フルスライム〜転生したのがスライムだったと勘違いした件〜

きゅうとす

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大草原

ワラビ

「待て待て、なんでそうなる」
「だって眷属にして頂けないんでしょう?」
「やはり、こいつは弱い内に殺すしか無いわ、リリル」

ムメイが話に割って入った。

「待て待て、違うだろ」

俺はこの少女を眷属にしても良いかと考えて居たのだ。

「グモズラ、お前はどんな力を持っているんだ?」

俺の質問に少女は明るい笑顔を見せて言った。

「あら、眷属にして頂けるんですの?」
「いや、能力次第かな」
「リリル!」

俺の態度を見てムメイが驚く。そんなムメイにグモズラはニンマリとしてそのステータスを教えてくれた。

グモズラ
『飛翔』『毒鱗粉』『夜目』『連携』『擬態』『念話』バフ・デバフ魔法を使う。

蛾の魔物の上位種だからもしかしてと思ったが俺とムメイの補完が出来そうだ。

「よし、お前を眷属にしてやろう」
「リリル!!本気か?!」

「まぁな、それにムメイ、こいつを野放しにしたらエルフにどんな被害が及ぶか分からんぞ。眷属にして言う事を聞かせればモズラの被害を減らせるかも知れん」

俺の考えを聞いてムメイがむむっと押し黙った。

「と言う訳でお前の名前だが・・・」

少女の姿の魔物グモズラを見て思い付いた名前を言う。

「蕨とかどうだ。毒持ちの植物の名前だが」
「ワラビ・・・良いではありませんか。今日から私は蕨です。」

そう、グモズラが言うと俺から魔力が流れワラビが少し成長した。あまり変わらんが。ワラビがぴょんと跳ねると服装が先ほどまでの古臭い物から和装に近い服に変わった。う~ん、不思議だ。

「服も含めて私なのですよ。この姿も主様の好みを写しています。ロリコンですか?」
「違ぇよ!」

ワラビの言葉に俺が突っ込む。ムメイはそんな俺たちを見て呆れていた。

「それに、主様と呼ぶな。リリルと呼べ」

俺が言うとワラビが答えた。

「ではリリル様と呼ばせて頂きます」

素直なところは良しとしよう。俺はムメイとワラビを連れて部屋を出て砦の外まで戻って来た。
外はまだ明るかった。砦の壁には魔物モズラは張り付いていないように見えた。

「ワラビ、モズラはどうだ?」

俺が聞くとニッコリとして答えた。

「リリル様、まだ、数匹臆病な奴が隠れています。どうします?」

ワラビが壁を指して教えてくれたがまるっきり壁にしか見えない。隠蔽が凄すぎる。まぁ集中して魔力を感じれば分からなくもない。ムメイは興味無さそうだ。

「まぁ放って置いて良い。それで、なんでモズラ達は夜に何処に飛んでったんだ?」
「交尾ですよ。たぶん近くの大木に卵を産み付けに行ったんでしょう。」
「そうか、交尾の後はどうなる?」
「体力のあるものは生き延びるかも知れませんが大抵は死んで朽ちますね」

自然は残酷だ。

「どっちに飛んで行ったか分かるか?」

俺がワラビに聞くとワラビはエルフの里のある方向を指差して言った。

「ほとんどこっちですねー。大木の高い枝の葉の裏に卵を産み付けたら大木に潜り込んで死んでいきます。」

驚きの習性だ。

「なら、里に戻って知らせよう」

ムメイが言った。俺より里を気にしてるな。

「大丈夫ですよ」

ワラビがそう言うと一本の大木を指差して言った。

「出てきて下さいな。来ないなら攻撃しますわよ」

俺やムメイに気取られず誰かが潜んでいたらしい。大木の高い所から小柄なエルフが飛び降りて来た。ババルカだった。

「ちぇ!気付かれねえ筈だったのに」

臍を曲げてババルカが良い、ワラビに向かって文句を言った。

「いったい、お前は何者だよ!遺跡に入るまで居なかった筈だぜ!」
「ふふ、誰でしょうね。それよりもさっきの会話聞いていたのでしょう?戻って伝えたら?」

しなを作りながらワラビが誂うように言うとババルカが顔を赤らめて言い返した。

「俺はムメイ達が森から出て行くまで見張れと言われて居るだけだ。命令すんな!」

ムメイが嘆息する。

「サリリルがしそうな事だわ」
「でもちょうど良いじゃねえか。ワラビの言うとおりだぜ」

俺が言うとババルカは嫌そうに顔を歪めた。

「だから、命令すんな!」

そう言いながらも伝えてくれそうなので俺達は遺跡の先に進む事にした。向かうは北の森の外だ。そんなに歩かない内に森が消えて全面全てが草原になっていた。周りを見渡してババルカが居ないことに気付いた。

「ババルカは戻ったみたいだわ」

ムメイが言った。俺が周りを見ていた事に言ったらしい。

「ああ、そうだな」

簡潔に俺も言う。何も言わんで消えるなんて不届き者め。

「リリル様ぁ~わたしがおりますわ」

何故かワラビがしなだれ掛かった。俺の不満に反応したらしい。俺はワラビを乱暴に押し返して言った。

「ふん、戯言を」

そう言いながら俺は気分が良くなって居るのに気が付かなかった。膝に達するような下草がずっと生えて居る草原が見渡す限りずっと続くのは異様に見えた。そんなでも方向が分かるのかムメイが苦も無く歩いて行く。
俺も後を追おうとしてワラビが苦戦しているのに気付いた。俺はワラビを持ち上げると肩車してやる。それにワラビが喜ぶ。身体を跳ねらせて喜ぶのは子供のようだ。先を歩いていたムメイが振り返って呆れた顔をした。

「眷属でしょ?甘やかさない方が良いわよ」

確かに子供扱いはおかしいか。俺は肩車を止めて背中に背負う事にした。今度はスッキリとした。

なんだが背負うと言うよりも貼り付かれているような気もしたが、気にしたら負けだな。






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