195 / 214
八章 決意する少女
復活の大魔道士
しおりを挟む
魔法陣から放たれた光が収まる頃、私はクマの縫いぐるみへと視線を向ける。
アルアナが唱えた魔法が何なのかは私には分からないけど、たぶんアレクさんの魂を呼び起こす魔法なのだろうということだけは分かる。
「う……うう……、どこじゃ……ここは……?儂は一体……」
暫くの間、縫いぐるみを見つめていると、縫いぐるみからうめき声みたいなものが聞こえ、縫いぐるみがゆっくりと動き出した。
そして、その縫いぐるみから聞こえてくる声は紛れもなくアレクさんの声だったっ!
「どうやら成功のようだな」
アルアナは自慢げに胸を反らすと、その大きな胸が揺れる。
く……!ここぞとばかりに大きな胸を見せびらかせてくる……っ!
「アレクさん……?」
アルアナの大きな胸は一先ず置いておいて、私はクマの縫いぐるみ……もとい、アレクさんへと話しかける。
「なんじゃ……?カナの声が聞こえるの……。カナも死んでしもうたのか……?」
「いえ、私はまだ生きてますよ。アレクさんの魂が蘇ったんですよ」
「何を言っておるんじゃ。儂はカナ、お主の手によって再び死の眠りに就いたはずじゃ」
「それについては私から説明させてもらおう。始めまして大魔道士アレクよ。私の名はアルアナだ。お前を死の眠りから呼び起こしたものだ」
私と入れ替わるように今度はアルアナがアレクさんへと話し始めた。
「アルアナ……聞いたことがあるの。マーゼで活躍していたという大賢者のアルアナの事か?」
「そうだ、そのアルアナだ。お前は私の死霊魔術によって、魂だけだが再びこの地に生を受けたのだ」
「なるほどの、噂の大賢者殿の力ならそれくらい造作もないということか。それはそうと、アルアナという者はずいぶんと大きいのじゃの。よう見るとカナも大きいわい」
「えっと、それは私達が大きいんじゃなくて、アレクさんが小さいんだけど……」
「どういうことじゃ……?」
「今の自分の姿を見てみろ」
アルアナは指をパチンと鳴らすと、姿見鏡が現れた。
その鏡を見ながらアレクさんは手を動かしたり、足を動かしたり、さらには顔や体といった様々な所を動かしている。
そして……。
「何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁーーーー………っ!!!儂がクマの縫いぐるみになっておるではないかっ!!」
「すみません、アレクさん。それしかなかったので……」
慌てふためきながら怒るアレクさんに私は苦笑しながら頬を掻いていた。
「落ち着け、アレク。そうまでしてでもお前の力が必要なのだ」
「儂の力が必要じゃと……?儂に何をさせようというのじゃ?」
「イービルアイを倒すのを手伝って貰いたい」
「イービルアイじゃと?あのマーゼを滅ぼしたという魔物のことか?」
「そうだ」
「分かった。じゃが、ここにおる3人だけで行くのか?それはちと厳しいぞ……」
「それについてだがカナ……、さっき行っていたカレンとは誰だ?」
「えっと、竜人族の女性だよ。つい最近知り合ったばかりの仲間だけど……」
「ドラゴニュートか……、確かに戦闘能力の高い種族だな」
「噂では、その気になれば単独で街一つ滅ぼせるとまで言われておるの。イービルアイを倒すには持って来いじゃろう」
「それで、そのカレンというドラゴニュートはどこにいるんだ?」
「カレンならマーゼの教会にいるよ」
「分かった」
アルアナは目を閉じて手をかざすと、この神殿の入口の魔法陣が光だし、カレンが姿を表したのだったっ!
◆◆◆
~サイドストーリー~
ーカレンー
マーロウという僧侶から貰った茶を飲んでいるとカナがいないことにアタイは気が付いた
「そう言えば、カナの姿がないが、どこに行ったんだ?」
「カナさんでしたら、女神アルアナ様の所ですよ」
「女神アルアナ?」
「そうです、アルアナ教の女神ですよ」
聞いたことのない名だ。
アタイのいた村では宗教というものがなく、また勧誘しに来る者もいなかった。
もっとも、あの辺境とも言えるガイラスの村にわざわざ宗教の勧誘に来る物好きはいないだろう。
「アタイもそのアルアナ様って人の所に行けるのか?」
「どうでしょうか……、アルアナ様の所に行けるかは限られています。己が望むもの、叶えたい目的に対して真摯に、そして邪な気持ちを抱くことなく、純粋な気持ちで望む者にしかアルアナ様にお会いすることが出来ません」
「そうか……」
残念ながらアタイにはそのような立派な志はない。
逆に言えばカナにはそれがあると言うことだろう。
好きな人を助けたいと言っていたな。
そのような感情でもないと無理という事か。
尤も、アタイには叶えてもらいたいような望みも無いわけだが……。
茶を飲み終わった頃、突然教会の一部が床が光り始めた。
「こ……これは……っ!?カレンさん!アルアナ様がお呼びですっ!すぐにこの光の中へと入って下さい……っ!!」
「え……?あ、ああ……」
アタイはその光の中へと足を踏み入れると、アタイは光に包まれた……!
そして気が付くと見知らぬ場所へと立っており、前の方にはカナとエルフの女、そしてクマの縫いぐるみが立っていたのだった……!
……クマ?
アルアナが唱えた魔法が何なのかは私には分からないけど、たぶんアレクさんの魂を呼び起こす魔法なのだろうということだけは分かる。
「う……うう……、どこじゃ……ここは……?儂は一体……」
暫くの間、縫いぐるみを見つめていると、縫いぐるみからうめき声みたいなものが聞こえ、縫いぐるみがゆっくりと動き出した。
そして、その縫いぐるみから聞こえてくる声は紛れもなくアレクさんの声だったっ!
「どうやら成功のようだな」
アルアナは自慢げに胸を反らすと、その大きな胸が揺れる。
く……!ここぞとばかりに大きな胸を見せびらかせてくる……っ!
「アレクさん……?」
アルアナの大きな胸は一先ず置いておいて、私はクマの縫いぐるみ……もとい、アレクさんへと話しかける。
「なんじゃ……?カナの声が聞こえるの……。カナも死んでしもうたのか……?」
「いえ、私はまだ生きてますよ。アレクさんの魂が蘇ったんですよ」
「何を言っておるんじゃ。儂はカナ、お主の手によって再び死の眠りに就いたはずじゃ」
「それについては私から説明させてもらおう。始めまして大魔道士アレクよ。私の名はアルアナだ。お前を死の眠りから呼び起こしたものだ」
私と入れ替わるように今度はアルアナがアレクさんへと話し始めた。
「アルアナ……聞いたことがあるの。マーゼで活躍していたという大賢者のアルアナの事か?」
「そうだ、そのアルアナだ。お前は私の死霊魔術によって、魂だけだが再びこの地に生を受けたのだ」
「なるほどの、噂の大賢者殿の力ならそれくらい造作もないということか。それはそうと、アルアナという者はずいぶんと大きいのじゃの。よう見るとカナも大きいわい」
「えっと、それは私達が大きいんじゃなくて、アレクさんが小さいんだけど……」
「どういうことじゃ……?」
「今の自分の姿を見てみろ」
アルアナは指をパチンと鳴らすと、姿見鏡が現れた。
その鏡を見ながらアレクさんは手を動かしたり、足を動かしたり、さらには顔や体といった様々な所を動かしている。
そして……。
「何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁーーーー………っ!!!儂がクマの縫いぐるみになっておるではないかっ!!」
「すみません、アレクさん。それしかなかったので……」
慌てふためきながら怒るアレクさんに私は苦笑しながら頬を掻いていた。
「落ち着け、アレク。そうまでしてでもお前の力が必要なのだ」
「儂の力が必要じゃと……?儂に何をさせようというのじゃ?」
「イービルアイを倒すのを手伝って貰いたい」
「イービルアイじゃと?あのマーゼを滅ぼしたという魔物のことか?」
「そうだ」
「分かった。じゃが、ここにおる3人だけで行くのか?それはちと厳しいぞ……」
「それについてだがカナ……、さっき行っていたカレンとは誰だ?」
「えっと、竜人族の女性だよ。つい最近知り合ったばかりの仲間だけど……」
「ドラゴニュートか……、確かに戦闘能力の高い種族だな」
「噂では、その気になれば単独で街一つ滅ぼせるとまで言われておるの。イービルアイを倒すには持って来いじゃろう」
「それで、そのカレンというドラゴニュートはどこにいるんだ?」
「カレンならマーゼの教会にいるよ」
「分かった」
アルアナは目を閉じて手をかざすと、この神殿の入口の魔法陣が光だし、カレンが姿を表したのだったっ!
◆◆◆
~サイドストーリー~
ーカレンー
マーロウという僧侶から貰った茶を飲んでいるとカナがいないことにアタイは気が付いた
「そう言えば、カナの姿がないが、どこに行ったんだ?」
「カナさんでしたら、女神アルアナ様の所ですよ」
「女神アルアナ?」
「そうです、アルアナ教の女神ですよ」
聞いたことのない名だ。
アタイのいた村では宗教というものがなく、また勧誘しに来る者もいなかった。
もっとも、あの辺境とも言えるガイラスの村にわざわざ宗教の勧誘に来る物好きはいないだろう。
「アタイもそのアルアナ様って人の所に行けるのか?」
「どうでしょうか……、アルアナ様の所に行けるかは限られています。己が望むもの、叶えたい目的に対して真摯に、そして邪な気持ちを抱くことなく、純粋な気持ちで望む者にしかアルアナ様にお会いすることが出来ません」
「そうか……」
残念ながらアタイにはそのような立派な志はない。
逆に言えばカナにはそれがあると言うことだろう。
好きな人を助けたいと言っていたな。
そのような感情でもないと無理という事か。
尤も、アタイには叶えてもらいたいような望みも無いわけだが……。
茶を飲み終わった頃、突然教会の一部が床が光り始めた。
「こ……これは……っ!?カレンさん!アルアナ様がお呼びですっ!すぐにこの光の中へと入って下さい……っ!!」
「え……?あ、ああ……」
アタイはその光の中へと足を踏み入れると、アタイは光に包まれた……!
そして気が付くと見知らぬ場所へと立っており、前の方にはカナとエルフの女、そしてクマの縫いぐるみが立っていたのだった……!
……クマ?
24
あなたにおすすめの小説
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる