール』っ!!」

 ウインドセイバーを唱えた私に対し、怒りの私はファイヤーボールを放っていた!

 うぇーー……っ!?ファイヤーボールじゃ首を斬れないよ……っ!?

「ちょっと……!ファイヤーボールでハイドラの首が斬れる訳ないでしょ……っ!?」

「うっさいわね……!ファイヤーボールでふっ飛ばしたい気分だったのよ……っ!!」

「おいカナ……っ!こんな時に自分同士でケンカするな……っ!!」

「だって!こっちの私がファイヤーボールなんて意味の無いもの撃つんだもん……っ!!」

「うっさいっ!!なら自分で倒しなさいよっ!!」

 自分同士でケンカする私達!

 まさか自分同士でケンカする日が来るとは思わなかった……。

「いいえ……!全くの無駄では無さそうですよ……。見てください!ハイドラを……っ!」

「え……?」
「あ?」
「ん……?」

 リーナさんの言葉に一斉に私達3人はハイドラへと見を向ける。

 すると、ファイヤーボールで焼かれた部分が再生出来なくなっている。

 そうか……、炎で焼けば再生出来ないんだ……っ!

「ど……どうよ……っ!こうなると分かってたからファイヤーボールを撃ったのよ……っ!!」

 自慢気に無い胸を張って威張るもう一人の私……。
 絶対に嘘だ……。

 それにしても、自分で無い胸と言うのもなんか悲しい……。

「何にしろ、これで戦い方がわかったな……!俺がウインドセイバーでヤツの首を斬り落とすからカナはファイヤーボールで切り口を焼いてくれっ!!」

「分かったっ!!」

「もう一人のカナさんは私の援護をお願いしますっ!!」

「任せてっ!!」

 私達は臨戦態勢を整えると、ハイドラへと立ち向かうのだった……!
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